十六日、また内視鏡の検査を受けました。
消化器系なので、行くのは湯島の検査センターではなく、前に入院したことのある新松戸の病院です。検査は十一時過ぎから。電車で一駅なので歩いて行くことにしました。
予約表には、指定時間の十五分前においでください、と書いてありますが、検査も診察もこちらが忠実に時間を守っても、時間どおりに始まるということはまずありません。
内視鏡室は病院の一番奥にあって、レントゲン室、エコー検査室などが並んでいます。
一昨年の十一月、這々のていでこの病院に辿り着いて診察を受けたら、緊急扱いといわれてストレッチャーに載せられ、レントゲン室、内視鏡室と引き回されることになりました。
そして、あれよあれよという間に「入院」ということになってしまったのですが、ストレッチャーに仰向けで寝ている私の眼に入るものは病院の天井しかなかったし、呆然としているうちにコトは運ばれたので、レントゲンを撮るために運び込まれたのはこの部屋だったのかどうかも定かではありません。
内視鏡検査そのものは十五分程度で終わります。
前の検査では一時間後に水を飲み、異常を感じないようなら食事をしてよいといわれましたが、この日は検査をするために胃の組織を採ったので、制限時間が二時間と長くなりました。
前回(四月)の内視鏡検査のときはブスコパンという注射を打たれましたが、今回は喉の麻酔薬を服んだだけです。部屋は前回は明るいままでしたが、今回は暗くなりました。
診察の予約が入っていたのは二時間後です。
前夜から何も食べていないので、腹が空き始めていましたが、食事ができるのは診察を終えてから、ということになります。
コーヒーを飲むことはむろん、何も食べられないのですから、喫茶店に入って、診察が始まるまでの時間を潰すわけにもいきません。近いので家に帰る時間はありますが、水すら飲めないのでは、帰ってもしょうがない。
どこか適当に散歩しながら時間を潰そうと思い、あじさい通りへ行くことにしました。
開花する株がふえるのにつれて見物客もふえてきました。
このあじさい通りでは「※住宅街の中にあるため車での来訪はご遠慮ください」とありますが、そのように書かれているのは流山市役所で出している観光マップだけです。現地にはなんの表示もないので、遠慮なしに車が入ってきます。
まぁ、このへんの住民は「自転車は降りて通行してください」という注意書きが出ていても、100%降りないのですから、相手ではなく、自分にとって面倒な所作を伴う表示であれば、守ろうとする気はないので、何か掲示を出したところで、無駄なことではありますが……。
車がすれ違うのはやっと、という感じの狭い道ですが、普段は地域住民が利用するだけですから、一方通行にはなっていません。勝手を知らぬ車も入り混じって、そこらじゅうで角突き合わせていました。
ここに紫陽花(アジサイ)があると知って、初めてきたという人ならしょうがないと思いますが、すれ違った車の運転席で「ほら、きれいだろ、この先にもまだ咲いているんだよ」と助手席に乗せた彼女に自慢している(自分が育てたわけでもないのに)輩は、どう考えても確信犯です。
やれやれ。先の大震災で日本人全員が他人を思い遣るようになり、優しくなった、と感じたのは私の見当違いだったようだ。そう思いながら、あじさい通りを離れました。
キウイ畑のある坂を上り、坂を下っても、思ったほど時間は経過していない。猫を見に行くことにしました。
この猫の名はミー。ほかの猫がいないときでも、この猫だけポツンといることがあります。しかも少し離れて……。
元は飼われていたのに(飼われる前は野良だったようですが)、なぜか家に馴染もうとはせず、再び野良化したのだそうです。かといって、遠くへ行ってしまったりはしないらしい。つかず離れずという感じ。干渉されたくないけれど、もらえるものはもらいましょうという姿勢のようです。
おやつを与えるためにしゃがみ込んでいたら、元飼い主の老嬢が出てきて教えてくれました。先日、顔見知りになりました。全部で十五匹も飼っているそうです。
上のミーにおやつを与えていると、いつも真っ先に出てくるのは左のヒロ(♀)と右のマユ(♂)。
二匹は兄妹です。ヒロは身体が小さいので、てっきり仔猫かと思っていましたが、つい先日二匹の赤ちゃん猫の母になったばかりです。
これは何日か前、ヒロの名をヒロとは知らぬころに撮った画像です。美女です。
アメリカンショートヘアが混じったようなのには、確かにアメリカンショートヘアの血が入っているそうで、名はシマタロウ(♂)。手前は名と性別を聞いたように思いますが、憶えられませんでした。
これも名前は憶えていません。
次から次へと出てくるものだから、飼い主である老嬢も「エエッと、これはなんだったかな」と、わけがわからんようになってきているので、私に到っては完全にわけがわからん状態です。
時間潰しの散歩の途中ですから、手帳など持っていない。あれもこれもと欲張ることは最初から諦め、この日は四匹の名前だけ憶えて、あとは憶えないことに……。無理に憶えようとすると、全部忘れてしまいます。
やがてヒロが産んだばかりという体長15センチほどの仔猫(二匹)まで出てきましたが、撮そうとしたらカメラは無情にも電池切れ。
画像はまた次の機会に……。