クリンの広場

たまっこくりんのおもいのたけ

雪の日に読む小説・14(『熱源』川越宗一)

2021-01-31 | 本と雑誌

「雪の日に読む小説特集 第14弾

去年、直木しょう(賞)をとった

こちらの本

 かわごえそういち(川越宗一)の『熱源』です

 

見るからに、寒そうな

カバーに 

描かれているのは

物語のぶたい(舞台)である カラフト(樺太)


 ←ここです(〇で囲んだ・長細い島)

この島で生まれた・アイヌ男性

と、

この島に流刑になってきた・ポーランド男性

を 

ダブル主人公として、くり広げられる「最果て文学」です・・

 それを、ようやく(要約)すると・・

「明治時代、日本人と同化することを強制されたアイヌと、同時代、ロシア帝国の支配下におかれたポーランド人が、
自らの血に流れる民族のアイデンティティーの危機に際し、ささやかな闘いをいどむ、、」

 

と 

いうような お話です。


 タイトルにつけられた、

「熱源」という言葉は、

とう(登)場人物たちに

「苦難の時代を生き抜く熱」を もたせた

カラフトという島、そのものを

指しており

なんとなく・ブームが起こりつつある

近代史の、

しかも みんながあまり知らない・グレーゾーンを 取り上げるあたり

作者の 目のつけどころの良さを

かんじるのですが・・

 ・・・関西出身の作者から ただよってくる、

どうしようもない・あたたかさ

作品を 生ぬるくさせ

北国の読者からすると、

「凍てつくってのが どういうことか、わかってねえべな

と、

あまちゃん扱い されてしまうこと・うけあいです

 それに、、
かわごえさんは、史学科出身という

学問上の せん(専)門性から

ロシア革命について 書きはじめて

止まらなくなったのだろうけど・・

「やはり日本人がポーランド人を描ききるには、民族として限界がある

と、

わが家の歴女(チット)などは 

かんじているようでした。

・・

 とはいえ「北の辺境に生きる民を描いてみたい

という

作者のチャレンジと、

がんばって、まとめた・手わん(腕)に 拍手

「作者の熱源」が かんじられる、直木しょう(賞)作品でした


おすすめ度:歴史に、ある程度詳しい人に。

 

ちなみに

 アイヌ語で「美しい」を「ピリカ」

と いうのだそうです

北海道のブランド米「ゆめぴりか」は、「美しい夢」っていう・いみ(意味)だったんですね

 

かわごえさん、

教えてくれて、ありがとうございました

 

 

(次回の「雪の日に読む小説」は、辺見じゅんの『ラーゲリから来た遺書』です

 

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雪の日に読む小説・13(『雪中行』石川啄木)

2021-01-29 | 本と雑誌

さっぽろ(札幌)を はなれて、

くしろ(釧路)に まいりましょう

石川啄木と ともに、、

 

今日は、

『雪中行』(石川啄木)

を たたき台として

たくぼく(啄木)がよんだ、「釧路短歌」の話をします

 

※『雪中行』の内容は、ただの移動記録で、おもしろくないので、ご紹介はしません


 天才歌人・石川たくぼく(啄木)は、21さい(歳)の時、

北海道へわたり

「函館」から「札幌」、

そして「釧路」へと やってきました。

 しんきいってん(心機一転)の ためです

くしろ(釧路)には 

3ヶ月くらいしか・いませんでしたが、

ここで

けっこう・良い歌を、よんでいます

 

 

「 さいはての 駅に下り立ち 雪あかり さびしき町に あゆみ入りにき 」

「 しらしらと 氷かがやき 千鳥なく 釧路の海の冬の月かな 」


 しん(親)友・チットは、くしろ
に 一年間

くらしたことがあり

たくぼく(啄木)の

この2つ目の歌を、

実かん(感)を込めて あいしています


だから

今回、「雪の日に読む小説特集」でも

石川啄木を とりあげてあげたいな

と 

ったのですが・・

 

よく考えたら

「しらしらと、、」の歌には、雪はふって・いないのでした

(※氷の海に、月が煌々・・なイメージです


 困ったクリンは、実家の

お母さん(釧路出身)に 相談しました

すると・・

 

 あれもいいわよ。」

 『 神のごと 遠くすがたをあらはせる 阿寒の山の雪のあけぼの 』

 

と、

お母さんは、

お気に入りの「啄木の歌」を

そく・教えてくれました

(※啄木が釧路を去る時に、船の中から見た景色を詠んだ句です 雪も降っています


 それをきいて・・、
久しぶりに、ほっかいどうに

行きたくなった

クリンたち


「石川啄木特集」は、コロナ

完全終息ののち、

チットといっしょに

釧路に行って、

やりたいと 思います

 

(ちなみに・・うちのお母さんは釧路の高校生だったころ、

学校を代表して、

石川啄木の釧路時代の昵懇であった、芸者・小奴(こやっこ)に会っています

釧路放送局の企画で、

「高校生がインタビューする、小奴と啄木の歌」みたいな番組があり、

優等生だったお母さんが、駆り出されたのです

小奴さんはその時60歳手前くらい?だったそうですが、17歳のころのことを、17歳くらいの高校生にインタビューされて、どう思っていたのか・・

お母さんにも、そこら辺のことを問いただし、そのうち「クリン釧路紀行・啄木編」にて、まとめてみたいと思います

 

 

『雪中行』自体の、おすすめ度:そんなに

 

 

(次回、「雪の日に読む小説特集」は、川越宗一の直木賞受賞作『熱源』を とりあげます

 

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雪の日に読む小説・12(『雪の断章』佐々木丸美)

2021-01-28 | 本と雑誌

「男と女のドロドロ愛憎劇も、雪の白さが浄化してくれる

と いえば

そうなのですが・・

お口直しに、

もうちょっと、清々しい「北海道の雪小説」を ご紹介します。


佐々木丸美『雪の断章』です。

(とってもピュアな愛の物語です

 主人公は、孤児の「あすか(飛鳥)」ちゃん

ようけ(養家)で いじめられていましたが

ひろやさん出会い

引き取られることに なりました

 ひろやさんは、若く・モテモテの商社マン

ですが、

周囲の反対を押しきって、飛鳥ちゃんを育てます

(やさしい人なのです



物語は、

5さい(歳)の飛鳥ちゃんが 女子大生になるまでの成長と、

ひろやさんとのキズナ

二人の周辺事情、

といった ところですが・・

 そこに一つ殺人事件という

スリリングが はさまります

 

かんそう(感想)としては、

とても、おもしろかったです

 

 作者は、「ヒューマニズムの正統なる後継者といえる

心(精神の軸)が あって、

主ちょう(張)も、

後味も、

ともに 快かったですし

また、

表現の点で、うならせる・うでを 持っていました。

 作者・佐々木丸美さんは、とう(登)場人物の

言葉を借りて、

「人たるもの、かく生きるべきか

つねに、読者に 問うていましたし

 

そこには、

彼女が 

生きてきて・きずき上げたのであろう

かっこ(確固)たる考えも 

ていじ(提示)されていました・・

 

すなわち

相手を傷つけてはいけない。

人は、思いやりが大切。

という、

人間関係の 約束事が、です。


 ぶたい(舞台)が「札幌」と

いうだけあって、

物語の ところどころに 

雪が ふるのですが

 

佐々木さんが 

あたたかいので

雪の温度も、高めに かんじました。



 あたたかな雪が ま(舞)っているのを

見たい方は、

ぜひ、お読みになって みてください

 

 

 

おすすめ度:焼きとうきびの粒ぐらい

 

(※ただし、恋愛小説という点では、なかなか自分の気持ちを明らかにしない二人に、終盤はイライラを通りこして疲れました よもや作者さん、片想い経験豊富か

 

 

