駒師「日向」のブログ 本店

プレーヤー目線で作る
将棋駒作家のつぶやき

角落ち上手戦記 下手矢倉定跡~その2~

2019年07月30日 | 対局日誌

●第3図までの指し手
▲2四歩
△同 歩
▲同 飛
△2三歩
▲2八飛
△4四歩
▲6九玉
△4三金
▲3五歩

改めて伝えるまでもなく、歩を手持ちにするメリットは大きい。上手は7筋、下手は2筋の歩を駒台に乗せ、双方少しずつポイントを稼ぐ。
▲3五歩は下手の主張、上手の左桂の活用を抑えつつ、上手の玉頭にプレッシャーをかける一手。

●第4図までの指し手
△7四金
▲6八角
△6一飛
▲7九玉
△7三桂
▲3六銀
△5五歩
▲同 歩
△6五歩
▲4六角
△6四金

上手の2二銀をカベ銀に固定したまま、中央から戦いを起こすのが下手の構想だろう。正しい大局観と思う。なかなか強い。
上手はそれが分かっていても、避けることが出来ない。これが駒落ちのハンディキャップだ。
5筋の歩を突き捨ててから▲6五歩で攻め駒の活用を図る。
矢倉が堅固なので、こんな軽い攻めで下手の堅陣がつぶれることはない。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

角落ち上手戦記 下手矢倉定跡~その1~

2019年07月28日 | 対局日誌
手合割:角落ち 
下手:某初段(1638)
上手:日向

△6二銀
▲2六歩
△4二玉
▲2五歩
△3二玉
▲4八銀
△8四歩
▲7六歩
△5四歩
▲6八銀
△5三銀
▲7八金
△4二金
▲5八金
△2二銀
▲9六歩
△9四歩
▲3六歩
△8五歩
▲7七銀
一気に20手ほど進めたが、角落ちではお馴染みの局面であり、また本局は長手数となった関係もありご勘弁願う。
本局は将棋倶楽部24での対局、下手は矢倉風だが居玉のままで一手一手の指し手が早く慣れを感じる。このあたりのところが牧歌的な町道場とは違う。油断は出来ぬと気を引き締めた。


●第2図までの指し手
△6四歩
▲6六歩
△7四歩
▲3七銀
△6二金
▲6七金右
△6三金
▲7九角
△7二飛
▲5六歩
△7五歩
▲同 歩
△同 飛
▲7六歩
△7一飛
案の定下手は▲3七銀で積極的な姿勢を見せたが、居玉のまま攻めてくることは無いだろう。攻めの形を作ってから自玉を固める指法は一理あり。より警戒心を強める。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

明朝 ~その10~

2019年07月25日 | 創作書体
明朝です。

全ての彫が終り、目止めをして、

漆を入れたところです。

画像には写っていませんが、

反対側の漆の色は黒色、

こちらは裏面です。

いつもそうしておりますが、

全ての駒に仕上げ彫をしましたので、

滲みさえなければそれなりの作品になると思います。

エッジに気を付けて綺麗に浅く彫れば、

彫埋め駒の方が簡単に出来てしまいますので、

一般的に彫駒の方が彫埋めよりも安価なのは、

私はちょっと変だなあと思っています。





コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

阿里 Round 1 ~その3~

2019年07月23日 | 創作書体
阿里の玉将、飛車、角行です。

プリンターがいまいちで、

印刷で滲んだところが

彫られずに残っています。

やっぱり安い物はそれなりです。反省。。

めげずに頑張ります。



コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

ピンホール修理 ~その1~

2019年07月21日 | 駒修理
芙蓉書の成香です。

かなり古く私の予想は昭和初期の作品、

骨とう品店で偶然見つけました。

作者銘が無くどなたの作品かは分かりません。

大阪駒だと思いますが、珍しい事に彫埋めです。

残念なことに、ご覧の様に無数のピンホールが発生しています。

大阪駒=彫駒というイメージですが、

どなたかが彫埋め駒制作に挑戦したのでしょうね。

失敗の原因は、

サビ漆の練り込み不足あるいはとの粉の分量が多すぎた、

といったところでしょうか。



全ての駒がこのような状態になっていますので、

修理するのは相当大変ですが、

現代の技術を使って修理してみます。

目止め剤を塗布してから、粘度の高い漆を盛ってみました。

成功するでしょうか?







コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

明朝 ~その9~

2019年07月17日 | 創作書体
明朝の裏面を彫っています。

書体銘も彫り終えていますので、

残すはと金のみになりましたが、

表面をもう少し工夫すべきか迷っています。

指導にも向く様に、

源平仕上げにすることだけは決めています。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

MOTTAINAI ~その63~ (初代書 Round7 ~その0~)

2019年07月15日 | 一字書
瑕疵あり木地で作っている初代書の玉将です。

天然の滲みがあって、

売り物にはなりませんが、

木地そのものは粘りのあるいい木地です。

根に近い部分かもしれませんね。

自分用ですから気楽です。

年内に完成するかな?

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

升田将棋の世界 ~その2~

2019年07月13日 | 雑感
升田幸三九段。

現代将棋に多大な影響を与えたその功績を改めて語る必要はないだろう。
ただし、彼の現役時代を知らない将棋ファンは多く、私もそのひとりである。
しかも、広島県の出身(現在の三次市)だったとは、己のアンテナの低さに愕然とする。

棋書そのものについての説明はこちらに詳しいのでリンクを引用させて頂く。
⇒棋書解説評価委員会

さて、最近のYoutubeでは、プロアマ問わず、棋士がインターネットで将棋を指しながら、自ら解説する動画が人気だ。私も複数のチャンネルを登録し楽しませて頂いている。

自分の心の中を全て知られたら将棋は必敗である。読み筋を含め相手の心理を読み合う、将棋の醍醐味はそこにあると言っても過言ではないだろう。
ところがIT技術の発達で、他人の将棋ではあるものの、プレーヤーの心理を聞きながら観戦できてしまう。
前代未聞、夢の様な世界がいとも簡単に実現してしまうのだから畏れ入る。

この棋書が著されたのはデジタル化の過渡期、題材としている将棋は更に以前のものである。




コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

升田将棋の世界

2019年07月08日 | 日向のひとりごと
これからの時代はますます発信が重要になる、
そう言われて10年前に始めたこのブログ。
ただ続けているだけでは文章は一向に上手くならないし、
当然内容も進歩しない。
自戦記を書き、都度それを痛感する。
若かりし頃もっと勉強しておけばと悔やんでも、
過ぎた時間は戻らない。
しかし、何かを始めるのに遅いも早いもない、
そんな誰かの言葉に勇気をもらい、
手本を探して古本屋へ。

時々訪ねるA古書店は棋書を多く有していたが、
観戦記系はほぼ皆無。
詰将棋、手筋、次の一手などの棋書は、
内容が古くならないので古書店に好まれる。
江戸時代に作られた詰将棋の図巧や無双が
その最たる例だろう。
しかし観戦記類は一部を除けば鮮度が命であり、
余程の良書でなければ重版、再版はされず、
絶対数が少ない。

消沈した気持ちを戻すべく喫茶店へ。
よく利用する店だったが、
反対側にも出入口があったことに初めて気づいた。
興味本位でいつもと違う方の出口から外へ出る。
何度か通った商店街へつながっていたことを理解した。
同時に自分はいつも裏側から入っていた事に気づき苦笑い、
それを見た女性が怪訝そうな顔をしており、
慌てて首を左下に振り、顔を隠す。
雑然と積まれた古本の山が目に入った。

喫茶店の隣は小さな古本屋だった。
店の間口は幅2メートルぐらいだろうか、
膨大な数の本が雑然と積まれていた。
店に充満する古い紙の臭いに吸い込まれ、
何かに操られたかの様に手がその中の一冊を掴む。

真部一男著 升田将棋の世界。








コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

角落ち上手戦記 対居飛車穴熊    ~その5~

2019年07月07日 | 対局日誌
●投了図までの指し手
▲7五歩
△4五銀
▲7四桂
△4二飛
▲6五歩
△同 桂
▲6六銀
△3三玉
▲7六金
△5三桂
▲5五歩
△4六歩


▲5四歩
△同 銀
▲6三歩
△同 金
▲投 了
まで103手で上手の勝ち


上手の駒の進撃が止まりません。下手は自陣を崩しながらも必死に手を作ろうとしますが、上手はどこまでも丁寧に面倒を見ます。
投了図は駒の損得がほとんど無く、穴熊の堅陣も綺麗に残っていますが形勢は上手勝勢、投了もやむなしかと思います。
穴熊囲いは確かに堅いのですが、上手はそれを相手にしない指し方を徹底しています。穴熊に苦戦している級位者の方には参考になるかも知れません。
悪手、疑問手連発のアマチュア将棋を最後までご覧頂きありがとうございました。


コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

角落ち上手戦記 対居飛車穴熊    ~その4~

2019年07月05日 | 対局日誌
●第7図までの指し手
▲7九角
△6四金
▲6五歩
△同 金
▲6六歩
△6四金
▲2九飛
△3五歩
▲2六飛
△3六歩
▲同 飛
△3五歩
▲2六飛
△3四金


申し訳ありませんが、下手の実力ではこの局面を打開できる有効手は指せないと上手は見ています。実際、下手の指し手は価値の低い手が連続しており、息苦しさが伝わってきます。
上手はプレッシャーをかけ続け、下手の暴発を誘います。
性格が悪いなぁ、と思われるかも知れませんが、勝負事にはこういう要素が必ずあり、そこにプロとアマの違いはありません。プロ棋士は立場上そういう事をはっきり言いませんが。。。
さて、ここで形勢判断してみましょう。
駒の損得は全く変化ありません。玉の堅さは大差で下手に軍配が上がります。手番も下手が握っています。持ち歩もそれぞれ2枚ずつですので、下手まだまだ有利ですが、、、

●第8図までの指し手
▲4六歩
△同 歩
▲4五歩
△同 桂
▲同 桂
△4七歩成
▲3三歩
△4三玉


5段目の歩を位(くらい)と言いますが、上手はそれが4つもあります。特に3と4筋の位は後ろの金銀がしっかり支えていて、巨大な厚みとなっています。金銀が前に出ていない下手は、その巨大な厚みにぶつかるしか局面を打開する方法がありません。
▲4六歩から厚みの解消を試みましたが、上手は桂馬1枚を犠牲にして、と金を作りました。
このと金は、元は△4五の歩です。2歩前進しただけでと金に昇格、位の威力が遺憾なく発揮されています。
▲3三歩の王手に気持ちよくかわして、大好きな三段玉が実現しました。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

角落ち上手戦記 対居飛車穴熊    ~その3~

2019年07月03日 | 対局日誌
●第5図までの指し手
▲5七銀
△3四歩
▲3六歩
△7三桂
▲3七桂
△6五歩


下手は角の働きが弱く、上手に自由に動かれ、先攻を許す形になりました。しかし、角1枚のハンディキャップは大きく、こんな攻めで矢倉の堅陣が崩れる訳がありません。下手やや作戦負けですが、まだまだ十分有利な事には変わりありません。

●第6図までの指し手
▲1八香
△9二香
▲9八香
△3三桂
▲9九玉
△4五桂
▲同 桂
△同 歩
▲3七桂
△3三桂
▲8八銀
△4四銀


下手は有効な攻めが見いだせず、穴熊に組み換えてチャンスを待ちます。
しかし、組み換えの途中は強い戦いが出来ませんので、上手はそこを狙って更なる良形を目指します。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

MOTTAINAI ~その62~ (初代書 Round7 ~その▲1~)

2019年07月02日 | 一字書
駒木地です。

よくご覧いただきますと、

所々に滲みや目節跡、

黒点、変色などがあります。

これらは全て天然のものですが、

木地をある程度のロットで仕入れますので、

どうしてもこういうものが混入します。

研磨の段階で浮き上がってくるものもあります。

古い作品の足し駒などでは、

くすんだ様な木地がマッチする場合もあるのですが、

そういうケースは稀で、多くは仲間外れですね。

そういう駒を捨てずに溜めて、



出来が悪かった駒と組み合わせ、

自分用の駒を作ります。

折角駒形にまでなったのですから、

ちゃんと駒にしてあげるのが、

駒師の務めかと思います。










コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

角落ち上手戦記 対居飛車穴熊    ~その2~

2019年07月01日 | 対局日誌
●第3図までの指し手
▲6八角
△4四歩
▲7七銀
△6二金
▲7八金
△7三金
▲6七金右
△8四金
▲6九玉


下手は囲いを矢倉に発展させます。美濃囲いは堅い囲いですが、上からの攻めにはあまり強くありませんので、この組み換えは有効だと思います。
しかし、上手は立ち遅れを利用してポイントを稼ぎに行きます。

●第4図までの指し手
△7五歩
▲同 歩
△同 金
▲7六歩
△7四金
▲7九玉
△9五歩
▲8八玉
△4三金
▲5六歩
△6二飛


上手は簡単に7筋の歩交換に成功しました。もし端の2手が▲4六角と▲3六歩になっていたら、上手の右金はこんなに自由に動く事はできなかったでしょう。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする