屋根の工事を勧誘する際、契約を解除できる「クーリングオフ」について意図的に説明しなかったなどとして、大阪市の住宅リフォーム業者が逮捕・起訴された事件で、警察は現場で勧誘を行っていたとして容疑者1人を新たに逮捕しました。
これまでの調べでは、勧誘する際の「マニュアル」が複数確認されていて、警察は巧妙に不安をあおって契約をさせる「点検商法」に気をつけるよう注意を呼びかけています。
大阪・中央区にある住宅リフォーム業「新日立建託」の社長の西村元貴被告(27)と従業員2人は、去年(令和6年)、京都府内の複数の高齢者の自宅を訪れ屋根の修繕工事を勧誘する際に、契約を解除できる「クーリングオフ」について意図的に説明せず契約させたなどとして逮捕・起訴されています。
警察は現場で勧誘を行っていたとして、アルバイトの後瀬俊太容疑者(34)を新たに逮捕しました。
捜査に支障があるとして認否を明らかにしていません。
一方、警察はこれまでの調べで会社が工事を勧誘する際に使っていた営業マニュアルを複数確認しているということです。
マニュアルは、ノートに何度も同じセールストークを書かせて覚え込ませたものだとみられ、訪問する際は、自分を近くで作業している職人だと名乗ったうえで、「屋根の鉄板が外れかけ、非常に危険だ」と切り出し、「飛んでいき、人に当たると危ない」などと指摘したうえで、「次の強風ではもたない」などと緊急性があるかのように伝え、契約につなげるよう指南しています。
不安をあおり契約させる手口は「点検商法」と呼ばれ、府内でも被害が繰り返されていて、警察は不安に思えば警察に通報したり、最寄りの消費生活センターに相談したりするよう注意を呼びかけています。
【不安かきたてる手口指南】
警察は、大阪市の住宅リフォーム業者の関係先の捜索を行ったところ、複数の営業マニュアルを確認したということです。
その内容です。
訪問する際は、近くで作業している職人だと名乗り、「屋根の鉄板が外れかけていますが、気づいていますか」と切り出すとしています。
そのうえで「非常に危険な状態です。場所を教えるので確認しに来てください」と伝え、相手を外に誘導するとしています。
そして、“鉄板が外れかけている”とする部分を具体的に指し示し、「飛んでいって人に当たると危ない」とか、「隙間から水が入り、中が腐っているかもしれない」などと説明するとしています。
さらに、相手が考え込めば、▽「きょうあすにでもみないと次の雨や強風ではもたない」などと、緊急性があるかのように伝えたり、▽能登半島地震で倒壊した家のほとんどが屋根のバランスが悪かったことが原因だったので必ず直したほうがよいなどうそを言ったりして不安をあおって、契約につなげるよう細かく指南しています。
ノートのマニュアルは、何度も同じセールストークが手書きで書かれていて、警察は、会社がアルバイトに事前にマニュアルを見せて、書き写させることで覚えさせていたとみて実態をさらに調べています。