1955年8月28日にアメリカ合衆国ミシシッピ州マネーで実際に起きた「エメット・ティル殺害事件」は、アフリカ系アメリカ人による公民権運動を大きく前進させるきっかけとなったことで知られている。
この事件は、14歳黒人少年エメットが白人女性に対して「口笛を吹いた」という理由で拉致され、激しいリンチを受けて殺されたあげく、遺体は川に投げ捨てられた。
愛息を失った底知れぬ絶望を胸に、多くの黒人の生活を脅かすアメリカ社会にたった一人で立ち向かった母エイミーの大胆な行動力は人々に勇気を与え、キング牧師らが率いた公民権運動を一気に加速させる原動力となった。
「エメット・テイル殺害事件」から60年以上の時を経た今だからこそ知ってほしい。これは、息子を愛する一人の母親の愛と勇気の物語であり、同時に、自由と人権を求めて世界を変えた一人の人間の魂の実話である。
(
公式サイトより)
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予備知識を入れて見ない俺ですが、この作品はそんな事ありません。冒頭の解説をしっかり叩き込んで見ないとダメだと思ってました
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エイミーとエメット、親子のむつまじいシーンで始まりましたね。
これからミシシッピに向かうにあたって、とっても気分が高ぶっているエメットに対して、笑顔で見守りながらも、色々と「注意事項」を説いているのが印象的でしたね。
ただ、「白人に対して小さく」というセリフがねぇ・・・自分たちが置かれている状況というのを端的に理解することになりました。
「事件」が起きた場所って、黒人の方が多かったし、実際、店の前も黒人が普通にくつろいでいたように見えましたけどね・・・
店内に一人はいって、レジの白人女性に対して、ちょっと話しかけただけのエメットだったけど、こんな些細な接触に対して、あの女性がとった行動・・・
そして、(その女性からタレコミされて)夜中に銃をもって、エメットの住んでいるところを探し当てて、拉致していく奴ら・・・
直接のシーンは無かったけど、「撲殺されて、捨てられて」という・・・強烈な行動をしたもんです・・・
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「事件」を知り、息子の「死亡」を知り、そして、やっと遺体と対面することになったエイミー・・・観ているこちらも言葉が出ません・・・
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変わり果てた姿を隠すことなく、取材をさせ、そして公開で葬儀を行う決意をしたエイミー。
賛否両論があったこの行動が、民衆、そして世論を変える決定打になった・・・という簡単な展開ではありませんでした
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ミシシッピ州での裁判シーンが何回か出てきますが、エイミーがつぶやいた「法廷でも殺された」という言葉に他なりませんでした。
傍聴席に黒人は座れず、座っている白人はヤジのし放題。陪審員は全て白人で、警察などの証言もやる気がなし・・・怒りmaxです
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結局、ミシシッピの地では何も動かなかったという事実も重いですね。
その後、負けないエイミーの活動、スピーチが急ぎ足で流れて、大きなムーヴメントになったという「雰囲気」を出して終幕しました。
・・・が、実話映画にありがちな、エンドスクロール前の「その後の彼ら」についての語りが、更に衝撃的でしたね
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被告の2人は無罪になってましたが、その後殺害を自ら記者に告白して、ギャラを4000ドルもらって、悠々自適な生活を送った
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レジの彼女も、結局起訴すらもされず過ごした
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エイミーに寄り添っていた人は、活動の幅を広げて著名になったものの、自宅で、家族の前で殺害された
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「反リンチ法」というのが出来たのが、2022年。最初の事件から60年も経って
あまりに辛く、そして怒りを覚える内容でした。。。
この作品を「感動作」と書いている記事があったけど、感動してちゃダメな作品でしょ。マジで
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ちゅうことで、オモチャの銃をぶっ放していたあのガキは絶対許さん
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・・・で90点
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※あくまで個人的主観ですので、気分害されましたら申し訳ありません