駅前糸脈

町医者をしながら世の中最前線の動きを感知、駅前から所見を発信。

台風のもたらすもの

2012年06月21日 | 自然

 6月には珍しい本州直撃の台風4号は激しい雨風と蒸し暑い陽気をもたらした。通勤途中の中学校の運動場は池のようになっており、暫く体育の授業は体育館でやることになりそうだ。

 一昨日の午後は殆ど患者さんが来院せず、開院休業状態であった。昨日はまずまずの天気であったが、患者さんの出足は悪く、いつもの八掛けであった。悪天候の翌日は普通10-20%増しで忙しいのだが、蒸し暑さが祟ったのだろうか。不順な天候による患者数の減少は、天気の回復に伴って挽回できるものなのだが、100%まで行かず、総体で5-10%程度の患者減となる。これはどこの医院でも同じらしく、うちもそうですよと言われる先生が多い。

 医業に限らず、多くのサービス業に対する天候の影響は似たようなものだろう。まあ、病気の場合はどうしても受診せざるを得ない状況が多く、不順な天候で落ち込んだ客足がそれをきっかけに落ち込むことはないので、さほど気にしていない。

 減少した5-10%の内訳は医者に行くまでもなく自然に良くなった患者さん達と、病識(自分が病気であるという意識)に乏しく家族や医者に言われるからと受診している感覚の患者さん達だ。この患者さん達は天候に託けて遅れ遅れの来院となる。彼らは遅れ遅れが常態となり、余程手痛い目に合わない限り遅れを回復することはない。なんだか政治家が得意な先送りに似ている。こうした現象の主因は当事者精神の欠如と診断している。

 医院の天候不順による患者数減少など知れている。強風で収穫前の野菜や果実が落ちた農家の人達は茫然自失だ。彼らのため息が聞こえる。

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