「新聞に、平野啓一郎(ひらのけいいちろう)の小説が連載されていた」
と 聞き、
読んでみました。(←好きな作家さんです)
小説『本心』は、「超高齢化社会」が進むこれから、
多分、真剣に話し合われるであろう、死の自己決定権にまつわる お話。
「自分が死ぬタイミングを自由に決められるようになったら、どうします?」
と
読者に そっ(率)直に問いかけてくる、切ない物語です。
~あらすじ~
2040年、デジタル化がいっそう進んだ世の中。
仕事の多くは科学技術にとってかわられ
格差はひろがり
日本人が、中国に出稼ぎに行ったりする時代。
「特に重篤な疾病障害がなくても、人々は個人の意思で自由死を選択してもいい」、
一線を越えた社会に なっています。
主人公の29歳の男性は、母ひとり子ひとりで育った
心やさしい青年ですが、
先ごろ、母を事故でなくし
孤独に うちひしがれていました。。
そんな中、亡くなった人のバーチャル・フィギュアを作るサービスがある
のを知り、
お母さんのバーチャル・フィギュアを作ろう
と 思い立ちます
というのも、実は・・
お母さんは事故死する前、
彼に
自由死したい、との希ぼう(望)を 伝えていました
(・・なぜ、お母さんは、人生を終わらせる気持ちになったのか)
理由を知りたかった彼は、
母のライフログを学習したAI に「最適解」を答えさせよう
と、
バーチャルフィギュアとくらす生活を はじめたのです。
ところが、お母さんは自由死にまつわる
一切の自己データを残さなかったため、
「バーチャルお母さん」も
そけだけは、答えることができず、、
そうぞう(想像)以上に、深いお話でした。
数年前まで、恋愛小説を書いて
読者をキュンキュンさせていた
同じ作家さんとは 思えないくらい、
踏み込んだテーマで、考えさせられました。
クリン🐻、自分だけの考えとしては、
死のタイミングや
あいする人亡き後の わが身の処し方について、
心ひそかに けつい(決意)していることが
あります。
でも・・、さまざまな立場や考えの人がいる世間に向かって
このような問いかけをするのは、
よほどの「説得力」と
「確固たる意見」がないとダメだって
わかっているので、
うっかり 口にはできません。
それを まだ老れい(齢)でもないのに 世に問うて
小説という形で ぜつみょうにまとめた
平野啓一郎さんは、
作家として、すごいフィールドに足を踏み入れた
と
かんじました
物語の主人公は、母の自由死のどうき(動機)を探るべく、
自死を介助したお医者さん、
もと同りょう、
生前愛読していた小説、
などを探り、
その中で新たな出会いをけいけんして 次第に立ち直っていきます。
そして、
「人に自由死を選択させる社会」に、今度は 立ち向かっていきます
・・なんとなく、(こんな時代になるのかな?)
と
みんながうすうす恐れている
ドライな未来に、
力強い人間の一歩を踏み出させて 物語のまくを閉じた平野さんは、
やはり、いつも通り、弱くても・がんばっている人の味方であり、
人間の、がんばる力を信じている
「善良な魂をもつ・作家さん」だなあ
って
かくにん(確認)できました
~印象に残ったところ~
「小菅駅からほど近く、歩き始めると、スカイツリーを荒川の対岸に遠望した。手前の河川敷では、高齢者たちが草野球をしていた。その楽しげな様子に、心を奪われた。
無事にその年齢まで生きられ、そして、今は自由だということが・・」
【おすすめ度:】