仕事が終わってから帰宅し、家族と夕飯を食い、風呂に入ってから出発。
現地入りしたのが23時過ぎ。
速攻、巨大ニュートンを起動します。
この夜は、あまり深く考えずに子午線を超えてきた乙女座銀河群を狙うべく、巨大ニュートンを西の空へ向けました。
起動作業のルーチン
まずは巨大ニュートンとBKP130とガイド鏡のVIXEN f=1200mm D=80mmにそれぞれバーティノフマスクをつけてピント合わせから開始します。
口径50cm f=2475mm 巨大ニュートンの焦点合わせ。
カメラはEOS Ra
ガイド鏡 VIXEN D=80mm, f=1200mmの焦点合わせ
カメラはASI 174 MM mini
BKP130のピント合わせ
カメラはIRフィルター改造EOS 70D
一番最初のキャリブレーション。
西の空
ガイドアシスタント
バックラッシュが大きすぎてDECは一方向ガイドになると。
ガイドカメラのピントが甘いと言われても、バーティノフマスクで合わせてるので、これ以上の改善は無理です。
キャリブレーションをやり直せとのことだけど、これもバックラッシュが大きいから、妥協が必要。
でも、確かにRAステップが13(理論値12)に対して、DECステップが16(理論値6)ですから、何かがいつもと違うはず。
でも、この時はすでに日を越していて時間が惜しかったので、撮影を優先しました。
バックラッシュ測定
西の空なので、こんなものでしょう。
この夜はひたすらM61を狙いました。
なぜかって?
子午線を超えてきたばかりの天体で、適当に望遠鏡を向けただけで、深い意味はありません。
僕はまだ経験が浅く、乙女座銀河群のどれを撮っても新鮮に感じます。
M61、小さいけど綺麗な銀河ですね。
次回はEOS 70Daで挑戦かな?
朝になり、望遠鏡の改良作業。
今までVIXEN f=1200mm D=80mmにはEOS kiss X5をつけていました。
EOS kiss X5はメーカー公証の必要電圧が7.2ボルトですが、実は5ボルト電源でも動作します。
(だからUSB電源1つで動作します)
なので今まで、EOS kiss X5用のカプラーに5Vの電圧を供給していました。
このたび、VIXEN f=1200 D=80mmをガイド鏡として使うことになり、ASI 174MM miniをカメラとして取り付けました。
余ったEOS kiss X5用の電源をBKP130に取り付けたEOS 70Dに回したのですが、EOS 70Dが動作しませんでした。
EOS 6D、EOS Ra、EOS 60Da、EOS 70Dに共通のバッテリーパックLP-E6の定格出力はEOS kiss X5と同じ7.2Vですが、サードパーティー製のDR-E6互換のDCカプラーをUSB電源1つに繋いで電源供給しても動作しません。
動作させるためにはUSB電源を2本繋げなければなりません。
キャノン純正の「DC COUPLER DR-E6」のACアダプター「AC-E6N」や「AC-E6」の定格出力は8Vです。
なので、EOS 70Dに回す電源の電圧を8Vに上げました。
今まで友人任せで、そこら辺の事情はノータッチでしたが、このたび、中身を見せてもらいました。
供給される12ボルト電圧を降圧するチップが組み込まれてました。
DC-DC降圧電源モジュールというチップだそうです。
青いプラスチック部品の上についているボリューム(マイナスネジ)を回すと出力電圧がいじれます。
作業のあとは昼飯。
新しい店を開拓しました。
2年くらい前から気になっていた店。
いつも前を通過してて、知ってはいたのだけれど、なかなか行く機会がありませんでした。
ビーフシチューを美味しくいただきました。
季節の果物を使ったスイーツも売りらしく、デザートにいちごパフェをいただきました。
パフェ食べたの、いつ以来だろう (^_^;)
午後に友人が2人合流し、計4人で観測しました。
この観測小屋、4人までならなんとか布団を敷けます。
今夜も乙女座銀河群を狙います。
日暮からスタンバッていたので、東の空でスタート。
しかし、なかなかスッキリ晴れてくれず、ガスが流れる空となりました。
最初のキャリブレーション
おぉ、やはり東の空の方が正常動作します。
M96
淡いですね。
これは空を選ぶ銀河ですね。
もう少し条件が良い空で狙いたい。
ガイドアシスタントをかけました。
東の空であってもバックラッシュが大きいと。。。
はて、キャリブレーションからわかりませんでした。
うーむ、この赤道儀の動作、把握しきれていません。
シンチレーションは昨夜とほとんど同じレベルであるよう。
M84, M86付近
f=2475mmの視野にずいぶんとたくさんの銀河が収まるんですね。
オートガイドはこんな感じ。
悪くはない。
星が丸く写ってくれてるので、まあよし。
天頂付近に来たM63ひまわり銀河
1度まともな写真が撮りたいと思ってました。
EOS Ra ISO 6400, 140sec, 35枚コンポジット
トリミングして、M63銀河をアップにするとこんな感じでした。
いやぁ、こんなに構造がしっかり見えるんですね。
この夜の夜空、正直、そこまでいいと思ってませんでした。
ここまで解像したら十分満足です。
ただ、、、35枚コンポジットしてもこんなにノイジーなんですね。
スムーズな画像を得るためには最低100枚?
