おにぎり2個の里みち歩き 農山漁村の今昔物語

おにぎりを2個持って農村・山村・漁村を歩き、撮り、聞き、調べて紹介。身辺事象もとりあげます。写真・文章等の無断転載禁止

6次産業化1  美味い!! 「あか穂の実り」  あなたも食味しませんか

2010年12月26日 08時37分43秒 | 農業
写真1 写真2

写真1 古代米発芽玄米餅:緑米の玄米を2昼夜水に浸した発芽玄米で作った餅。6個入り・500円
写真2 古代米の黒米・赤米・緑米を色合いよく混ぜた三彩米 300g・500円 200g・350円

写真3 写真4

写真3 古代米発芽玄米餅を平たく延ばした玄米シート 2枚入り・320円
写真4 玄米シート使用の手作りピザ。この玄米シートはお好み焼き、ホットサンドなど多用途。あなたのアイディア次第

写真5 写真6

写真5 緑米玄米100%使用の米粉 200g・400円
写真6 緑米玄米粉80%使用の焼き菓子(カステラ)。柚の香りと甘味が絶妙

写真7 写真8
写真7 緑米玄米粉80%使用の手作りパン。もちもち感もあり、これだけで食べられる
写真8 玄米粉使用の手作りロールケーキ。もちもち感、甘味、ソフトな口あたりが抜群


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 松田光司・静夫妻が営む「工房 あか穂の実り」は兵庫県赤穂市有年牟礼(うねむれ)にある
 最寄駅は山陽本線有年駅、相生駅の隣り
 駅前の国道2号線沿いに300mほど相生方面へ戻り、山陽本線踏切を越えた山裾に工房は建つ
 駅前の2号線を渡り、南の高雄山側へ続く県道457号線を進むと、弊ブログで紹介した「周世(すせ)ふれあい市場」に着く

 さて、松田夫妻は、2004(平成16)年、古代米の緑米を1本ずつ1畝植え、30㎏収穫
 食べたら美味いので、2005(平成17)年、自家採取した種で4反に増やした
 米屋、餅屋に売り込み行った
 しかし、量が少ない、雑品種などと低評価で相手にしてくれないので、納得いかず、売らなかった
 ここまでは1次産業としての松田夫妻の事業

 2006(平成18)年04月に開店したJA直売所「旬彩蔵 上郡」に出荷
 同所JA祭で緑米玄米餅と普通の白餅を試食販売し、緑米玄米餅の評判がよかった
 そのため、同年12月に加工の許可を取り、緑米玄米餅(写真1)の加工・2次産業を始めた

 2007(平成19)年、玄米ビザ生地(現在、玄米シート・写真3)と三彩米(黒米・赤米・緑米を混ぜたパック・写真2)を開発
 同年11月、夫妻でトッピングして焼いた玄米ピザを、「ひょうごの農とくらし研究活動コンクール」で試食販売
 “美味い”と評価を得たので、“よし!、これで行こう!!”と決心

 2008(平成20)年、緑米玄米粉(写真5)を挽き始め、その粉で菓子(写真6)やパン(写真7)を焼き始めた
 緑米玄米餅、玄米ビザ生地、焼き菓子は、平成20年度「ひょうごの農とくらし研究活動コンクール」の知事賞を受賞
 神戸新聞、読売新聞、NHKなどに採り上げられる

 2009(平成21)年、「あか穂の実り」、「三彩米」を商標登録
 兵庫県知的財産センターへ相談に行き、夫妻で登録した

 現在、「あか穂の実り」の統一ブランドで「ぷちぷち玄米餅」「もちもち玄米シート」「三彩米」「古代米玄米粉」、焼き菓子などを販売
 さらに減農薬栽培胚芽米を次の店舗で販売。宅配も実施中
   JA直売所「旬彩蔵 上郡」「赤穂野菜市」「旬彩蔵 書写」、道の駅・海の駅「あいおい白龍城」、
   三宮そごう新館5階「ひょうごふるさと館」

 以上のように、松田夫妻は1次産業の古代米・緑米の栽培から2次産業の加工、3次産業の販売まで連結する6次産業として事業を展開中
 現在、このような6次産業に取り組む農業者が増えつつある

