二階堂ふみ&GACKT主演の映画、『翔んで埼玉』を、東京はアリオ西新井のTOHOシネマズ西新井で観てきました(ボクの住んでいる埼玉県草加市は東京都足立区と埼玉県との県境に位置し、一番近い映画館は足立区なのです)。
ばかばかしくて、どうしようもない映画ですが、埼玉県に住んで年数の経った人においては思い当たる節が多々あって、見て損はないかもしれません。
よくもまあ作った、怪作というしかないです。
現在、埼玉県熊谷市の北部や荒川右岸、あるいは行田市辺りに行ってみると、広大な田んぼが広がっていて、かつて関東平野はこんな田んぼばかりであったに違いない、と思わせるものです。ボクはいまもこの付近をよく通るので、のどかな田園風景をいつまでも残しておいてと思います。
映画の冒頭、その広ーい田んぼの真ん中の農道を東京へ向かう軽自動車を鳥瞰する場面。おい、そんなに田んぼ道は長いのか、というくらい長く写します。
その車の中での、熊谷育ちの旦那と千葉育ちの奥さんのやりとりが面白い。バリバリとうるさいチバラギ仕様のシャコたんが出てきて、旦那がチバラギの○○がと言ったとたん、千葉と茨城を一緒にするなと奥さんがキレる場面なんかはとにかく可笑しかった。でっぱ竹やり仕様の改造車を満載した雑誌が80年代は馬鹿売れしてたんだよね。
関東のあそことは一緒にされたくない、ド田舎と一緒にしてくれるなみたいな郷土愛がたまらない。この人もしかり、と。
それにしても、埼玉愛が強すぎて、千葉、茨城、神奈川、群馬をおちょくるというか、コケにしてやしないか、と苦笑するしかありません。
「赤城おろしが吹く熊谷以北は埼玉じゃない、群馬だ!」までも。
草加松原あたりで襲撃されるシーン。草加に住んでいるボクは、おい、草加はそんなに藪かよ、とか。流山橋。江戸川を渡れる橋はホントに少ないよなとか。まして、巨大地下神殿だぜ、知る人ぞ知るだよ、とか。あ、ネタばれになってしまいますね。
この映画、埼玉県人か千葉県人であるか否か、あるいは地名や土地勘があるとないとでは、面白さが全然違います。関東以外の人が観て、このくだらなさは分かってもらえそうにありません。隣の男子高校生たち、最初は笑ってたけど、物語が進むにつれて笑わなくなっていましたから。
個人的には、若い頃、池袋を始発に埼玉県の川越方面に向かう東武東上線の志木市に2年住んだときは、家賃の高い東京都内に住めなかったという、都落ち的気分でしたね。その後同じ埼玉県でも、東武伊勢崎線(現東武スカイツリーライン)の草加市に引っ越して40年近くになりますが、草加に引っ越した当初、さらにローカルな沿線にきてしまった、という思いがありました。
1980年代、首都圏では西の方が文化的グレードが高く、右回りにグレードが下がっていくようなイメージがあったからです。
今はどうか知りませんが、かつて首都圏の電車の中吊り広告の料金は西のほうが高く、東に行くにつれ低かったといわれていました。そんなに民度は低くないぞ、と内心怒っていましたけど、電車の中吊り広告は、東急東横線のほうが断然オシャレで、東武伊勢崎線、地下鉄日比谷線では明らかに劣っていたことを覚えています。鉄道路線の格とはかくも違うものかと(今でもローカル色という点では違いを感じます)。
地域的な偏見や見下しは今だから笑い飛ばせますが、魔夜峰央の原作「翔んで埼玉」が発表された1982年ごろ、マンガが評判になったことは知っていましたが、そんな心理が働いてか読みたいと思わなかったなあ(当時、評判のマンガは少年、少女問わずけっこう読んでいたんですよ、少女ものを読む人は変わり者と見られてましたけど)。
そんなことを言っても住めば都、ボクも埼玉愛が強くなってきたようです。
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