ブログ仙岩

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稲より気高い秋の七草茅(薄)

2014-10-19 10:40:47 | エッセイ
萩の花、尾花、葛花、撫子の花、女郎花、藤袴、桔梗これぞ秋の七草である。

万葉集山上憶良の歌に、秋の野に咲たる花を指折りかき数ふれば七草の花、萩の花尾花葛花撫子の花女郎花また藤袴朝貌の花、本日は2番目の尾花ススキ(薄)でイネ科の多年草植物である。

尾っぽのような花をつける薄は水を吸う稲や麦の茎と違って、脂分で水を弾き飛ばす茅は耐水性に優れ農村の茅葺屋根として稲より大切にされ集落の一地域に萱場として毎年野焼き(宮城丸森ではヤッキリという)で森林化を防ぎカヤを保護収穫していた。

また、薄の葉で指先を切った経験の人は多いと思う。ガラス質のトゲが原因でイネ科の植物はケイ酸により葉だけでなく茎も大変かたい。

すくすく育つことからお月見にはススキが飾られ、食の中心稲がすくすく育つよう願いを込めた文化である。が薄はその稲を凌駕し風に揺れる薄の穂は受粉し種子が熟するまで穂は閉じ、やがてタンポポのように花粉を飛ばし秋の終わりとともに枯れてしまう。

おれは河原の枯れすすき・・・と歌にあるような弱い薄ではない。冬にススキの新芽は情熱の赤い色を保ち、野焼きにも耐え新芽が春に顔出すプライドの高い野草である。くれぐれも薄でケガをしないように。