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岡崎平野を中心とする 植物 と カメラの対話

ノウゼンカズラ - 5番目の雄しべ

2024-07-10 15:00:00 | みんなの花図鑑

ノウゼンカズラは古く中国から渡来した植物で、名前も漢名の「凌霄(りょうしょう)花」に由来します。



凌は「凌ぐ」「上に出る」、霄は「遥かな空」「天」で、高い所によじ登る習性から「天にのぼる花」と命名されたのです。



「凌霄」の読みは「リョウショウ」ですが、日本語にはラ行音で始まる言葉が なかったことから、R音とN音の交替によって「ノウショウ」となり、転じて 「ノウゼン」となったとされています。




ノウゼンカズラの花冠は5つに裂けています。



花弁が5つに裂けていれば、おしべも通常5個あるはずですが・・・




花冠の中を覗いてみると、長いのと短いのと、左右からおしべが伸びています、つまり4個のおしべが見えます(中心の薄いひらひらは めしべ)。
ノウゼンカズラのばあい、花冠が5裂するのに、雄しべは4個しか無いのでしょうか?




雌しべや雄しべは花冠の壁に引っ付いているように見えます。



おしべとめしべがこれだけ近いと、これは最初から自家受粉を狙っているような雲行きですね(笑)。




それはそうと・・・

ほんとにおしべは4個しか無いのでしょうか?
実は 5本目の雄しべは花冠の奥のほうに隠れていたのです。
上の画像は 下に落ちていた花冠と雄しべのセットです。
あれだけ花柄と一体になってるように見えた花冠ですが、ちゃんと切り取り線があったのですね。きれいに切断されています。
その切断線から針のような 第5番目のおしべ がのびています。
第5番目のおしべは退化して 今では 葯を持ちません





そしてこちらはまだツルについている花です。だからちゃんとめしべがあります。
これはめしべであり、断じて「葯の無い雄しべ」などではありません。
植物Q&A に 『1本だけ葯のないおしべがあるのはなぜ?
という質問がありますが、回答者の方は「一本だけ葯のない貧弱な雄しべというのは雌しべではないですか。」と回答されています。それはまぁ、事実だと思いますが・・・
せっかくいい質問をされてるので、回答の中に「実はノウゼンカズラには葯を持たない第5番目の雄しべがあります」なんて事実を付け加えるとさらに興味を増す回答になった~なんて思いました\(^o^)/

というわけで、5番目の雄しべをGIF画像にしたものを見出しに掲げました。






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