(次回「雪の日に読む小説」は、石川啄木の『雪中行』をとりあげて、啄木の短歌をご紹介します

 

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雪の日に読む小説・11(『阿寒に果つ』渡辺淳一)

2021-01-26 | 本と雑誌

平成の時代に

「失楽園」ブーム

「愛ルケ(愛の流刑地)」ブーム

を まきおこし

「とにかく男と女は抱き合い尽くしたら、雪の中で死ね」

と 言った(※言ってない)、

大作家の小説から、「雪景色」なやつを、一本



 わたなべじゅんいち(渡辺淳一)の

『阿寒に果つ』を、レビューします。

 


1973年刊行、

1950年代が、小説のぶたい(舞台)。

というと

(ずいぶん昔だな・・)って 気がしますが

描かれる風俗や、

人の悩み、は 令和の今と かわらず・・

 

 それでいて「渡辺淳一の特徴」である、

男と女が性愛の果てに、死をえらぶ・・

という

不変の形たい(態)

が とられていて

「さすが渡辺淳一。大作家は、初期から型を持っている

と、

かつもく(刮目)を 禁じえない・作品です

(※代表的な渡辺作品では、たいてい、恋人たちのどちらか一方、もしくは両方が死にます 渡辺さんは、とにかく一人殺します

 さて、『阿寒に果つ』・・

やはり

この物語でも、

ヒロインの女子高生が 自殺するシーンから 

始まるのですが

 雪のあかんこはん(阿寒湖畔)

で死んだ・美少女をめぐる、「男たちの未練話」・・

 

それが、

一言であらわすところの、この作品のストーリーです。

 



すっごく・おもしろくて、

作家のうでが あまりにも見事なのに、

おどろきました

(ハッキリ言って、失楽園や愛ルケよりも、上です

 

<作品の要約>

 ヒロインは、自分大好きな

美少女

彼女は、その美ぼうで、

うぶな男子高校生を ホンロ~し、

妻子もちの画家を ホンロ~し、

プレイボーイな新聞記者を ホンロ~し、

分別ある中年医師を ホンロ~し、

エネルギッシュな共産党シンパを ホンロ~し、

 

全員に、

その体を与えた・あげく

その他もろもろの男たちから、ちやほやされるのを とくい(得意)になってい

つまりは、

ろくでなし女です。


 小説は・・、そんな彼女の

落ち着かない恋の相手にされた

一人が、

彼女の死後20年経って、

(あの娘がいちばん愛していたのは、俺だよね

と 

気になり、

他の男たちを たずねあるく、、

という・「回顧もの」

そして、

 たずねた全員が、「あの娘がいちばん愛していたのは俺

と 信じていた 

という、

救いがたい・男性心理を 描いた、お話です・・



 わたなべ(渡辺淳一)さんは、
生前、

「北海道作家・1ダンディー」で

女性の扱いが ものすごく上手い

と、

評判だった そうですが、

「女性の心理を見抜いて、それを描く」️

と いうよりは、

「男性の心理を照らして、それをくまなく描く

と いうほうに

力点を お(置)いている作家さんなんだな

ってことが、

このたび、わかりました。

「最終章」で、ガッカリな

サゲがあり、

ヒロインの美少女には、

さいごまで 

イライラさせられっぱなしでした

が・・

「最終章前」までは、カンペキ(完璧)だったので、、

おすすめ度:星4つ

 

 

しかし、

しん(親)友・チットは・・

 内容よりイライラしたのはね~。

 この本を 図書館で借りるのに、1ヶ月待たされたことよ

誰なのよ

うちの市で、いまどき、私以外に『阿寒に果つ』なんか・借りる人

 

ちがうポイントで 怒っていました

 



(次回、「雪の日に読む小説」は、佐々木丸美の『雪の断章』です 札幌を舞台とした、さわやかな恋物語です

 

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雪の日に読む小説・10(『残りの雪』立原正秋)

