// (2024年07月02日[火])
2011年11月22日の東京新聞の記事を読み直してみた…山内悠記子記者による記事【再発防止策 見いだせない 松本サリン被害 河野義行さん】。
『●河野義行さん、死刑制度廃止を』
記事を、以下に再掲してみます。
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【https://blog.goo.ne.jp/activated-sludge/e/5a446bb501f4fdb34b71de9a6eded9d9】
再発防止策 見いだせない 松本サリン被害 河野義行さん
2011年11月22日 朝刊
「事件前に戻ることはできない。ならば死刑囚らを恨み続けるような人生の無駄はせず、残された者として平穏に生きる」。一九九四年の松本サリン事件の被害者でありながら当初、警察の家宅捜索を受けるなど二重三重の苦しみを味わった河野義行さん(61)は、十七年の思いをかみしめた。日本を恐怖に陥れたオウム真理教の一連の事件の公判は終結したが、真相はいまだ見えないままだ。
「私にとってのオウム事件は、妻が亡くなった二〇〇八年八月に終わっています」。河野さんの妻澄子さんは、サリンの後遺症で寝たきりになり、六十歳で亡くなった。河野さんにとって、事件が起きた最初の一年は、犯人視する警察の捜査とマスコミの報道被害との戦いだった。「冤罪(えんざい)」が晴れてからは、三人の子どもへの親としての責任を果たし、妻の回復を願い続けて生きてきた。
ただ、首謀者とされる麻原彰晃死刑囚(56)=本名・松本智津夫=の二審で実質審理がなかったことには「なぜ国家転覆を狙ったテロが起きたのか、本当に首謀者だったのかなど真相が分からず消化不良。再発防止策が見いだせない」と残念そうな表情を見せた。
一方で、「裁判が終わったことで口を開く人が出てくるかもしれない。テーマを持ったジャーナリストに真相究明を期待したい」と望んでいる。
今後は麻原死刑囚ら死刑確定者の執行に世間の関心が移る。死刑制度については「現行法では合法で正義だが、個人的には、どの命もかけがえがなく、冤罪防止のためにも廃止すべきだと考えている」と話す。
松本サリン事件で使われたサリン噴霧車の製造にかかわり懲役十年の刑を受け、出所後に自宅を訪れた元信者とは友人になった。刑務所で覚えた技術を生かし、自宅の庭木の手入れを任せ、今でも温泉や釣りを共にする。「社会的に罪もつぐない、反省もしている。友人になりたいと思った相手だから」
一昨年と昨年には東京拘置所で、二十一日に上告棄却となった遠藤誠一被告(51)=一、二審死刑=ら教団元幹部四人とも面会。死生観や入信の動機などを聞く中で、「ごく普通の人。むしろ他の人より真面目」という印象を持ったという。
自身が受けた報道被害については「事件報道で、マスコミが警察からの非公式情報を基に危うい橋を渡るシステムは、いまも当時と変わっていないようにみえる」と話す。
澄子さんの三回忌と還暦を迎えた昨年、人生をリセットしようと鹿児島に移住した。講演活動も減らす予定でスローな生活を送る。「今後は隠居生活。いかに心地よく死ぬかがテーマです」。穏やかに語った。
(山内悠記子)
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当時のブログ…:
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『●河野義行さん、死刑制度廃止を』(2011年11月29日 00時00分57秒)
…「事件前に戻ることはできない。ならば死刑囚らを恨み続けるような人生の無駄はせず、残された者として平穏に生きる」、「個人的には、どの命もかけがえがなく、冤罪防止のためにも廃止すべきだと考えている」、「社会的に罪もつぐない、反省もしている。友人になりたいと思った相手」、「いかに心地よく死ぬかがテーマ」。あの河野義行さんだからこその重い言葉。酷い冤罪被害者として、また、奥様を殺された河野義行さんの重い言葉である。被害者であるにもかかわらず、おどろおどろしくプライベートを暴きたてた当時のあのマスコミのバカ騒ぎ、あれを経験されても、こういう言葉が出てくるのだから、すごい人だと思う。
もちろん私は被害者ではない。だからこそ、被害者感情を過剰に忖度しての死刑制度存置を支持する方々にも噛みしめてもらいたい、と思った。……
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『●飯塚事件…《DNA鑑定などを根拠に逮捕された久間三千年は、06年最高
裁で死刑が確定し、08年に急ぐように執行された。だが...》(政界地獄耳)』
『●目隠ししているヨーロッパの法律の女神、一方、ニッポンの法律の女神
は《目隠ししておりません》…冤罪で死刑執行されてしまった飯塚事件』
《被害者でありながら当初、警察の家宅捜索を受けるなど二重三重の苦しみを味わった河野義行さん》…何か変化の兆しはあっただろうか? 事件から7年程の2011年当時、《自身が受けた報道被害については「事件報道で、マスコミが警察からの非公式情報を基に危うい橋を渡るシステムは、いまも当時と変わっていないようにみえる」と話す》河野さん。それから十数年経って、何か変化の兆しはあっただろうか? (東京新聞社説)《死刑執行後、再審が請求された福岡県の「飯塚事件」(92年)を取り上げたドキュメンタリー映画「正義の行方」(今年公開)に、当時、事件を取材し特ダネを連発した地元紙記者が悔恨とともに、こう述懐する場面がある。「自分はペンを持ったお巡りさんになっていた」》。
