花のたより☆山のふみ~青森県立名久井農業高等学校~

農業と環境の研究グループ「チームフローラフォトニクス」と弟分である「ハンターズ」の取組みを紹介します!

遊びは真剣勝負

2022年04月24日 | 研究
これはトマトの苗。環境研究班の今年の実験植物です。
何度かご紹介しましたが、2022年の環境班FLORA HUNTERSは
塩害抑制研究の2人組と沖縄の赤土流出抑制研究の4人組に分かれます。
前者は今まさに実験の真っ最中。休み返上で頑張っています。
後者というと先月、沖縄の高校生と連携して行った赤土流出の抑制実験が大反響。
全国紙はもちろん、地元テレビなどでも紹介されたようです。
沖縄にはさまざまな性質の違う土があります。今後は別の土を使った
三和土製作に挑戦する予定でいますが、現在はその準備中。
少し時間ができました。そこで4人は昨年計画していた通り
トマトの水耕栽培に挑戦することになりました。
ただ普通に作っては面白くないので、目標を「高糖度トマト水耕栽培」に設定し、
4人で果実の甘さを競ってもらうことにしました。
条件は昨年、あるメンバーが作ったミスト栽培装置を用いること。
水耕といえば一般的に湛水状態で行いますが、
彼が考案したのは細かいミストで与える方法。
装置が動いていると根に霧状の水を供給できますが
装置が止まると土がないので水が保持できず、全部養液槽に戻ってしまいます。
甘いトマトは水分量に大きく左右されます。
そこで自由にタイマーでミスト装置をコントロールして、
誰が最も甘いトマトを作れるのかゲーム性にとんだプロジェクトを行うのです。
先日、単位時間あたりのミスト発生量や露地トマト栽培の給水量を参考に
タイマーのプログラムを考えていました。
三和土研究の息抜きで遊びのような研究とはいえ、4人は真剣勝負です。
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メッセージ

2022年04月24日 | 学校
高校では2022年から新しい学習指導要領に基づく教育が実施されています。
ではどのような点が変わったのでしょうか。農業学習入門として位置づけられている
科目「農業と環境」の内容で比べてみましょう。まずは従来のもの。
(1) 暮らしと農業
(2) 農業生産の基礎
(3) 環境の調査・保全・創造
(4) 農業学習と学校農業クラブ活動
次は今年から実施されている新しいもの。
(1) 「農業と環境」とプロジェクト学習
(2) 暮らしと農業
(3) 農業生産の基礎
(4) 農業と環境のプロジェクト
(5) 学校農業クラブ活動
このように最新版は一番最初にプロジェクト学習がきている点が特徴的です。
また今まで扱っていた内容を「栽培と環境」「飼育と環境」という新設科目と
分けたにもかかわらず標準単位数を従来の3〜6から4〜6へと増やしています。
さらにプロジェクト学習そのものとでもいうべき「課題研究」の単位数も
4〜8から6〜8へと増やしています。
プロジェクト、つまり研究活動は農業学習の柱。
研究活動を通して農業を学ぶのだというより強いメッセージを感じます。
実は10年以上も前ですが、文部科学省で学習指導要領作成に携わり
従来の「農業と環境」を担当し、まとめました。これはまだ発表前の白表紙です。
そのため目標や内容などをいろいろ吟味したので、このメッセージがよくわかります。
当時、栽培経験がないからプロジェクトの指導できないと
なかなか研究活動をしない先生方が増えているという問題が話題になっていました。
したがってプロジェクトを推進させるために、指導要領の中に
プロジェクトという文言を意識的に増やしたものです。
あれから10年経った今、新しい学習指導要領の肝は「探究」。
それもありより一層強いメッセージになったのだと思われます。
プロジェクトは楽しいもの。生徒も先生も楽しみながら経験して欲しいものです。
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