『もの食う人びと』、12月に読了。辺見庸著。角川文庫。1997年6月刊。
世界各国での「食」をめぐるルポ。
『ミンダナオ島の食の悲劇』(p.45)。「「謎なんだな」・・・それがいまどうしても謎だというのだ。戦争とそれに伴う極限状況が人類最大のタブーを破らせた」(p.48)。
『食と想像力』(p.56)。「私の家のトラ猫・・・猫缶・・・月の食費・・・猫缶製造労働者の平均月収の三分の一以上に・・・」(p.56)。「「あなたの家の猫が食べている缶詰が、どうやってできたものか想像してみたことがありますか?」と」(p.61)。
『胃袋の連帯』(p.62)。「世界一大きいレストラン」。ローラースケートを履いたウエイターたちの滑走。「・・・手で食おうが、フォークとナイフを使おうが、箸でつまもうが、あなたの勝手。かくて、民族、宗教、階級が、平和裏に渾然一体となり、巨大空間における壮大無比の「共食」が展開されるのである。人類は頭ではだめでも、胃袋で連帯できるのかもしれない。・・・もの食う人びとの大群のただなかにいると、そう思えてくる・・・五千人が同時に食事できるこの店で、民族、宗教問題・・・」(pp.64-65)。