東京新聞の【<社説>松本サリン30年 「ペンを持つ警官」の悔恨】(https://www.tokyo-np.co.jp/article/336223)。《松本サリン事件から27日で30年になる。長野県松本市の住宅街で1994年6月、オウム真理教幹部らが猛毒のサリンをまいて8人が死亡、約600人が重軽症を負った大惨事。報道機関としては、県警の捜査に沿って、第1通報者の河野義行さん(74)を容疑者扱いしてしまった、悔やんでも悔やみきれない事件だ。その反省を忘れず、事件報道のあり方を常に問い直していかねばならない》。
『●『野中広務 差別と権力』読了(2/3)』
《松本サリン事件で警察とマスコミに犯人扱いされた河野義行に、
国家公安委員長として率直に謝罪したのも野中だった》
『●『創 (11月号)』読了(2/2)』
《浅野健一さんの「松本サリン事件から14年、河野義行さんの妻、
澄子さん逝く」。犠牲者であり入院し、ずっと意識不明であり
ながら、「家族を支えた」澄子さん》
『●『月刊誌3冊』読了(4/4)』
「森達也さんの「極私的メディア論/第40回 死刑制度について」」
「松本サリン事件の河野義行さんについて、服役を終えて出所した
ある信者は庭木の剪定など河野さんの家を訪れており、親しく
両者は接している。「ありえない想像だけど、もしも麻原死刑囚が
家を訪ねてきたとしても、河野さんはきっと、よくいらっしゃい
ましたと迎え入れるに違いない」」
『●『貧困なる精神U集』読了(2/2)』
「インタビュー「加害報道 ―河野義行さんをめぐる松本サリン事件
の誤認捜査と誤報」。「許せぬ『週刊新潮』」」
『●『官僚とメディア』読了(2/3)』
《客観報道主義は無責任主義の別名…。…河野義行さんのケース…》
《地下鉄サリン事件や和歌山カレー事件など重大事件が起きるたびに
メディア・スクラム(集団過熱取材)が繰り返される…》
《…記者クラブ制度…。…記者たちはいつのまにか権力との距離感を
見失い、最も大事な批判精神をなくしてしまう》
『●『A2』読了』
『●『A3(エー・スリー)』読了』
『●河野義行さん、死刑制度廃止を』
『●「災害に便乗する「巨大復興」」
『週刊金曜日』(2014年3月14日、983号)について』
「浅野健一さん【被逮捕者に肖像権はないのか 柏連続殺傷事件】
《メディアは行き帰りで、男性の顔を撮影し報道した。
引き回し写真は〝晒し刑〟にあたる…河野義行さんは…
「メディアは今も、警察が被疑者を逮捕したら犯人で決まりだ。
テレビ報道では、人相が悪い写真を選んで伝え、怪しい人という
情報しか報じない。…速報性の競争をやめるべきだ」と提言》
『●「殺すなかれ…」…「彼らを処刑することが「社会正義」なのだろうか」?』
『●オウム死刑囚大量執行…アベ様や上川陽子法相は
「前夜祭」を催し、死刑さへも「サーカス」に使う悪辣さ』
《九四年の松本サリン事件で当初、容疑者扱いされた河野義行さん
…は四月の本紙の取材に「麻原死刑囚は否認しているが、
控訴審もしていない。真実に迫るためには控訴審が必要だった
のではないか。(起訴内容が)本当に事実かと疑問が出ても不思議
ではない」と述べた。
「命は大切なものだから死刑そのものには反対だ」とも話していた》
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【https://www.tokyo-np.co.jp/article/336223】
<社説>松本サリン30年 「ペンを持つ警官」の悔恨
2024年6月27日 07時52分
松本サリン事件から27日で30年になる。長野県松本市の住宅街で1994年6月、オウム真理教幹部らが猛毒のサリンをまいて8人が死亡、約600人が重軽症を負った大惨事。報道機関としては、県警の捜査に沿って、第1通報者の河野義行さん(74)を容疑者扱いしてしまった、悔やんでも悔やみきれない事件だ。その反省を忘れず、事件報道のあり方を常に問い直していかねばならない。
県警は事件の翌日、サリンがまかれた駐車場隣の河野さん宅を容疑者不詳の殺人容疑で家宅捜索。捜索場所として河野さんの実名を発表した。本紙など報道各社は「薬品調合中に発生」「第1通報者が関わっていたとは」など「河野さん=容疑者」のように報道した。
河野さんは自身がサリンを吸った被害者だったが、入院中も県警の事情聴取を受けた。妻はサリン中毒で倒れ、意識不明のまま2008年に亡くなった。河野さん宅や弁護士の事務所には、無言や嫌がらせの電話がやまず、誹謗(ひぼう)中傷の手紙も数多く届いたという。
本紙の取材では、長野県警は事件翌月にはオウム真理教の捜査を始めていた。だが、河野さんへの厳しい取り調べと河野さんを疑う報道は続いた。1995年3月の地下鉄サリン事件で教団幹部が一斉逮捕されて初めて、捜査や報道の誤りを認め、国家公安委員長、長野県警本部長や、本紙を含む報道各社が河野さんに謝罪した。
30年の節目を前に、河野さんの長女(当時高校生)は「(何があっても)日常の維持に努めた」と語り、次女(同中学生)も「学校では全くいじめはなく、日常を保てた」と振り返ったが、家族への影響は小さくなかったはずだ。捜査や報道を厳しく批判していた河野さんも後年、「人を憎んだり、恨んだりしない」境地に達したと語るようになったが、捜査や報道の罪深さが減じることはない。
死刑執行後、再審が請求された福岡県の「飯塚事件」(92年)を取り上げたドキュメンタリー映画「正義の行方」(今年公開)に、当時、事件を取材し特ダネを連発した地元紙記者が悔恨とともに、こう述懐する場面がある。「自分はペンを持ったお巡りさんになっていた」。事件報道に携わる記者なら思い当たる部分があるのではないか。捜査の動きを追うのは職責だが一体化はしない。冷静な報道者としての判断力を磨きたい。
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