 上記の展開において、光都農業改良普及センター、JA兵庫西、赤穂市、(社)中小企業診断協会兵庫県支部、赤穂商工会議所・熱血!!「あこう」のお店熱血応援団(消費者)などの支援・協力があった

 「工房 あか穂の実り」:電話・FAX 0791-49-3582 http://www.akaho-minori.com/

 謝辞:松田夫妻、光都農業改良普及センターに、ご協力、ご教示を賜りました。あらためて感謝申し上げます。
 執筆・撮影者:有馬洋太郎 撮影年月日:2010年12月13日 撮影地:兵庫県赤穂市有年牟礼
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農村の水2 谷池と小出し池(コダシイケ):東播磨・明石市大久保町中之番

2010年12月25日 12時32分15秒 | 農村の水
 写真1

 写真2

 写真3


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 明石市大久保町大窪・中之番には7つの溜池がある
 溜池は中之番水利組合に管理され、30㌶の水田を潤す
 水利組合は農家70戸が加入
 中之番自治会は520世帯で構成
 都市化、混住化が進行中

 7つの溜池は谷池(タニイケ)と小出し池(コダシイケ)に大別される
 谷池は、字のごとく逆V字型あるいは逆U字型の谷の下方を堤防で仕切り、水を溜める池
 一方、小出し池は谷を出た平坦部の窪地に堤防を築き水を溜める池。皿池(サライケ)とも呼ばれる

 平坦部にある池の呼称の違いについて、筆者は次のように考える
   平坦部にあり、周りと高低差の少ない形状に着目して呼ぶのが皿池、機能に着目して呼ぶのが小出し池
   当地のコダシイケは、谷池の水をあらかじめ小出しに溜めておく
   タニイケから遠い水田も、近い水田と同じように短時間で水が田圃入るように

 タニイケは、稲刈後から田圃の代掻き・田植までの半年間に雨水を溜め、滲み出る水や湧き出る水を溜める。
 当地のタニイケは、最上部の岩蛇池(イワジャイケ・写真2)から下方へ棚状に中笠池(ナカガサイケ)→稲葉池(イナバイケ)→釜谷池(カマタニイケ)が連続する「重ね池」

 その重なりを、最上部の、水を溜めるイワジャイケの天端(堤体の上部)から撮ったのが写真1
 堤体が切られ、工事中のナカガサイケと、その切れ目からイナバイケの水面と堤体が見える
 最下部のカマタニイケは、イナバイケの右にある白色ガードレールの先に堤体と水面が僅かに見える

 さらに前方に、大久保の街と溜池王国・淡路島(兵庫県内の溜池の約半数がある。)の山並みが見える
 イナバイケの堤体天端からカマタニイケを望むのが写真3
 カマタニイケは、7つの溜池の中で満水面積が最も広く、明石市上水道の水源の一つである
 コダシイケは、皿池、喧嘩池(ケンカイケ)、戸松池(トマツイケ)の3つ
 カマタニイケから最も遠いのがトマツイケ

 謝辞:今回、中之番水利組合長のF氏及び兵庫県加古川流域土地改良事務所の担当者に、ご協力、ご教示を賜りました。あらためて感謝申し上げます。
 執筆・撮影者:有馬洋太郎 撮影年月日:2010年12月15日 撮影地:兵庫県明石市大久保町大窪
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農村の水1 水田33㌶に13ヶ所の溜池:東播磨の「村」・西牧

2010年12月24日 03時54分18秒 | 農村の水
写真1

写真2

写真3


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 山陽新幹線、西明石~姫路は車窓から溜池(タメイケ)が飛び込んでくる
 この溜池地域、加古川市と明石市へ溜池調査に出かけた
 これまで筆者が調査した長大農業用水路に係る水利慣行と溜池水利慣行の比較のため

 全国21万余の溜池のうち、約4万4千の溜池が兵庫県にある
 加古川市、明石市を含む東播磨地域には600余の溜池がある
 車窓から飛び込むのは、むべなるかな

 伺った加古川市志方町西牧は、農家約110戸、水田面積33㌶、総戸数142戸の自治会・「村」(2010年12月14日・前水利組合長H氏の御教示)
 農地・水・環境保全向上対策事業の対象水田は26㌶

