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将棋駒作家のつぶやき

角落ち上手戦記 ~その4 下手二枚落ち定跡風~

2019年05月18日 | 対局日誌
●第10図までの指し手
▲3七桂
△4四金引
▲4六銀
△1四歩
▲6九玉
△6三金
▲7九玉
△7三桂
▲8八玉
△1五歩


下手の序盤の構想を上手に咎められ、
下手は焦りに近い感情を覚えており、
その感情が▲4六銀に現れていると私は思います。
焦ると「直接的な指し手」になりやすく、
▲4六銀の狙いは▲4五銀からの金銀交換と右桂の活用です。
しかし、直ちにそれを決行するには玉の守りが薄いので、
▲6九~▲8八玉で自重しました。
直接的な指し手は狙いが単純で対策が立てやすくなります。
それが△6三金で下手の▲4五桂が5三の金取りにならない様にしています。
下手からの▲4五銀対策が出来ていますので
上手は悠々と△1五歩、下手の攻めを誘っています。

●第11図までの指し手
▲4五銀
△同 金
▲同 桂
△4四銀
▲4六金
△5四金
▲3四歩
△4五銀
▲同 金
△同 金


▲3三歩成
△同 銀
▲2四歩
△同 歩
▲同 角
△2五歩
▲3三角成
△同 桂
▲2九飛



上手の方針はハンディの回復で、それが実現するまでは受けに徹します。
ターゲットは下手の右桂、△4四銀で駒得を狙います。
ここまでの指し手の応酬から下手の読みの深さは5手程と思われます。
▲4五銀△同金▲同桂の局面で上手の指し手を予想出来ていなかったのでしょう、
それが▲4六金から読み取れますし、
もしこの▲4六金が読み筋だったら下手の大局観は段位より劣っていると判断できます。
大きな加点を狙ったのが△5四金、下手の▲3四歩を無視して桂馬を食いちぎりました。
桂馬1枚の価値を4点程度と仮定しますと、
上手+4点&下手-4点で出入り上手の8点となります。
角1枚を10点と評価すると先の歩得と合わせ8+2で、
駒の損得では上手は当初のハンディを回復したと言えます。
おそらく下手は▲3四歩を△同歩としてもらえると予想していたのでしょうが、
根元の桂馬を奪われて焦り、▲2四歩から強引に飛車先突破を試みました。
しかし、ここが上手の芸の見せ所、巧みに反撃し先手で下手の飛車を自陣に戻しました。
この局面で形勢判断です。
駒の損得は上手角桂と下手銀1枚の交換です。
玉の堅さは下手が圧倒的に有利です。
手番は上手ですが3四の地点に弱点がありますので、
実質は下手の先手みたいなものです。
従ってこの局面、私の判断はようやく互角程度です。
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