花のたより☆山のふみ~青森県立名久井農業高等学校~

農業と環境の研究グループ「チームフローラフォトニクス」と弟分である「ハンターズ」の取組みを紹介します!

ハーバリウムランプ

2021年03月29日 | 園芸科学科
園芸科学科といえば、なんといっても花。
昨年から募集停止となりましたが、在校生は花についていろいろ学んでいます。
これは今年度最後の実習で製作したハーバリウムです。
ハーバリウムとはそもそも植物標本のこと。
ガラス瓶の中にドライフラワーを入れ、さらに専用オイルを充填して作りますが
ここ最近、鑑賞用として注目されるようになりました。
確か昨年もこんな楽しい実習をしていましたが、
今年はちょっとひねり技を加えています。
手前の瓶を見てください。上部がランプになっています。
そうです。これに火をつけるときれいなランプになるのです。
これをハーバリウムランプとか植物なのでボタニカルランプと呼んでいるようです。
部屋をちょっと暗くして揺れる炎と浮かび上がる花を鑑賞する。
瓶の下にLEDライトをつけ、瓶そのものをテーブルライトにする。
昔の植物学者が見たらびっくりするはずです。
しかしこれが草花の魅力。食用作物と違ってお腹いっぱいにはなりませんが
人を優しさで包み、温かな気持ちにすることができるのです。
そんな草花の力は、保育園や幼稚園で子供達の豊かな情緒を育てるのはもちろん
高齢者施設などで心を癒すアイテムとして重宝されています。
保育園の先生や福祉施設の指導員はたくさんいらっしゃいますが、
自分で草花を栽培でき、それを上手に活用できる方はまだまだ多くありません。
園芸科学科は長年、そんな人材を育てては地域に輩出してきました。
そんな園芸科学科はまもなく3年生になる皆さんの卒業をもって閉科。つまりあと1年。
すでに草花関連の人材育成は今年から環境システム科へと移行し始めています。
さて今日は名農に新しい先生方が打ち合わせに来校。時代が動いています。
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ヒエログリフ

2021年03月28日 | 研究
ここに面白いものがあります。
よくみると上の方に人の絵が描かれています。
まるで古代エジプトの象形文字ヒエログリフのようです。
しかしいったい何をあらわしているのでしょう。
1行目、横に矢印が続いていることから横書きであるのは確かです。
全部で4行。これは2017年、フローラの2年生全員と3年生の代表が
ボランティア大会の全国大会に出場した際、
自分たちの活動を紹介するために作られたものです。
どの学校も自分たちの活動を説明する際、
文字と写真で作ったパネルやポスターを用いるのが一般的ですが
どうしても情報を詰め込んでしまう傾向があり、
せっかくパネルを作っても文字や写真が小さくよくわかりません。
またじっくり見る時間がないとみんな素通り。誰も見てくれません。
フローラが説明したいのはサクラソウ保全活動。
この図はドラマチックなストーリーをいかに短時間で伝えるかを考えに考え、
一切文字をなくして作ったかなりチャレンジングなものです。
また中央にはサクラソウやハチの絵があります。
また4行目の左端には津波の絵があります。詳細は忘れてしまいましたが
この図の前に語り部役が常に1人以上立っていて、ブースにやってきた方に
図を示しながら1分ぐらいで取り組みを説明しました。
確かプラカードのようなイラストにはキーワードが書かれたはずです。
これはデザイン案。では出来上がりはどのようになったのか
本番の会場での記念写真があるのでご紹介します。
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我、海岸のハチとならん

