アブリル - どこにでもあり、どこにもない

岡崎平野を中心とする 植物 と カメラの対話

タニワタリノキとブラシノキ - 白い雄しべ

2024-07-13 15:00:00 | みんなの花図鑑
白い花糸が特徴的な樹に咲く花を2つ。

タニワタリノキ

タニワタリノキは 日本(九州南部~沖縄)、中国、ベトナム、インドネシアなどに分布するアカネ科の常緑樹です。



「タニワタリノキ」とは面白い名前ですが、由来は「谷間の多湿地を好んで自生することからと言う」(GKZ植物事典)という説明が多いですが、理解力の無い私にはそういう説明だけではどうも由来がよく分かりません。



「名前の由来は谷沿いを渡るような感じで生育していることからだそうです。」という説明がありました。(NHK趣味の園芸 ドブたぬきの部屋さんのアルバム「タニワタリノキ」)
この説明には「タニ」と「ワタリ」が含まれていますのでより分かりやすいです。
要は「谷を渡る」ということがどういうことなのか理解できればいいようです。




Oxford Languages によると【谷渡り】とは
1. 谷から谷へ渡って行くこと。
2. うぐいすなどが、谷から谷へと渡って鳴くこと。その鳴き声。
とあります。

また、日本国語大辞典には 上記の他
木の枝などが、谷のこちらから向こうへ渡ってのびていること。谷に生えわたること。
とあります。(太字引用者)

こういう定義からすると、タニワタリノキが「谷から谷へと渡って生えていること」に由来するということなんでしょうね、きっと !(^^)!




タニワタリノキの花は、夏の花火のような球形の花序が特徴ですが、今日の関心はその球を構成するたくさんの小花についてです。



一つ一つの小花は長さ2センチ弱の筒状で、細長く飛び出すのは雌しべ(花柱)。5本ある雄しべは花筒の口部にとどまり、シベの基盤となる花托(花床)には剛毛と棍棒状の小苞がある。(庭木図鑑植木ペディア「タニワタリノキ」)
要するに、花冠は細長いラッパ状なのです。
でも、雌しべは花冠の外に長く伸びていますし、雄しべだって開口部にあります。おそらく蜜は花冠の付け根にあると思われますが、蜜を採取できるのはチョウなどの昆虫に限られている気がします。
ところが上の画像のように奥の蜜まで届く舌をもっていなさそうな昆虫が訪花しています。これは何を求めてきているのでしょう?



ブラシノキ

Google Lensで検索すると、「白いブラシノキ」とか「カリステモン・ファインリーフ」と言ってきます。




カリステモン(Callistemon)というのは「美しい雄しべ」(「kallos(美しい)+ stemon(雄しべ)」)という意味のことはご存じと思います。



つぼみのとき、雄しべは巻き取られたようにつぼみの中に納まっているようです。


雄しべの間に めしべが一本、緑色をして伸びていますが、これは巻き取られてはいないようです。




赤花のブラシノキ(カリステモン)で確認

雄しべはまだ糸巻き状態ですが、雌しべは一本だけすでに伸びています。


やがて雌しべを覆うように、たくさんのカリステモン(美しい雄しべ)が成長してきます。






ティーツリー

逆に「白いブラシノキ」で検索すると、ティーツリーのブログ記事がヒットします(´・ω・)
ティーツリーはブラシノキ属 Callistemon と同じフトモモ科ですが、メラルーカ属(コバノブラシノキ属) Melaleuca に属します。


ティーツリー と ブラシノキ (2) - フトモモ科


ティーツリーとスモークツリー





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ヤブジラミとニンジン - セリ科の花

2024-07-13 09:07:09 | みんなの花図鑑
ヤブジラミ

ヤブジラミという名前は 「やぶに生え、果実にカギ状に曲がった刺があり、シラミのように衣類にくっつくことからこの名がつけられた。」(三河の植物観察「ヤブジラミ」)
だとしても、ヤブジラミという名はひどいと思います・・・




こんな可愛い花なのに... しかも在来種なのに... 名前のおかげでだいぶ損をしています。




花弁の下に将来果実になる子房があります。
左上の花が受粉して花弁を落としているので子房が見えます。




子房の周りには棘がいっぱい出ています。棘はやがて剛毛となり「ひっつき虫」に成長します。
果実は古くから蛇床子という漢方薬として皮膚の塗り薬として使われていました。
学名を Torilis japonica といいます。
語源辞典によりますと、
Torilis fこちら を参考にどうぞ。





ニンジン

ニンジンもヤブジラミと同じくセリ科の植物です。




原産地はアフガニスタンです。
国内で栽培されているものはヨーロッパから入ってきた「西洋系」と、中国で改良された「東洋系」の2種類に分類され、西洋系が現在の日本の主流だそうです。




この写真ではよくわからないのですが、ニンジンの花には 雄しべ期と雌しべ期があるということです。




雄しべは5個あり、5個の花弁の間に5個の雄しべが伸びています。
葯が花粉を出し終わると、花の中心にある雌しべが成熟してピンクになり他の花からの花粉を待ちます。








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