

1月リリース
ファーストアルバムから7ヶ月後という
スピードでの2枚目。
早く『風』という
世界観を確立せんとする
伊勢正三、大久保一久 両氏の
作品作りのスピードと 、
作品レベルの高さ、そして、
アレンジの良さが際立つ
2枚目のアルバム。
ユイのブレーンで固めた
アルバムスタッフは
アレンジャー 石川鷹彦さん
瀬尾一三さんが
代わる代わる仕上げている。
全体的には
大人しめ、暗い、落ち着いた、フォークからニューミュージックといった
ジャンルを意識した構成。
多分作品作りは
秋頃の季節に仕上げて、
発売が年明けとなったのだろうと思う。
A-1 北国列車
なごり雪 海岸通り といった
別れの歌の三部作の1つと僕は
位置つけて聞いている。
♪君を忘れるため 長い旅に出て
旅の終わりにこの街を選んだ
去年の今頃汽車に乗り
二人で旅した北国のあの雪の
白さがとても忘れられない
伊勢正三ワールド全開から始まるアルバム 「時は流れて」
風ファン かぐや姫ファミリーは
ホッと安堵する感じで一曲目の
滑り出しを聞いたのではないのだろうか?
とりあえず らしさから始まった
このアルバムは
冬の季節に部屋で膝を抱えて
じっくりと聞くのに
ちょうど良い仕上がりになっている
はずである。
A-2 時は流れて
アレンジの瀬尾さんのブラスが入ったミドルテンポのロックだ
ラップスティールも効いていて
カントリーロックぽく
Chaseの黒い炎の様な
ブラスサウンド。
なかなか
好きな歌だ。
アルバムの2曲目にして
名刺代わりの「風」の違った世界を
聞かせにきた。
A-3 古都
このアルバムのワン・ツー・スリー
はこのAサイドで決まったような
もの。
支持率の高い順にAサイドから
始まったような曲順。
久保やんの代表曲としても定着した
「古都」
イントロのギターアレンジは
ギター小僧のコピー作業に
刺激をくれた。
京都の事を歌にした
情緒的なかなかの世界は
かぐや姫ファミリーの血統を
受け継いでいる曲として
あげられる。
「北国列車」「古都」はこのアルバムのギターコピーのワンツーだ。
A-4 何かいいことありそうな明日
この手の跳ねたアレンジで
コミカルな歌詞を際立たせる手法は
瀬尾さんならでは。
また、この世界観は
かぐや姫での
「田中くんじゃないか」や「僕は何をやってもダメな男です。」に見る
生活の中の男の
少し恥ずかしく情けない
そんな姿をコミカルに描く
正やんワールド。
ブレイクタイム的な位置での曲だ。
A-5 忘れゆく歴史
北国列車の雰囲気を感じで続いている世界なのだ
♪君のいないこの冬は
どこまで寒くなるのだろう
と歌う
辛さが身にしみる
そんな冬に
寒さと辛さが両方の冬に、
春はくるのだろうか…
と思ってしまう。
A-6 三丁目の夕焼け
久保やんの優しいバラード
どちらかといえば
NSP的、ふきのとう的
優しさラブソング
やたらと淋しく 寒い感じがする
A面ラストの曲。
なんか
切なく 終わる アルバムA面なのだ。
B-1 あの唄は歌わないのですか
アルバムバージョンのアコースティックを軸に編曲。
B面一曲目からも
どんより暗い雰囲気から始まるそんな感じ。
印象、アルバムイメージがどうも
「時は流れて」は
どんより暗い
というのは
初めてこのアルバムを聴いたとき
から
変わらぬ印象だ。
ある意味それだけ
地に足をつけしっかり
「風」を作り上げていく
決意の表れでもあるのだろうとおもう。
前回のファーストアルバムは
お披露目、的
おもちゃ箱的な
なんでもありの
方向性もないバラエティ溢れる
ある意味いいアルバムだったんだけど
そこから絞り出した感じのこのアルバム。
当然シングルでの
「あの唄は歌わないのですか」
も、暗い雰囲気で
あの時代の女性のもつ雰囲気を
投影してるともいえる
歌詞は
今聞いてみると
しおらしく、こんな女性
今はもう見当たらないな、とさえ感じでしまう。
多分あの頃
そんな性格だった人たちも
時代と共に
変貌していったのかもしれない。
女性の強さとしたたかさを
逆に知ることにもなる
「あの唄は歌わないのですか」だ
B-2 ふるさとの町は今も
三拍子のカントリーフォーク
ある意味安心して聞ける
詩の内容は ま、それなり
なんだけれど
二人が作品を持ち寄り「風」を作り上げていく作業の1つ
での曲調は
カントリーあり、ブラスロックあり
フォークありレゲエ調あり
アレンジの七変化。
聞かせどころはある意味満載だ。
B-3 まぶしすぎる街
唯一 作詞家の喜多條忠さんの作品がこれ。
ロック調のアレンジで
かぐや姫時代の
「ペテン師」の香りがした。
B-4 あなたへ
久保やんの優しい声に
優しい唄。
久保やんの弾けた曲調もこのアルバムで聞きたかったと
しみじみ思ったのがこの歌を聴き終えてからなのだ。
あえて、大人しめの世界観でまとめあげていった結果
役割分担的にも
久保やんは
静の方を担当したようだ。
B-5 暦の上では
ボサノバ調のアレンジで
詩の世界は
これからの正やんの作品で
よく顔を出す
「君」と卒業近くの
あのアンニュイは季節での
心や風景描写だ。
暦の上では
もこのアルバムからの
ピックアップされる
曲のひとつだ。
B-6 終わりのない歌
こんな感じでアルバムを聴き終わると
あとを引く。
静かにフェードアウトしていく
感じは
なんの予告をこの歌に忍ばせて
終わったのだろうか?
終わりがないと
言い残したのが
「風」としての歌作りの決意と
作品を残していく
覚悟を滲ませてるのだろうか?
時は流れて…
も…
変わらない
変わることのない
風の世界
とでもいって
このアルバムは結んでいるのだろうか?

なんとも レトロな感じで
少し間の抜けた二人の緩い表情が
少し微笑ましく
笑える。