2021年03月28日 | 研究
これがボランティア大会で実際にフローラが作ったブース。
先ほど紹介したヒエログリフがど真ん中に掲げられています。
この大きさなら離れた人でも見え、ヒエログリフの左右に立つ
語り部の話を聴きながら、フローラのサクラソウ救出のドラマを
楽しむことができます。また話に耳を傾けてほしいため
写真は正面にはありません。その代わり左右に2枚だけ
とんでもない大きさで掲示しています。
1枚の写真の大きさはベニア板2枚分。縦横180cmです。
左には津波被害を受け、瓦礫の山となった海岸の写真。
右には種差海岸で健気にサクラソウの調査をする女子メンバー。
波の音が聞こえてきそうな大迫力です。大会は夏休み。
大型インクジェットプリンターを貼り合わせて
みんなでワイワイ製作しました。大会は2日間に渡り
さいたまスーパーアリーナで開催され、たくさんの来場者が訪れました。
主催はさだまさしさん。芸能人もたくさん参加するので
フローラのメンバーはこの図を使ってさださん、ももクロさんなど
多くの芸能人の方にメッセージを伝え、またお話することができました。
「我、海岸のハチとならん」とは青森県ともゆかりのある新渡戸稲造氏の
「われ太平洋の橋とならん」をもじったものです。
また語り部のお話を聞いてくださったみなさんには、サクラソウの花形に切った
メッセージカードに記入してもらいました。そしてその花はこのブースの写真に
どんどん貼られ、瓦礫の山をサクラソウに変えていくという演出もユニークでした。
大会の最後、ブースを片付けていたフローラのところにスタッフが来て
「一番印象的な展示でした」と褒めてくださいました。
極力、読ませることを避けて、単純なヒエログリフとインパクトのある写真、
そして語り部の話術でストーリーを伝え、会場の皆さんの力で花を咲かせる。
フローラのアバンギャルドなチャレンジは大成功でした。
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農場の便利屋さん

2021年03月27日 | 研究
2020年度の出校も昨日で終わり
名農生はこれからしばし春休みに入ります。
「じっくり休んで4月のスタートに備えましょう」といいたいところですが
名農は農業高校。もう農場では栽培の準備が始まっています。
そのため春休みといえども名農生は時々ですが出校して農作業の準備にあたります。
もちろん課題研究も同じ。環境システム科では2年生も3年生も2日間実習する予定です。
ここは環境班の本拠地である馴化温室。たつ鳥跡を濁さず。
卒業したハンターズによってきれいに整理整頓されています。
環境班といえば一人一研究が流儀。これは2021年度も踏襲される予定です。
さて今年で活動13年目を迎える研究班にはたくさんの資材のストックがあります。
栽培用具や測定機器はもちろん、大量の水槽やクーラーなどのアクアリウム関連の装置、
PTOHINICS時代に集められた様々な波長のLEDライト、
なかにはFINALフローラが使ったライフジャケットなんかもあります。
それを知っている他の研究班。研究が本格的に始まる5月頃になると
いつもいろいろな機材を借用したいと馴化温室にやってきます。
わざわざ購入したり学校に取りに行かなくても、ここに来ると
なんでも揃うと思っているようです。まさに農場にある研究資材の便利屋さん。
そんな環境班ですが、2年生の新テーマが決まるとやはり足りないものが出てきます。
原則、9月にはすべての研究をほぼ終わらせるのも長年続いている環境班の流儀。
そのためには4月始まったらすぐ、ジェットスタートを切らなければなりません。
それを成功させるのは周到な実験計画と資材の調達。
30日は課題研究の第1回目のミーティングとなり、半日かけて決めたテーマの
具体的な計画が練られ、必要物品のリストアップが行われます。
果たしてどんな資材の注文が入るのでしょうか。
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一瞬の風景

2021年03月27日 | 学校
これは露地植えのクリスマスローズ。
面白いことに大きさと色の違う葉が4枚あります。
一番左の濃い紫色の葉は今出てきたばかりのもの。
まだ葉身が展開していなく、生まれたばかりの雛のような色と姿です。
真ん中にある緑の小さい葉は、この赤ちゃんが10日ぐらい経ったもの。
葉身は展開し葉もきれいな緑ですが、葉先や根元にまだ紫の色素が残っています。
右下にある大きくて明るい緑の葉はさらに経ったもの。
もうすっかり大人の葉になっています。
盛んに光合成が行われているものと思われます。
最後は右上。大きくて濃い緑の葉があります。
これは昨年の古い葉。触るとヒイラギみたいに硬いのですぐわかります。
この古い葉は見栄えが悪いこと、新しい茎葉や花に栄養を与えたいなどの理由から
鉢植えでは一般に根元から切り落とします。
これを葉切りとか古葉取りなどといいます。
露地でもやればいいかもしれませんが、面倒なので放置。
それでも10年近く毎年きれいな花を咲かせます。
大きくきれいなクリスマスローズの花が咲くまでの一瞬見せる葉の変化。
春を楽しみましょう。
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