細田暁の日々の思い

土木工学の研究者・大学教員のブログです。

アウグストゥス

2012-12-12 12:58:45 | 趣味のこと

昨日で、「土木史と技術者倫理」の11回目が終わりました。講義だから当たり前ですが、11週連続で行い、ここまであっという間でした。

私から発信されている情報としては、この講義の内容がもっとも濃い状況にあります。私が伝えたくて仕方ないことを伝えているので、学生のレポートを見ると、相当な刺激を与え続けているようです。

来週は東北地方整備局にて重要な打ち合わせを10:00~18:00の予定で行うので、休講にしました。続きは年が明けてからになります。ひと段落。

昨日は、「都市を支える水道と下水」というタイトルで、教科書も非常に面白いのですが、古代ローマ帝国の話をふんだんにいたしました。ポンデュガールを建設したアグリッパも出てくるし、アッピア街道で有名なアッピウス・クラウディウスも出てくるのですが、昨日話していてやはりすごいなと思ったのが初代皇帝アウグストゥスです。

共和制から帝政への移行が必須であることを見抜いたのはユリウス・カエサルですが、道半ばにして暗殺されました。

後を継いだのがアウグストゥスですが、共和制におけるトップである執政官(二人)というシステムもそのまま維持した上で、「実質的な」帝政を築き上げたわけです。アウグストゥスは政治の天才だと思いますが、やはりすごい。

現在、選挙戦などでも横行している破壊的な「改革」などやはり必要ではない。アウグストゥスほどの政治家はいないかもしれませんが、「改善」により実質的に事を動かしていくタフな能力、戦略、戦術が重要であると改めて思います。

ローマ人の物語を読んだのは若い頃で、私はほぼ全ての巻を2回以上読んでいると思います。好きな巻は2回で済まないかもと思います。ですが、この年になっていろんなことを分かってきた段階で、もう一回読んでみたい巻がいくつかあります。

土木史の講義のため、10巻「すべての道はローマに通ず」は昨年読み直し、感激しました。私の好きなハドリアヌスが出てくる9巻「賢帝の世紀」も読み直し、講義資料に反映しました。

今年は6巻を読み直してみようと思います。もちろん、この巻はアウグストゥス一人に捧げられた巻です。

学生のレポートに書いてありますが、古代ローマの話をしている私は、楽しくて仕方ないように見えるそうです。 


ほめないこと

2012-12-08 09:24:38 | 教育のこと

この記事は,「指導者」気分で書かせていただきます。

私は研究室では指導者です。もちろん,私の下の研究者や学生たちから教わることも多々ありますが,彼らが向上するように指導できなければ,私の存在価値はありません。税金から給料をいただいてますので,存在価値が無ければ,すぐに辞職すべきと常に思っています。

私が指導すべき人はたくさんいますが,この記事では一般の学生たちは置いておいて,すでに博士号を取得している林さん,それから博士号を目指している小松君や留学生たちを念頭に置きます。

彼らのレベルの人財に対して,「褒める」ことは容易です。普段から全力で頑張っている人たちです。褒めるべき要素は無数にあります。

しかし,私は褒めるときは褒めますが,厳しい指摘やもっと向上するためのアドバイスを多く与えます。

信頼関係が成り立っているからできるやりとりですが,彼らが今後も持続的に成長し,充実した人生を送り,そして周囲や社会に貢献してほしいと心から願っているからそのようにします。

褒められてその状態に満足し,成長しなくなってはどうしようもありません。特に,別の組織に移ったりすると,必ずしも自分の理想とする環境でないこともあるかと思います。それでも成長していくように自分自身を叱咤激励し,周りの人たちと連携しながら環境を整備していくしかありません。人は「場」で鍛えられるからです。彼らが今の組織から離れても,いつまでも成長していける自立した人になれるよう,目指すべきレベルを骨の髄にまで叩きこんでおいてもらいたいと思います。