 H氏は西牧をムラと呼ぶ
 西牧への途中、原自治会の皿池(サライケ)についてお話しの40歳代性も、原を“わたしのムラ”と呼んだ

 西牧の水田を潤す溜池(タメイケ)は、写真3の山裾に10ヶ所ある
 緩やかな逆V字型山裾(幅広の谷状)の頂点部、最上段に(写真の電柱、左から4本目と5本目の間の奥)に①上の池(カミノイケ)
 続いて棚状に②奥の池(オクノイケ)と③姥ヶ池(ウバガイケ)が下がり、3つの重ね池(カサネイケ)になる
 写真2にカミノイケとオクノイケの堤体や洪水吐がみえる

 写真3の左の山裾、オクノイケから下方に離れて④辻堂池(ツジドウイケ)があり、続いて棚状に⑤片山池(カタヤマイケ)が下がる
 2つは重ね池

 カタヤマイケから下方に田圃と宅地を挟み⑥犬立池(イヌタテイケ・インダテイケ)

 写真3の右の山裾、ウバガイケから離れて⑦兎ヶ池(ウサギガイケ)
 さらに離れて隣り「村」(永室自治会)との境近くに⑧鍋屋池(ナベヤイケ)
 ナベヤイケより山裾に⑨鍋屋上池(ナベヤカミイケ)があると言われるが、草薮に遮られ視認できない

 居住区域内に⑩藤の池(フジノイケ)と⑪菰池(コモイケ)
 コモイケは隣り「村」・永室自治会との境にあり、水利権は西牧にあるが、永室自治会が管理している

 他に、西牧を含む、5ヶ村共同管理・利用の⑫大池(オウイケ)と7ヶ村共同管理・利用の⑬松の木谷池(マツノキタニイケ)がある
 マツノキタニイケは水不足時に使う予備池

 写真1は、カミノイケの堤体からオクノイケと残照に映える灌漑水田、西牧、永室などの居住区域を望む

 謝辞:今回、前水利組合長H氏及び現自治会長M氏、兵庫県加古川流域土地改良事務所の担当者に、ご協力、ご教示を賜りました
 あらためて感謝申し上げます。

 執筆・撮影者:有馬洋太郎 撮影年月日:2010年12月12日・14日 撮影地:兵庫県加古川市志方町西牧
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農産物直売所3 農産物直売所は進化する-生活改善グループの無人青空市から企業組合へ-

2010年12月21日 23時42分24秒 | 農村




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 兵庫県赤穂市の「周世(すせ)ふれあい市場」の現在までの経過は次のようである(上の写真)。
(1)生活改善グループ「四つ葉会」誕生:1977(昭和52)年04月
   上郡農業改良普及所の生活改良普及員の指導をうけ、13人の女性農業者が立ち上げて活動開始
(2)「四つ葉会」が集落公民館で無人青空市を開始:1987(昭和62)年
   トシヨリが作った野菜をヨメは使わない
   勤めの帰り、スーパーで買ってくる
   それなら、小さな掘ったて小屋の無人市で、種代でも稼げればいいじゃないか、と合意して無人青空市を始める
(3)「周世ふれあい市場」発足:1999(平成11)年07月
   1997(平成09)年頃になると、地元産の農薬の少ない自分たちが食べている野菜が喜ばれるようになった
   それなら、“直売所を大きくしよう”と集落の80軒に呼びかけ、40人で立ち上げた
   あるのは、やる気だけだった
   “今みたいに、マチから買いに来てくれるわけでもなかった”
(4)新「周世ふれあい市場」発足:2003(平成15)年10月
   2002(平成14)年度の国庫補助のアグリ・チャレンジ事業を導入
   国50%、地元負担50%の総事業費3,500万円
   2003年春、説明会や集落総会などを開き、“ここが拠点となるなら”、“みんなの財産になるなら”と合意される
   出荷者は男性も含み80人に増える
   1戸2人の出荷、たとえばオバーチャンとヨメサンの出荷もある

