「男鹿にドライブ #1」のつづきです。
2009年8月ですから、もう10年近く前になりますが、わが故郷で初めてのMISIAのライヴ「MISIA星空のライヴV Just Ballade」が開催され、私は母を連れて参加しました。
なんともなんともすばらしいライヴで、そのときのことを書いたこちらの記事から引用しますと、
MISIA名付けるところ「秋田記念日」のMISIAは、まさに絶好調 声の伸びも響きも声量もフェイクも、これまで私が聴いた中でbest
じゃないかと思えるほどで、MISIA自身も相当ノッていた様子。
で、
こんな「絶好調のMISIA」の陰には、「ナマハゲさんのお洋服から抜け落ちたワラ(MISIA談)」が大きな役割を果たしていたようです。
MISIAは前日の(2009年8月)26日、男鹿半島に出かけてきたそうで、そこで生の「ナマハゲさん」を見て、ナマハゲの由来や内容を聞いたんだとか(もしかして行った先はこちら?)。そして、身につけると体が丈夫になると言われる「ナマハゲの衣装から自然に抜け落ちたワラ(むりやり引っこ抜いたものはダメ
です)」を拾って、首に巻いたとな。
MISIAは、「そのせいか、のどの調子が良いんです」と言いながら、ステージ上のドリンク用テーブルに用意されていたそのワラを会場のみんなに見せてくれました。
実際、MISIAが出かけたのは、なまはげ館と男鹿真山伝承館で、後日、当時存在していた「Preci●us Treasure」というスペシャルサイトにMISIA自身が撮影したという動画レポート
がアップされました。
なまはげの猛々しい登場に、MISIAが悲鳴
を上げて、映像が揺れる なんて楽しい
動画レポートだったのですが、秋田県人たる私がなまはげ館と男鹿真山伝承館に行ったことがないというのはどうよ
という気持ちになったのも事実であります。
そのときから苦節(?) 10年を経て、遂になまはげ館と男鹿真山伝承館に行ってまいりました
寒風山の頂上からクルマを走らせること約30分
でなまはげ館と男鹿真山伝承館の駐車場
に到着しました。
駐車場は結構なスペースがあるというの、秋田以外のナンバーをつけたクルマで一杯
そうそう、この際に書いておきますと、この日利用した駐車場は、すべて無料でした。
偉いぞ、男鹿
さて、まずはなまはげ館。
こちらは、「なまはげ」の伝承や歴史についてのパネルや映像展示、昨年11月になまはげと一緒に「来訪神:仮面・仮装の神々」としてユネスコ無形文化遺産登録された日本各地の「来訪神」の説明パネルが展示されていました。
そして、目玉は、男鹿市内全域と隣接する町で集落ごとに行われているなまはげの面がど~ん
と展示されている「なまはげ勢ぞろい」。
もう一丁
「男鹿市内各地で実際に使われていた110体&40枚の多種多様ななまはげ面」を見ていると、よく見かける赤鬼&青鬼の「なまはげペア」は、観光用のステレオタイプ化されたものなのだと痛感します。
どのなまはげ面も、素朴で、よい意味で不細工で、各集落の素人が仕事の傍ら、隣近所を訪問(お祓い)するために作った
んだなぁ~
ところで、私はなまはげ館の受付で男鹿真山伝承館との共通券を購入しておりまして(JAF割引で814円
)、男鹿伝承館の「ナマハゲ習俗学習講座」は13:30からの回が指定されていました。
なまはげ館は予想以上にあっさりと見終わってしまって、さて、13:30
までどうしようか、思いましたが、隣接する軽食コーナー・道楽亭でカレーうどん
を食べると、ちょうど良い時間となりました。
古民家を利用しているらしい男鹿真山伝承館の前には13:30からの「ナマハゲ習俗学習講座」を待つ人たちが長い行列をつくっていました
ちょっとここで補足説明を。
「ナマハゲ習俗学習講座」とはずいぶん固い表現ですが、要は、大晦日の夜、真山地区のとある民家になまはげがやって来た様子を再現・体験しようというもので、MISIAが「Preci●us Tresure」
に動画をアップしていたアレです。
で、入口を入り(受付の内側の壁にはいわゆる有名人たちの色紙が飾られていましたが、MISIAのものは見つけられませんでした)、
(舞台となる)客間を通ってその奥の部屋へ…。
8畳ほどの「観客席」はぎっしり満杯で、私は「MISIA平成武道館」の 2 & 3日目に続いてまたしても最後列
で、まず、前説があって、
「この家のご主人」のご挨拶のあと、先立のおじさんとご主人が「さびどこ、よく来てけだすな(=寒い中、良くおいでくださいました)」などと会話を交わしたあと、いよいよ、なまはげが大きな物音と足音、そして雄叫びと共に乱入
薄暗い上になまはげの動きが速くてうまく撮れませぬ
ちなみに写真 動画
とも撮影可
です(動画用のライティング
はダメ
)。
なまはげの定番のセリフの「わり子はいねがぁ~(=悪い子はいないかぁ~)」に、「いませぇ~ん」と叫ぶ子がいて、かわいいったらありゃしない
なまはげは、料理とお酒
でもてなされたあと、その家の子どもや嫁さんの近況をご主人からヒアリング。
ご主人は、「しっかりした子と良くできた嫁だと近所でも評判だ」と説明するものの、なまはげは、持ってきた「台帳
」を見て、「子どもはテレビでゲームばりしてるし、嫁は食事も作らねで、しょっちゅうカラオケさ行ってる、って書いであるど」と責め立てます。
ご主人はなんとかなまはげを言いなだめて、これで終わりかと思いきや、なまはげはこんどは観客席に乱入
でも、さすがに観客の子どもたちには優しく接していたなまはげさんでした。
以上で、拍手をもって「ナマハゲ習俗学習講座」はお開きとなり、客席の最前列に座っていた人たちは、競って「落ちているワラ」を拾っていらっしゃいました。
退場のとき、なまはげに供された料理を拝見。
煮物、紅白なます、タコ足の刺身、そして焼いたハタハタ…。
まさしく秋田の年末料理の定番でございます
ということで、楽しかった…
集落ごとに実施されるなまはげですから、どの家の子はどんな子かは、なまはげ(役)は熟知しているでしょうから、脅す限度も承知
してるのでしょう。
MISIAの「なまはげはコミュニティ全体で子どもを躾ける素敵な行事」という認識に同感です。
いつだったか、酒が回ったなまはげが粗相
する事件があったり
、若い人が減ってなまはげのなり手がいない
とか、襲撃
するべき子ども自体が減っている
といった課題
を抱えるなまはげですが、観光アイコンとしてだけでなく、地域の重要な行事
として受け継がれていって欲しい、と心底思いました。
つづき:2019/05/05 男鹿にドライブ #3:入道崎・完結編
なまはげって、子どもを怖がらせるイメージばかりがクローズアップされますが、その標的は子どもと嫁さんなんですな。
そして、コミュニティに加わって月日の短い子どもと嫁さんを、仲間に加えるための「教育」なんですね。
いろいろ深いです。