子午線のどちらか一方となると、一晩に撮れるのはせいぜい60枚くらいではないでしょうか。
しかも、ずっといい夜空でなければならない。
かなりハードルが高いですね。
M63撮影中に子午線越えしました。
子午線の東側のガイド
F15の暗いガイド鏡にも関わらず、ライブでM63が見えてしまう。
ASI 174MM mini、いいガイドカメラだと思います。
子午線の西側のオートガイド
日を越したあたりで、ガスが多くて他の友人たちは諦めて寝てしまいましたが、天頂付近のM63のあたりだけが晴れてました。
このグラフを見る限り、シンチレーション、良かったようですね。
撮影終了時の空は若干、シンチレーションが悪化したよう。
ターゲットグラフのバラツキの変化を見るとわかりやすい。
同じ修正動作をしていてもシンチレーションが変わればオートガイドの精度が変化する。
シンチレーション、一晩でものすごく変動しますよね。
この夜のようにガスが流れていたり、雨雲が去ったあととかは、ほんとシンチレーションが一定しません。
天体撮影はものすごく粘り強さを要求される趣味だと思います。
子午線前後の画像を明合成で重ねてみました。
画像が微妙に回転してしまっていて、完全に重ね合わせることができません。
つまり、極軸がズレた。
極軸合わせ自体は、極限まで追い込んであります。
ただ、この望遠鏡が重すぎて、振り回すと極軸が微妙に動きます。
赤道儀の強度の問題というべきか。
それでも東西のガイドアシスタントを見比べると、極軸からのズレは0.1分角とか0.2分角。
かなり精度の高い極軸合わせがなされていると言っていいでしょう。
それにもかかわらず、画像を重ねるとこれだけのズレが観察される。
写真を撮るときは子午線の東西どちらかのみで勝負するしかないということですね。
今回、M63の写真を35枚ほどコンポジットしたのですが、Photoshopの自動整列機能で位置のずれを調整しました。
自動整列機能を使って重ね合わせた画像の位置のずれを調整したのち、「差の絶対値」の機能を使って、その精度を確認してみました。
納得のできる精度だと思います。
これなら安心して位置合わせを任せられる。
ただし、注意があります。
レイヤーを自動整列させる時に下のような画面が出てきます。
通常は「自動設定」を選択するところでしょうが、それでやると周辺部に結構なズレが生じます。
複雑な作業はさせず、単純に平行移動のみで位置調整させる「位置の変更」がいいです。
単純な並行移動のみで対応できないほど画角がズレている場合は、コンポジットを諦めた方がいい画像が得られると思います。
この裏方で、外にVIXEN GP + BLANCA-80EDT + ×0.8レデューサー + IRフィルター改造EOS 70Dのホワイトバランス探しをしていた、、、と。
忙しかった。。。
これだけの作業量を並行して行えるのもリモートデスクトップをフル活用しているからに他なりません。
2月に新しいWi-Fiルーターを小屋に取り付けました。
これのおかげで野外のGP+BLANCA-80EDT+EOS 70Dも、巨大ニュートンも、一台のノートパソコンでこたつの中から撮影を監視することができました。
氷点下6度の夜でしたから、リモートデスクトップをフル活用しなかったら体力的にも厳しかったでしょう。
明け方の光景。
ついついこの時刻まで頑張ってしまいますが、全てが中途半端で、毎回不完全燃焼です。
が、人間の能力って限りがあるし、時間も限られる。
夜空に至ってはこちらの都合とは無関係。
そんな条件の中、やれることをやったと思います。