作雨作晴


日々の記憶..... 哲学研究者、赤尾秀一の日記。

 

日本は「右翼化」しているか

2013年06月19日 | ニュース・現実評論

国内外からの日本国「右傾化批判」についてどう考えるか。元外務審議官の田中均氏の発言を切っ掛けに。【元外務審議官の田中氏、安倍首相の非難に反論 MSN ビデオ http://goo.gl/ZOaAB 】http://p.tl/C4LN


日本がより完全な自由で真に独立した国家となることは、必然的にGHQマッカーサーのアメリカと中国その他、ロシアなど国際連合戦勝諸国によって敷き詰められた「サンフランシスコ条約」による「国際秩序」の解消を迫ることになる。


中共の李克強首相は先月にベルリンでわざわざ70年前のポツダム宣言やカイロ宣言をとりあげて、「平和を愛するすべての人は、戦後の平和秩序を維持するべき。この勝利の果実を破壊し、否定することは許されない」と訴え、


また、「日本は盗み取った中国東北部や台湾などの島しょを中国に返還しなければならない」と演説した。日本が国際政治で自主性を回復しようとすれば、戦後の国際連合国家体制から絶望的なほどの反対にあう。(中共の中華人民共和国は戦勝国ではないが。)これは日本の置かれた歴史的な宿命でもある。


日本がアメリカのくびきから脱して、独立国家として真に主体性を回復しようとするとき、日本国を永遠に敗戦国の頸木の下に閉じこめておきたい戦勝国、旧連合国軍諸国家からは必ずや反対にあう。これは成人式のような通過儀礼として、乗り越え克服しなければならない試練でもある。


日本国が目ざしている国家は、「右翼国家」でも何でもない。
イギリスのように普通の、自由で民主的な、真に独立した平和な「立憲君主国家」であって、中国のような一党独裁国家でも全体主義国家でも、まして
ナチスドイツのような犯罪的な「右翼」国家でもない。


焦ることなく、中国大陸の自由民主化、中国の「連邦国家」化など、日本国の真の独立のための歴史的条件の成熟を、国内外からの「右翼化批判」を乗り越えて、これからも忍耐強く追求してゆく必要がある。


「右翼化」などという国内外からの誤解を招かないように、また誤解があればそれを解く努力を、安倍首相をはじめ日本国民全体が一体となって、世界の自由と民主主義を奉じる諸国民に対して説明し説得してゆく必要があるだろう。


 
 
※追加
 
安倍首相がFACEBOOKで元外交官の田中均氏を批判するそもそもの発端になったと思われる記事、田中均氏の毎日新聞紙上での発言を記録しておきます。
 
 

保守主義と歴史認識:/ 右傾化、日本攻撃の口実に 田中均氏に聞く

毎日新聞 2013年06月12日 東京朝刊

インタビューに答える国際戦略研究所の田中均理事長=東京都港区赤坂で2013年6月6日、西本勝撮影

 ◇田中均(ひとし)氏

 −−諸外国で日本の右傾化に懸念が強まっていると聞きます。

 ◆外国での国際会議などで、日本が極端な右傾化をしているという声が聞こえる。一方、安倍政権ができ、 アベノミクス効果などで日本も政治の停滞を抜け出すのではないかという期待の声もある。しかし、安倍晋三首相の侵略の定義や河野談話、村山談話をそのまま 承継するわけではないという発言や、麻生太郎副総理らの靖国参拝、日本維新の会の橋下徹共同代表の従軍慰安婦についての発言などで、いわゆる右傾化が進ん でいると思われ出している。

 −−日本の右傾化を諸外国が利用している面もあるのでは。

 ◆中国との尖閣問題、韓国との竹島問題などで、日中、日韓関係が厳しい状況にある中、中韓に日本を攻撃する口実を与えてしまっているという面はあるのだろう。この機会に日本をたたけと。

 −−米国はどうですか?

 ◆米国は中東からアジアへの関心の「リバランス(再均衡)」政策を図っている。中国を大事にする、しな いではなく、東アジアを安定的な地域にしないと、米国の経済的、政治的利益が担保できないから、中国と向き合うことが必要だと。しかし、日本が中韓との関 係で孤立しているように映っている。それは米国の国益にもそぐわないという認識が強い。中国と建設的に向き合うためにも日本の協力が必要だが、日中が角を 突き合わせている状況は具合が悪いとの認識がある。

 −−安倍首相は批判が出るとブレーキはかけますね。

 ◆侵略の定義とか、村山談話、河野談話、憲法96条の改正などで現実的な道をとろうとしていると思う。 しかし、あまりそれを繰り返すと、根っこはそういう思いを持っている人だということが定着してしまう。参院選までは抑えるけど、それ以降はまた出てくるの ではないかとの印象を生んでいる。それが日本の国益のためにいいかと。

 −−飯島勲内閣官房参与が訪朝しました。米韓への事前の説明が不十分だったと指摘されています。

 ◆私が北朝鮮と交渉した時もそうだが、日本の課題があるから、すべてを他の国に相談してやっていくということではない。拉致問題は極めて重要で、 日本が自ら交渉し解決していかなければならない。だが、核、ミサイルの問題は日本だけでは解決できず、関係国との関係を損なわないようにうまくやっていか なければならない。小泉純一郎元首相が常に言っていたように、拉致と核、ミサイルを包括的に解決するのが日本の政策なのだと思う。飯島さんの訪朝がスタン ドプレーだとは言わないが、そう見られてはいけない。

 −−最近の日本外交は二言目には、中国をけん制するというのが出てきます。

 ◆ロシアやインド、東南アジアとのパートナーシップを強化すること自体は正しい。だが、それを価値観外 交と言えば、中国を疎外する概念になる。価値観外交と掛け声をかけることが正しいとは思わない。中国が将来覇権をとるようなことがないように共にけん制し ようというのは、静かにやること。声を大にして「けん制しますよ」というのは外交じゃない。政治家は勇気を持って日中関係はいかに大事かを語らないといけ ない。

 −−課題山積です。

 ◆日本が自己中心的な、偏狭なナショナリズムによって動く国だというレッテルを貼られかねない状況が出 てきている。日本の再生は可能だと思うし、政治の力でそれを実現してほしい。日本に国際社会からこれだけ注目が集まることは、1年前は良くも悪くもなかっ た。それを無にしないことが大切でしょう。【聞き手・高塚保】

     ◇

 安倍政権発足後、日本の保守化、右傾化に国内外で警戒感が強まっている。安倍政権はどこに向かおうとしているのか、そして、それは国益に合致しているのか。政治家、有識者に聞いた。

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 ■人物略歴

 1969年、外務省入省。アジア大洋州局長、外務審議官を歴任。2002年の小泉訪朝に尽力した。現在は日本総合研究所国際戦略研究所理事長。

 
 
 
 
 
 
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