映画「風立ちぬ」を観てきました。
レビューを見ると、「賛否両論」が続出で、しかも極端 ちょっと引いてしまうのですが、私としては「好きな映画
」です。もう一度観に行こうかと思うくらい…
ただ、「万人にお薦め」とはならないのがやっかいなところで(というか、幼い子どもをこの映画を見せに連れて行くのは止めた方が良いっつうか、お金のムダっつうか、周りの観客の邪魔になるだけかも…)、ファンタジー性を期待していた人や、たらぁ~と感覚的に「眺めていた」だけの人には、「何これ」なんだろうなと思います。
NHK大河ドラマのような「主人公の劇的な人生を通して時代を描く」とは対極にあるような、主人公とその周辺を淡々と描いた作品ですから。
象徴的なのは、関東大震災(明日が記念日だ)に遭遇するシーンで、なんの事前情報(日付や場所など)もなく、突然地震が発生します。これが関東大震災だと判らなかった観客が結構いたかも…
。
このとき、大勢の人たちが阿鼻叫喚の地獄図絵の中で逃げまどったと聞きますが、主人公は、大学に飛んでくる火の粉から図書
を守ろうとドタバタする程度で、大震災の「周辺」に留まっています。
戦時中の主人公も、戦争そのものと直接関わるシーンは皆無で、ひたすら戦闘機の設計に没頭しているといった具合。菜穂子さんとの美しくも悲しい話はありましたけれど…。
この作品は、宮崎監督が、敬愛する堀越二郎さんを描いた「私的な作品」なのだろうなと思います。「単なる自己満足作品に金を払わされた」と憤慨している方々もいるようですが、たまにはイイじゃありませんか。そんなわがままが許される
だけの実績を積み重ねられた方なんですから、宮崎監督は…。
それにしても、「戦争を肯定してる」とか、「右傾化の現れ(こちらをご参照方)」とか、「煙草を吸うシーンが多すぎる」とか、まぁなんというか、バカバカしい批判が多いなぁ…
この作品のなかのこのシーン、「いかにもジブリ」なスチルですが、
私はクロード・モネの「日傘の女」を連想していました。
光とか風とかパラソルとか、帽子とか、雰囲気が似ています。
と思ったら、私と同じような印象を持った方がいらしたようで…(こちらとかこちら)。
ところでこの記事のタイトル「サバの骨の曲線美」ですが、サバの味噌煮を食べる主人公が、サバの骨の曲線に「美」を感じるエピソードが好きです。
考えてみれば、サカナの骨、とくにあばら骨は、水の抵抗を小さくする体型を形作るものですから、飛行機の機体と相通ずるものがありそうです。
「高機能=美」とは限りませんが、主人公のいう「美しい飛行機をつくりたい」は、単に形が美しい飛行機をつくりたいのではないことが、示されているエピソードだと思います。
これから映画「風立ちぬ」を観ようかとお考えの方へ、もう一度、アドバイス。
「ジブリ作品だから」という先入観を捨てましょう。そして、子ども向けの作品ではありません。小学生(一部の中学生・高校生、そして一部の大人)には理解不能だと思います。
ちなみに私、文系なんですけど、学生の頃、こちらの本を読んで、メーカー
に就職したい
と思いました
![]() |
<nobr>零式戦闘機 (文春文庫 や 1-1)</nobr><nobr> 価格:¥ 660(税込) 発売日:1980-04</nobr> |
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます