これは’99の作品。90×180cm。タイトルは「引力」
生きていると色々な引力を感じます。
人との出会い、何となく入ったお店でかかっていた音楽・・。
偶然とは、どこかで必然のような気もします。
不思議と気の合う者同士がそばにいたり、好きな作家のことを調べていると
同じ色や音楽が好きだったり、趣味が似ていたり。
一つの事を突き詰めていくと、全てのことは繋がっているんだと実感します。
そしてその実感は、自分を理解し確認することにもなるんです。
私が最初に書が勉強したいと思ったきっかけは、出版社に勤めていた頃
取材で出かけた先の百貨店で、たまたまやっていた中川一政書画展に
ふらりと入ったことでした。
当時95歳だった中川一政さんの書画は、力強くおおらかで自由で、
見た瞬間、全身鳥肌が立ちました。
こんな書もあるんだ!という衝撃と、私もやってみたいという衝動に駆られ、
会社に戻るなり退職願を出しました。
その後、好きな書、好きな作家を辿っていくと不思議と似たような、あるいは
同じ場所に行き着くのです。
引力とはご縁。
引いたり押したりの力が弱いと、ご縁も薄くなってしまうような気がします。
ひとつのことでいい、吸い込まれるように夢中になりたいものですね。