ふじさわ周平による・名作『蝉しぐれ』
と
同じタイトルをもつ
、短ぺん(編)『蝉時雨(せみしぐれ)』。

セミ、というより
スズメが目立っている小説
なのですが、
おもしろいので ご紹介しておきます

作者は、横田順彌(よこたじゅんや)
という、
おじいさんになっても、少年の心をもちつづけている
SF小説家さん
です。
横田さんは「押川春浪」
(という、実在の冒険小説家)
に あこがれて
自らも、
古典SFの作家に なりました
こちらの「押川春浪回想譚」は、
そんな横田さんが、
心の師
押川春浪を 主人公にした、トリビュート作品です!




<さっくり・あらすじ>
主人公は
明治時代に「冒険小説ブーム」を作った
売れっ子作家・押川春浪
。
いつも不思議な事件に遭遇し
、
怪しい世界を かいまみています。

彼は、明治31年に高知県でおこった、雀の合戦
という、
二万羽の雀たちが 互いに空中で攻撃しあい
、
五千羽くらいが討ち死にした




世にも奇ッ怪な 事件のナゾに
迫り
そのスズメたちの 異常行動のうらには、
「闘争心をかきたてる薬の研究をしている
」
という、
ある老人の
狂った実験が あったことを
知ります・・

その実験は やがて・スズメの合戦どころじゃなく
アレや、アレを
引きおこしていく・・



(ええっ!?アレや、アレまで!??)
・・・・・びっくりな結末。

セミは?というと、
とうさく(倒錯)の「中盤以降」をもりあげる
BGM
として、
ジャージャー鳴きまくる・・




そんなかんじ。
「遊神女、幽霊船、恐怖病、曲馬団・・etc」
と
全部
奇妙で ワクワクしてしまう
和の幻想アイテムを、
「原稿用紙25~40枚」で 小さくまとめた
アンソロジーは、
子どもだまし、ではなく
明治時代の研究もしている作者の
しんけん(真剣)な「時代考証」が
つめこまれた
「大人の奇想小説集」なのでした




【おすすめ度:なかなか。


】
(次回
セミの鳴く小説特集・4は、横溝正史の『空蟬処女』です



)