高い理想を持って皆で夢を共有し,共有しているからこそ身内でお互いに厳しく接し合える。そういう関係が理想的です。

私も周囲の多くの方々に支えられて生きています。心から感謝しますが,やはり自分に最も厳しくできるのは自分自身しかありません。今年度から同僚となった菊本先生は10時から3時の間に研究をされていると聞きました(昨夜の忘年会の帰りだったので,正確でないかもしれないけれど)。深夜の時間に研究に没頭しておられるということは私には真似をできませんが,一級を目指す方々と刺激し合える環境を今後も整備していきたいと思います。

私には私のやり方があります。まだ本当の限界までやっているとは思っていません。そこが自分の甘いところです。限界まで追い込むことも能力の一つです。

1月2月は例年,自分自身がほぼ限界まで追い込まれた状況で仕事をしていきます。今年もそうなるでしょう。今年は12月に入る前からそれに近い状況になってきています。

私のレベルであれば,まずは12~2月を限界に近いパフォーマンスで頑張ることを実践し,その他の期間の日々のレベルを少しずつ上げていこうと普段から思っています。

13日(木)は研究室の忘年会。まずはこの日に向けて研究室のみんなが死力を尽くしてもらえればと思います。みなでおいしいお酒を飲み,おいしい料理を食べ,楽しい時間を共有しましょう。 


議論

2012-12-07 17:56:36 | 研究のこと

今日は,夜は教室の教員の忘年会です。普段,一丸となって教室の教育の運営に当たっていますが,皆忙しくて必ずしもコミュニケーションが十分ではないため,とても大事な懇親会の場です。

今日のスケジュールは,朝は少人数の非線形解析の講義。私が研究を直接指導する学生が受講していないために低いモチベーションで始まった講義でしたが, いつの間にか私が直接指導する学生も2名受講し,パキスタン,ベトナム,中国,日本と多国籍の学生が受講する演習的な講義になっており,私のモチベーションも上がっております。やっぱり,楽しくないとやる気にならない。

その講義の後,津波の解析に関する打ち合わせ。ELSという名前のソフトウェアでAEM(応用要素法)による手法を使って,橋梁の津波による被害を研究することになり,その打ち合わせでした。ようやく,私の研究室でのこのテーマに関する研究が進み始めており,楽しみです。

昼休みは種々の打ち合わせ。

13:30に研究室を出発して,東大へ。石田先生と打ち合わせ。私の研究室の主力グループの一つの収縮チームの研究について,石田先生にアドバイスをいただくべき段階に到達したので,この時期に打ち合わせをお願いしました。

収縮チームのリーダーは,私が指導する最初の日本人博士課程学生の小松君ですが,彼の指導の下,2人の女子学生(修士,学部)が研究を一緒に行っています。この分野では世界トップレベルの研究者の石田先生にアドバイスをいただく,ということで相当に頑張って準備をしたようですが,とても良い打ち合わせができたと思います。

石田先生と,これまたあくの強い細田もおり,石田先生の下で研究されている二人の研究者も同席されての打ち合わせだったので,参加した横浜国大の学生たちにはとても良い経験になったかと思います。時間も限られていたので,石田―細田のトップスピードの議論も展開して迫力も生で感じてもらったのではないかと思います。

私も楽しむことができた議論は,学生たちの日々の努力の成果に基づいています。彼らが一所懸命に頑張っているから,また石田先生のチームの素晴らしい実力,努力があるから,成り立つものです。

改めて,私は素晴らしい環境で仕事をさせていただいているな,と感謝の念を抱きました。我が研究室について言えば,私のフィロソフィー,ポリシーに共感して,精一杯の努力をしてくれているスタッフ,学生たちに感謝です。また,同じ方向性に向かって歩んでいける尊敬する先輩である石田先生と打ち合わせをしたり,いろんな仕事をご一緒できることも,本当に幸せなことです。

でも,環境や周囲の人々に感謝いたしますが,やっぱり,心から楽しいと思える「議論」ができる,ということが,何よりもうれしいです。

生きている,ということは,クリエイティブな議論をする,ということなのかな,と。 

東大での打ち合わせを終えて,本郷三丁目で収縮チームと軽く復習をして,横浜での教員懇親会に向かっています。

良い一週間でした!週末はいつものように家族のイベントを大事にしつつ,仕事を頑張ります! 


