「2020年最初の関西旅行記 #3-2」のつづきは、平等院のミュージアム、鳳翔館のお話。
当日のダイジェストでも書いたように、鳳翔館(平等院の拝観料600円だけで観られます
)は、ほ~んと、良かった
ほ~んと、ほ~んとに良かった
お宝を並べて「凄いだろう
えっへん
」じゃなくて、鳳翔館は、もちろんお宝
も展示してあるのだけれど、その見せ方が美しいし、約950年前の創建当初の姿を復元して見せてくれるのが素晴らしかった
2001年にオープンした鳳翔館は、2015年9月に照明設備のリニューアル
が行われたそうで、Panasonicのサイトによると、その監修は東京国立博物館が誇る照明
のプロ、木下史青さんなんだとか
その木下さんの、「薄く光っている雲の中から仏様がふっとお出ましになるイメージ」という指示による国宝「雲中供養菩薩像」は、まさしく3D的に菩薩様たちが私の周りを舞っている感じ
全部で52躰の菩薩様たちは、その半分が鳳翔館に移され、もう半分は鳳凰堂内部の壁面にいらっしゃるのだそうな。
楽器を演奏している菩薩さま、踊る菩薩さま、合掌(合唱ではない)する菩薩さまとお坊さん、どれ一つ同じお姿のものはありません。
今でこそ素木が変色したような茶色一色ですが、創建当初は、彩色されていたそうで、その復元模刻像が、鳳翔館では「#3-2」で書いた梵鐘
の現物の次に展示されていました。
この復元模刻像は Impactが大きくて(あとから来たおばちゃんたちも「うわぁ~、きれいねぇ~
」と萌え上がって
おりました)、このあと観ることになった「雲中供養菩薩」の群像展示では、たった1躰の復元模刻でもこんな
なのに、往時はどんなありさまだったのだろうか
と想像が大きな翼を広げて舞い上がりました
それに追い撃ちをかけるように、次の中堂内部を復元した展示室では、、、
ここは当日のダイジェストを再掲するのがよろしいでしょ
その中でも、鳳凰堂内部の彩色を再現
した展示室は、一歩足
を踏み込んだとたんに、目
を見開き、口をほわぁ~~
と開けてしまう見事さ
私のちょっと後に入室してきたおばちゃんなんかは、
あらあら、凄い
あらあら、凄い
あらあら、凄い
とリフレイン3回で、MISIAのライヴ
でもこんな聴衆
がいたりするなぁ…と思ったりして
[再掲ここまで]
私は、ミュージアムショップで「平安色彩美への旅~よみがえる鳳凰堂の美~」「平等院 雲中供養菩薩」の2冊の図録を購入しました。
上に載せた画像は「平安色彩美への旅」から拝借したものですが、こんな「極楽浄土」の中に足を踏み入れる感覚って、そうそうあるものじゃありません
次の展示室には、鳳凰堂中堂の屋根で踏ん張っていらしゃって、現在は隠居された鳳凰一対の現物や十一面観音立像ほかが展示されていました。
鳳凰の説明
を読んで知ったことがいくつかありまして、まず、鳳凰がうなじに宝珠を着けていること、そして、宝珠に付属していた火焔が欠損していること。
右に載せたポストカードではよく判りませんが、一万円札の裏を見ると、
ね? 着けてますでしょ、火焔レスの宝珠
ほかの鳳凰はどうなんだろ? と思って、2011年に撮った金閣寺の写真をガサゴソすると、
うん、うん、こちらは火焔付きの宝珠を装着しています(解像度が低くてすまぬ)。
また、高御座(こちらの記事をご参照方)は? といいますと、
ありゃま、宝珠は着けていません
「鳳凰に宝珠」はお約束ではなかったんですな…
もう一つ、鳳翔館の説明で知ったのは、鳳凰堂の鳳凰には「毛」が植えられていたらしいということ
鳳凰に32個の「毛穴」が開いているそうで、「平安色彩美への旅」
には、その復元CGが載っていました。
あれまぁ~ ステキじゃございませんか
平等院が「新たな科学的知見や古文書をもとに、鳳凰像の往時の姿を7分の2の大きさの青銅製レプリカで再現した」という2014年7月のこちらの記事によると、
本物の7分の2の大きさである高さ30センチの青銅製レプリカに、金メッキした銅製の針金に赤・黄・青・白・紫の五色の絹糸を巻き付けた「毛」が取り付けられた姿は、まさに屋根に降り立たんとする際、風になびいているかのようにみえる。
だそうです。
中堂の屋根の鳳凰にもこの「毛」を着けてほしいとは思いますが、「金メッキした銅製の針金に赤・黄・青・白・紫の五色の絹糸を巻き付けた『毛』」だと、あっという間にボロボロになってしまいそう…
至極満足のうちに展示室から出てくると、ミュージアムショップがありました。
オンラインストアを見てお判りのとおり、かなり充実した商品ラインナップ
結局は前記の図録2冊
だけを購入しましたが、最後まで迷った
のが、「雲中トランプ」(800円)でした。
考えてみれば、「雲中供養菩薩」は全部で52躰あって、13枚×4組=52枚でトランプにはピッタリ
しかも「ジョーカー」には、鳳凰一対を と、できすぎの感すらあります。
でも、これを買ってどうする? と冷静な私も存在しておりまして、購入の決断には至りませんでした。
やはりどうしても欲しい となれば、平等院を再訪したときに購入するか、オンラインストアを使う手もありますし…
結論 平等院ミュージアム鳳翔館は、お薦めです
おっと 書き漏らすところでした。
鳳凰堂の鳳凰と一万円札とのお話で、こちらの日経の記事が素晴らしいです
裏面に鳳凰の絵が描かれている現行の一万円札が発行された2004年11月の、平等院・神居文彰住職と当時の日本銀行・福井俊彦総裁との会話。
神居:なぜ一万円札の裏の絵柄を鳳凰にしたのですか?
福井:人々に幸せや喜びをもたらすという伝説の鳥が、お札になって世界中に流通すれば素敵だと思ったからです
現行の紙幣は、一万円、五千円、千円の3種そろって、2024年に「引退」し、一万円札は、表が福澤諭吉から渋沢栄一へ、裏は鳳凰から東京駅丸の内駅舎にバトンタッチされます。
現行一万円札が流通しているこの約15年間をふり返れば、一万円札の鳳凰はあまり「人々に幸せや喜びをもたらす」ことができなかったのが残念です。
つづき:2020/02/09 2020年最初の関西旅行記 #3-4