打越通信

日記ふういろいろ

草枕の旅(2/2)

2008-11-05 15:12:39 | 小旅行
小天(こあま)温泉「那古井(なこい)館」に着いた。
駐車場にはパラパラとクルマがあったがこのくらいなら大丈夫だろう。



玄関の横には夏目漱石が詠んだ詩の石碑があった。



小天に春を迎え・・・。
「温泉や 水滑らかに 去年の垢」とある。
この那古井の湯は、夏目漱石が名付けたようだ。

玄関の戸をあけて、『「おい」と声を掛けたが返事がない。』のだった。
しばらくして女将らしき人が出てきたので「温泉ははいれますか?」と聞いたらはいれますとの事。
「あがって左奥です」と言われるままに靴を脱いだ。



玄関の正面には若かりし頃の夏目漱石、『草枕』志保田の隠居のモデル、前田案山子と那美のモデル前田卓子の写真がかかっていた。
左に行き右に折れたら風呂があった。



妻と40分と約束して男湯と女湯に分かれて入ったのだ。
しかし温泉客は私たち二人だけのようだ。
そしてこれぞ本物の夏目漱石がこよなく愛した、小天温泉なのだ。
湯船につかり、妻に声をかけたら女湯も貸切のようだ。
天然かけ流しの安全な湯なのだ。



ゆっくりと足を伸ばし、漱石も熊本在住時代はこうやって山を二つも三つも超えて温泉に来たのか、と考えたのだった。

・・・こうして私たちの『草枕』の小さな旅は終わったのだ。

草枕の旅(1/2)

2008-11-05 07:43:26 | 小旅行
『山路(やまみち)を登りながら、こう考えた。
 智(ち)に働けば角(かど)が立つ。情(じょう)に棹(さお)させば流される。意地を通(とお)せば窮屈(きゅうくつ)だ。とかくに人の世は住みにくい。
 住みにくさが高(こう)じると、安い所へ引き越したくなる。どこへ越しても住みにくいと悟(さと)った時、詩が生れて、画(え)が出来る。』・・・で始まる夏目漱石の『草枕』である。

連休3日目、妻の体調も良くなり、一週間分の買い物を終え、正午前から『草枕温泉てんすい』に行く事になった。
本妙寺の横を通り、金峰山の横を抜けて河内に出る道をクルマでひたすら登る。
そして峠近くに『「おい」と声を掛けたが返事がない。』と漱石が書いた『峠の茶屋』がある。



峠を越え狭い道を今度は下り河内に着いた。
ここ熊本市河内はみかんの有名なところである。
熊本で初めてみかんが伝わったところでもある。
みかん畑には色づいたみかんが実っている。



そして河内から海岸線を玉名方面へ少し行くと、山のてっぺん近くに『草枕温泉 てんすい』がある。
初めて来たのだが、山間にあり何とも言えぬ雰囲気を持ったところだ。



駐車場は広々としているがかなりのクルマが止まっていた。
団体客でも来るのだろうか?
係りの人たちが出迎えている。



中に入った。



草枕とここ天水町とのかかわりを説明していた。



そして「笠智衆」はここの町の出身で名誉町民なのだ。



物産販売所や入浴施設、食堂、無料の休憩所などがあった。
妻が食事をと言うので食堂に入り食事をした。
ゆっくりと食事をして物産館など見て回った。
中庭にはなんと寅さんの映画看板があった。



何で寅さんがいるのか?
寅さん記念館でもあるまいし・・・と思っていたら、そう寅さんに出ている御前様は「笠智衆」だったのだ、納得した。

こんな人が多くては温泉も多いだろうと言う事になって。
小天温泉の那古井館へ向かったのだ・・・続く。