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将棋駒作家のつぶやき

失敗に学ぶ ~その3~

2021年03月16日 | 将棋駒製作
ネットで見つけた画像です。

偶然にもまた無銘の初代光匠書ですね。

思いの他、失敗した作品の情報がありますので、

その原因と改善方法を私なりに分析してみます。

駒づくりをされている方のお役に立てれば幸いです。

本当は自分の作品で紹介できればいいのですが、

失敗した画像を保存しておらず申し訳ありません。

また、シリーズ化できそうなのでタイトルは

「失敗に学ぶ」に改めました。



さて、画像の駒、そもそもきちんと彫れていないので、

アマチュアの方の作品だと思います。

その課題解決は前回記事(⇒失敗に学ぶ~その2~)を参照頂くとして、

ここでは錆漆(さびうるし)の問題についてのみ

コメントすることと致しましょう。

彫埋め駒は、彫刻刀で彫った部分を、

砥の粉と漆などを混ぜてペースト状にした錆漆で埋め、

それを平滑になるまで研磨して作ります。

研磨をしたときに、錆漆が平滑に仕上がらず、

ポロポロいいますか、

バラバラと剥がれ落ちてしまったのが画像の駒です。

考えられる原因は以下のとおりです。

複数該当している可能性もあります。

1.砥の粉が多すぎる(これは確定、そもそも錆漆が白っぽい)

2.錆漆の練り込みが足りない

3.錆漆内の気泡が抜けていない

4.錆漆の配合バランスが悪い(水か漆、あるいは両方とも不足)

5.錆漆の乾燥不足


失敗の数だけ間違いなく成功に近づいています。

無銘のあなたにエールを贈ります。

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