徒然なか話

誰も聞いてくれないおやじのしょうもない話

残念な風景

2022-08-28 19:30:45 | 熊本
 今年の夏も過ぎ去ろうとしているが、毎夏、残念な思いをするのが熊本市西区花園町の成道寺。室町時代に創建され、やがて600年の歴史を有する古刹である。かつて夏目漱石ら文人も訪れたというこの寺は熊本の名所の一つとして観光案内にも掲載されていた。しかし今は閉鎖状態。荒寺の惨状を晒している。
 僕らが子供の頃は近場の絶好の避暑地だった。園内の池には湧水が流れ込み涼を求めて訪れる人々は整備が行き届いた木陰の遊歩道の散策を楽しんだものだ。母が幼稚園勤務の頃、研修会場として使っていたという本堂も今は雨戸が閉められたまま。
 ここは個人所有資産で所有者ご本人は再興するつもりはないらしい。また、市も個人資産である以上手が出せないという。熊本西環状道路のバイパスが通り、周辺の環境も激変しつつある。しかし、環境省選定の平成の名水百選にも選ばれた湧水は、今日もこんこんと流れ出し、清流成道寺川となって田畑を潤している。やがて秋になれば成道寺は紅葉の名所でもある。
 かつての美しい成道寺の風景を憶えているだけに、このまま荒れていくのが忍びない。


7年ほど前の夏の成道寺


成道寺から流れ出た湧水は清流となって田畑を潤す。