駒師「日向」のブログ 本店

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将棋駒作家のつぶやき

足し駒 ~その1~

2011年03月27日 | 駒修理
お客様から「足し駒」のご依頼を頂戴しました。

「足し駒」とは、紛失などにより足りなくなった駒を

作ることを言います。

今回のお客様に紛失の経緯をお聞きしましたところ、

なんと阪神大震災が原因とのこと。

どうしても金将1枚が発見できず、

十数年前から現在に至っているそうです。

先ごろ発生した東日本大震災の影響が

色濃く残っている現在、色々と考えさせられます。

将棋の駒は、当たり前ですが、1枚でも不足しますと

ゲームとして成立致しません。

不足が発生した瞬間に、道具としての価値は

著しく低下し、

「山崩し」や「回り将棋」ぐらいしかできなく

なってしまいます。


駒の作者はあの「名匠香月」師です。

香月作の足し駒は今まで何度か経験がありますので、

ある程度の感覚は掴んでいるのですが、

今回は木地の判定にちょっと悩んでいます。

九分九厘本黄楊だと思いますが、

経年による赤味がその決心を鈍らせます。

念のためお客様に再確認中です。


余談ですがこの駒袋、とてもセンスがいいですね~


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* 被災地の皆様へ心よりお見舞い申し上げます。 *
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2 コメント

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Unknown (慎秀)
2011-03-27 14:12:09
日向師の駒の修復の知識や技術はすごいですね。

駒を大切にする心を大事にしているのがよく伝わってきます。全体的な駒作りに関する技術の向上にもこうした経験が生かされているような気もします。

見習わなければ・・・
返信する
慎秀師へ (日向)
2011-03-27 20:11:08
コメントありがとうございます。
単なる奇人です。
修復作業を通じて、駒が経年や使用状況によってどのように変化して行くのかが少し判るようになりました。
安い買い物ではありませんので、メンテナンスやアフターサービスを充実させないと、お客様は安心して購入できないのではないかと思っています。
返信する

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