   2004(平成16)年09月29日、21号台風の水害で、“何もかも駄目になる”
   機械類、モーター類がやられ、「あじさい席」の畳も浮き上がった
   しか、集落の人たちの協力で、同年10月、11月、12月で復旧し、歳末販売にこぎ着けた
   出荷女性や当市場スタッフ女性の口座に預貯金があり、水に浸かった農機具の買い替えに役立った
   それゆえ、夫たちは見直し、大根ひき、籾摺りなど出荷に協力するようになる
(5)企業組合に再編:2006(平成18)年10月06日登記
   2006年06月15日に発起人会設立
   同年09月15日、兵庫県から企業組合の設立認可が出る
   県内にある5つの企業組合のうち、最初に設立された
   27人で発足し、2人加入して29人で活動中

 筆者は、上記の経過、スタッフの話を聞き、資料を読み、次のように考える。
  ①生活改善グループ「四つ葉会」の皆様の意欲とアイディアが、このブログで紹介済みの特徴ある「周世ふれあい市場」を生む
  ②グループ員の意欲とアイディアはさらに進展
   「周世ふれあい市場」を法人格をもつ企業組合に再編
   スタッフが技術・技能、資本を出し合い自分たちの働く場を創り、営業中
  ③国、兵庫県、農協、赤穂市役所などの支援が大きい
   とりわけ、農家や農村の生活改善を担ってきた生活改良普及員の支援が大きく、見逃せない

 現在、生活改良普及員は農業改良普及員(農業技術の普及指導や農業経営の改良などを担った。)とともに普及指導員に統一され活動中
 普及指導員は、たとえば、兵庫県では各県民局の農業改良普及センター(当市場を支援するのは光都農業改良普及センター)に配属されている

 皆様がお立ち寄りになる農産物直売所は、都道府県職員である普及指導員、特に生活部門の普及指導員(以前は生活改良普及員)の支援により成り立っていることをお忘れなく

 執筆・撮影者:有馬洋太郎 撮影年月日:2010年12月13日 撮影地:兵庫県赤穂市周世
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農産物直売所2 地元食材を使う「周世ふれあい市場」の仕出し弁当

2010年12月20日 04時07分48秒 | 農村


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 「周世ふれあい市場」の仕出し弁当は、“おいしい”とクチコミで評判拡がる
 集落や赤穂市内などから毎日のように注文があり、右肩上がりの売上げ

 弁当は1,000円(上の写真)、他に500円、600円、800円など注文に応じて作られる
 法事の仕出しは3,500円、オードブルは6,000円
 筆者が伺った2010年12月13日、翌14日の義士祭の弁当140食の注文をうけた

 弁当食材は地産地消に拘る
 可能な限り直売部に出荷されたものを使う
 品姿が良くない野菜も弁当や喫茶部の料理に使えるので、弁当用と書いて出荷してもらう
 ソバは、集落でとれたものを使い、スタッフが粉にひき、うつ
 ソバをはじめ大豆、麦は「周世土地利用組合」の転作ものなどを使う

 そもそも、仕出し弁当と喫茶部の立上げ契機をスタッフは次のようにご教示
   直売の野菜だけでは売り上げをのばせなかった
   無償ボランティアではスタッフのモチベーションを維持できない
   そのため、主婦ならではの発想を活かした
   具体的には、コーヒーを無料から有料(100円)にし、惣菜や弁当を出した

 その結果、仕出し部、喫茶部、直売部の協業・コラボレートとなり、売上げは伸びている
 たとえば、喫茶部の400円日替わり定食を食べて、直売部の野菜などを買うお客さんがいるように

 法事の仕出し弁当の増加について、筆者は次のように考える
   従来、法事に出す料理は自家で炊いていた
   しかし、炊き方は知っていても気力・体力がない
   炊きたくても勤めで時間がない
   家族の中に炊く者がいない
   すなわち、高齢化、家族構造や就労形態の変化による法事料理の外部化が影響

 執筆・撮影:有馬洋太郎 撮影年月日:2010年12月13日 撮影地:兵庫県赤穂市周世
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