指導者

2012-12-06 20:56:49 | 教育のこと

北島康介らを育てた平井伯昌さんの「突破論」という本を読んでいます。

メダリストをたくさん育てただけあって一流の指導者であることが,この本を読んでいても分かります。指導者側の論理だけでなく,この方は選手との信頼関係を最も大切にする方なので,個性豊かな選手たちの特徴をよくつかんで,それぞれに合わせたコーチング,ティーチングを模索してきており,選手側の気持ちもたくさん書かれていて非常に興味深いです。

どの世界にも通じる,人間学の本と言えると思います。私も共感したり,再確認したり,教わったり,いろいろ感じています。

今週の平日はかなりすごい状況で,大学にいるときは昼休みも無い状況です。朝,大学に着くとスケジュールが始まり,精一杯やっているうちに日中のスケジュール終わり。今日は3限の講義が終了次第,外出して国交省の事務所の審議会に出席して,子供を迎えに行って終わり。

多くの学生たちも必死に研究を進めており,ほんとにわずかな時間でも私と打ち合わせをするためにやってきて,特に今週はひっきりなしに打ち合わせのためにやってきます。私の仕事は,少しでも学生の研究がレベルアップするようにアドバイスすること,また学生の力が伸びるように考え方を教えてやったり,時には叱ってやること。答えを教えるのではなく,自分で道を作りながら答えがあるであろう方向に歩んでいけるように導いてやること。

来年の1月の25~26日には,長岡,群馬,横浜国大,広島の合同ゼミ@湯沢。うちの研究室からも立候補の学生たちが参加して研究発表します。

2月11日(予定)には,恒例の三崎での冬合宿となりそう。我が研究室の冬合宿は,午前から夕食前まで徹底した研究の議論です。その後,温泉に入って,おいしい夕食をみんなで食べて,夜はドンチャン。この冬合宿は,修士論文の最終審査の前に企画されているので,議論が濃厚で,私もかなり好きな研究室のイベントの一つです。

12月はすでに予定でびっしりですが,1月2月もかなり埋まってきました。重要な予定ばかりで埋まってきています。

ここからは学生たちの研究も大いに進捗し,論文投稿作業も活発になり,クリエイティブな時期になります。充実した時間です。

(見学会の企画をサボっていますが,今年度の見学として3つほど案があり,企画を進めます。見学会ファンはしばしお待ちください。) 


さらに留学生

2012-12-04 05:05:25 | 職場のこと

昨日,上海交通大学から修士課程の留学生が一人,我が研究室にやってきました。

上海交通大学と横浜国立大学の交換留学プログラムの一環で,私の指導を希望してやってきた学生です。3ヶ月間ほど預かって指導をすることになっています。昨日初めて顔を合わせましたが,なかなか良さそうな感じで安心しました。

「師走」ですから,すでにがんじがらめの状況で,さらに指導する学生が増えると,さすがにマネジメントが難しくなりますが,できうるベストの選択を重ねるしかありません。元々博士課程用の少人数の学生のために開講している鉄筋コンクリートのFEMの解析についての講義も,関連する修士や学部の女子学生にも公開していましたが,この中国の男子学生にも参加させることにしました。男子学生はもともとは地盤工学の分野の学生ですが,数値解析での研究活動を行うため,私のその講義を受講することが望ましいと判断したからです。

