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将棋駒作家のつぶやき

角落ち上手戦記 ~その2 下手二枚落ち定跡風~

2019年05月14日 | 対局日誌
下手▲3六銀は好形で3筋方面に厚み(勢力)があります。
駒が不足している上手はそれに対抗する事が出来ませんので、
厚みの影響を出来る限り受けない低い構えで辛抱し、争点を作らない様にします。
その辛抱の代償が上手の5、6筋の厚みです。
この様に厚みには相手の駒の働きを不自由にする効果があります。
既存の駒落ちの定跡書に書いていないのは、
ハンディをどの様に補うか、その考え方と具体的方法です。
▲4七銀は違和感を覚えると思いますが、思ったよりも厚みが機能しないので、
下手なりに考えて駒の活用を図った手でしょう。
その姿勢は正しいと思いますが、残念ながら指し手の善悪は微妙です。

●第7図までの指し手
▲2六歩
△6四銀
▲2五歩
△7五歩
▲同 歩
△同 銀
▲7六歩
△6四銀



5筋で歩がぶつかったままになっています。
下手が仮に▲5五歩と指しますと△同金が飛車取りになりますので、
余程の成算が無い限り下手からの▲5五歩は難しいんですね。
この局面は接近戦に弱い飛車の弱点が如実に表れている例で、
実は下手が序盤早々に指した▲4六飛を上手が逆用(咎めて)いるのです。
相手が指した手を逆用するのは、平手にも通用する考え方で、心理面の影響が加わり効果的です。
下手は気を取り直して2筋の歩を伸ばしますが心の中では、
「こうなるなら初手は▲2六歩としておけば良かったな。」
と思っているかも知れません。
上手はその間隙を縫って右銀を繰り出し、
7筋の歩交換に成功、また少しずつポイントを上げます。
念のため盤上の駒を持ち駒にする効果を説明致します(分かっている方は読み飛ばして下さい)。
この局面は盤上にあった△7四歩が、交換により駒台に乗ったことになります。
一方下手の▲7六歩は打ち直しましたので「そのまま」ですね。
「二歩禁止」のルールにより、持ち駒の歩を活用できるのは、今は7筋しかありません。
しかしルールに抵触しない局面になれば、この駒台の歩はどこへでも飛んで行くことが出来ます。
持ち駒は盤上の駒より活用範囲が格段に広いんですね。
歩交換の有利さを理解する事が出来るでしょう。
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