好曲好盤探訪

名曲か、名盤か、というより、個人的好みで好きな曲の好きな演奏との出会いを求めてボチボチと。同じような方の参考になれば

チャイコフスキー ピアノ協奏曲第1番 マツーエフ/ゲルギエフ/マリインスキー劇場管

2015-08-12 21:26:55 | チャイコフスキー ピアノ協奏曲第1番
チャイコフスキー
ピアノ協奏曲第1番

ピアノ…マツーエフ
指揮…ゲルギエフ
演奏…マリインスキー劇場管
好み度…3.5(5点満点)

不思議な盤である。
これだけばりばり迫力の強打がありながら、あるいはめくるめく音の回る技巧が披露されながら、
オケも当代切っての指揮者が丁寧に音を作っていながら、
なぜか感じるものがない、という不思議。
オケに対しピアノがかなり前に出た演奏で、とにかく硬くばりばりしたピアノの響きが印象的であり、弱音部ではぐっとスピードを落としたりしているが、叙情的な美しさという風にはなっていない気がする。マツーエフが、「らしさ」にこだわるあまり何か空回りしているような、そんな音が綴られている印象。
第1楽章はオケがぐっと後ろに引いた、重く、強いが何となく覇気も華も感じられない響きの序奏に始まり、その後もばりばりした強打と目まぐるしい技巧に、ちょっとこちらが引く思いを個人的には感じる。
一転、終楽章では今度はピアノのばりばりした響きはなく、特に聴かせどころもないまま軽く速くあっけなく終わってしまう印象。
同じコンビのラフ3が素晴らしく、期待しすぎたのかもしれないし、あるいはこのコンビ向きの曲ではないのかもしれない。
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チャイコフスキー 交響曲第5番 バルビローリ/ハレ管

2015-08-12 21:19:23 | チャイコフスキー 交響曲第5番
チャイコフスキー
交響曲第5番

指揮…バルビローリ
演奏…ハレ管
好み度…4.5(5点満点)

ネットでは録音の悪さを残念がる記載が見られたが、少なくともバルビローリ協会盤を聴く限り、録音は少々古めかしくはあるが特に悪くない。
第1楽章はどちらかといえば速めのテンポで叙情性や潤いとかはお構いなしに弦も金管も豪快に鳴らして押していくタイプの印象。
アンサンブルもそれなりに揃っていて、野性味を感じる豪快な雰囲気の印象を受ける。
一転、第2楽章は冒頭の弦も結構深い響きで、続くホルンの独奏部分から弦による主題の提示等、落ち着いた音色と叙情性を出していて、終盤近くの弦楽器による高揚部も高らかに美しく、全体的に特にテンポを落としたり叙情性を強調しようというところは見られないが古風で落ち着いたよい雰囲気を聴かせているように思う。
終楽章はむしろ落ち着いた響きとテンポ設定で展開、フィナーレは結構おおらかに勇壮に謳いあげて〆ている。
バルビとハレのチャイコ後期3交響曲の中ではまず1番のできと思うし、特に第2楽章や終楽章など、そのよさを素直に聴かせてくれていると思う。

※20210211 好み度4から4.5に変更 久しぶりにバルビ協会盤でなく通常盤を聴いて。こちらの盤でも録音の悪さは感じないし、かつては何を期待して聴いたのか定かでないが、改めて聴くとバルビローリらしい歌と豪快さがあってこりゃいいではないか、と。
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ブラームス 交響曲第1番 テンシュテット/ロンドンフィル

2015-08-12 21:06:30 | ブラームス 交響曲第1番
ブラームス
交響曲第1番

指揮…テンシュテット
演奏…ロンドンフィル
好み度…4.5(5点満点)

気迫に満ちた演奏である。
美しさとか上手さとか、そういうところに主眼を置いた演奏ではないのだろうと思う。
むしろ粗いくらいに、この曲の持つ熱と強さを、飾らずに力強く解放したような、緊張感も湛えた演奏である。
テンシュテットというと残響の多い録音が多い印象だが、この録音はむしろ残響は少なく、晩年のテンシュテットの演奏で印象的なフルートが力強い演奏の中で独特の雰囲気を醸してもいる。
冒頭から武骨なまでの強さに満ち、情感の込められた響きや堂々たるフィナーレなど聴いていると、晩年の録音であることも考えると何かテンシュテットが、万感の思いを込めたような、また、それに応えようとするロンドンフィルの面々の想いが感じられるような、また、熱狂的な拍手も、そんな状況を受けての聴衆の想いが込められているような、そんな思いさえふと感じる、名演でしょう。
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