すでに平日はほとんど隙間の時間がありません。昼休みも無くなってきている状況です。効率の良い作業となるように,「選択」を重ねるしかありません。

来たる3月には林さんも香川高専に異動になりますので,それに向けた新体制の構築,引継ぎなどのミーティング,作業もすでに開始しています。例えば,実験室をすべてを知り尽くしている林さんの解説の元,皆で巡回して,様々な要点を私がメモを取って整理する,などの作業もすでに始めています。毎回30分の実験室ウォーキングですが,興味のある教員,学生全員に公開して,毎回5,6人で巡回しています。意欲の高い4年生も参加してくれており,このような取組みが来年度以降の研究室の運営につながっていくのだと思っています。

時間のかかる作業(示方書の改訂作業や,論文の執筆,その他)は,とても平日に作業する時間は取れず,早朝の作業か週末の作業になります。頭が冴えていて最も効率の良いのが早朝です。朝3時に起きるのが目標ですが,昨日月曜日は惰眠をむさぼって6時までぐっすり。今日火曜日はさすがに締切日だったので3時半に起床して作業中。所詮は凡人ですので,堕落しがちな性向と向き合いながら,惰眠をむさぼってしまったときは「疲れが取れた!」,しっかりと起きれたときは充実した仕事を楽しみながら,12月を全力で乗り切ろうと思います。

たしか一週間ちょっと前にブログでも決意した,「一日に3分でもいいから毎日論文執筆をする」という目標も,毎日実行しています。「3分でもいいから」というのが良かったと思っています。寝る前でも,移動中でも,3分であれば作業できる。そして,最低3分でも毎日書き進めれば,少しずつ形になってきます。今書いている論文は,土木学会論文集用の原稿で,山口県のシステムのひび割れ抑制効果と表層品質向上効果を取りまとめたものです。12月に必ず仕上げ,遅くとも年末年始に推敲を終えて,投稿できるように進めています。

一つだけ,アクションの遅れが数か月に及んでいる案件があり,自分の中で常に引っかかっています。遅れてしまったことは仕方ないので,今週中にベストのアクションを起こしたいと思います。(土木学会の震災報告書関連なのですが,実は遅れながらも,私の中は土木学会の津波の委員会と連動した作業と認識しているので,それなりには進んでいると認識しています。)


パスタ

2012-12-02 21:06:06 | 家族のこと

金曜日に長崎から帰ってくるときに,明太子をお土産に買ってきました。カステラも二つほど買いまして,一つは「教務係」に,もう一つは家族に渡しました。至らない教務委員ですので。

週末は家族との時間を大事にしながら,休息も取りつつ,仕事を進めなくては回らない時期に入ってきました。

まず土曜日の昼食には,明太子を使って,明太子スパゲッティを作りました。以前,一度か二度作ったことがあるように思いますが,子供たちが生まれてからは初めてでしょうか。インターネットのレシピを参考に,バターをたっぷり使った明太子スパゲッティを作り,シソとキザミのりを散らして,非常においしいのができました。500グラムをゆでましたが,皆が何度もお代わりして完食。


子供たちをいつもの公園で遊ばせながら,私も仕事をして,おにごっこも一緒にしたりしました。

次に日曜日は,一人で外出させてもらって,散髪,袖なしのダウンジャケットの購入,夕飯の食材の買い物を効率的にしました。夕飯は,イワシ,ナス,ニンニク,トマトソースのスパゲッティ。二日連続でスパゲッティとなりましたが,今夜のスパゲッティも非常においしくできました。次女が遊び疲れて寝てしまっていたので,今夜の500グラムは完食にはなりませんでしたが,明日の子供たちの夕食になろうかと思います。

示方書の施工編,維持管理編の宿題が完了できませんでしたが,その他の仕事は順調に進み,仕事がらみの読書もそれなりに進みました。

明日からいよいよ師走の1ヶ月が本格的に始まります。

国家の命運を分ける総選挙も16日に行われますが,私はもちろん自民党に投票いたします。

有権者としての一票を大切に行使し,自らのやるべきことに全力を注ぎます。