2021-01-25 | 本と雑誌

はかりしれない・女性の心理

を つづった

雪の小説に、

 立原正秋の『残りの雪』

と 

いうのがあるので、

今日は、それを とりあげます


 たちはらまさあき(立原正秋)
は、

女性に人気のあった、昭和の流行作家

ことに、

男と女の性(さが)を書かせりゃ、みんながうなった

手練れ

ですが、、


 内容が生々しすぎるから、クリンは読んじゃダメ
「あっ

と、

取り上げられてしまいました

 今回、ご紹介するのは、

ダブルフリン(不倫)小説、なのです

 



・・・・・

あらすじは、

しん(親)友・チットに 

きいてありますので

 

きょうみ(興味)のある方は、

小説のぶたい(舞台)となった「北鎌倉」の映ぞうとともに 、

以下を

お読みくださいませ


 主人公は、29さいの美人妻

ある日、突然 夫に蒸発されます。


夫は、
真面目で優しい・常識人でしたが、

一流大学卒→一流企業の社員→しかるべき良家の娘との結婚→一児の父

という、

親がしいたレールに乗りつづけている・自分に対して

破壊願望が つのってしまい

別の女に 走りました。

 胸のデカイ・浮気相手

昼間からもつれあう、トロトロの日々、、

しかし、結局は

(一時の気の迷いに過ぎなかったのかも、、)

と ばかりに

その後、

二人目、三人目・・と 女をつくります。

そんな、

ちがう世界に とんでいってしまった夫の

「流転の日々」が

小説の、まず一つ目のじく(軸)です。


そこに加えて

去られた側の妻の、

さびしい心が よろめいた「婚外恋愛

というのが、

物語の、二大じく(軸)と なっています


 妻の不倫相手は、44歳の

会社社長

二人は ズブズブの関係になり・・

互いに、

(この人なしでは生きていけないかも)と 

思いつめながらも、

結局は

じょうよく(情欲)にのみ、狂います。


 そして、さいごは、お定まりの、

しゅらば(修羅場)・・

 

つらく、

出口の見えないラストに つながっていくのですが・・

 

 

物語には、

北かまくら(鎌倉)の 

お寺や、竹林、花木の

しっとりとした・ふぜい(風情)が

要所・要所に 描かれるため

全体の「生臭さ」は 救われていました

 

しん(親)友・チットいわく、


立原正秋って、心の描きかたが 上手だね

語彙が豊富で、表現に倦むことがない。

すごいわ

ただ、、

『俺ほど、女の心とカラダのわかっている男はいない

っていう、

作者自身の押し出しの強さに 嫌悪感が走ってしまう・・

70年代の作品だから 仕方ないけど、

もろ・男尊女卑だしね。。

 清楚で貞淑な人妻が、

年上男の手で 花ひらいてゆく・・

その描写が 

ねちっこくて、

途中から、官能小説みたいに なっていくの

 

ベッドの中の二人の会話が・・

『女になったようだね』『こんなこと、はじめてです。・・私怖い』

だって

ヤダあ~

・・・・・」


と、

もてあましていました。。



あとがきの「解題」を 読んで、

「あれ

と、

なにやら フ(腑)におちた ようす。。


・・ねえ この作品、

昭和48年の、

日本経済新聞の連載小説📰だったらしい

どうりで、

愛ルケ(『愛の流刑地』渡辺淳一)に似てると思ったよ

 

登場人物が・・、男も女も気持ち悪い。

愛に対して、真剣じゃない。。」

と 

かってに きずつきながらも・・

しん(親)友・チットが

2日間で 450ページを、だだだ・・と 

読んでしまったのは、

 

70年代のビジネスマンたちを、朝から ヘンな気分にさせていた

「日経新聞のお家芸

に 

してやられたから なのでした。

 

 


おすすめ度:まあまあ

 

 

(次回の「雪の日に読む小説」は、その日経連載の情愛小説の本家、渡辺淳一の『阿寒に果つ』、いきます


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雪の日に読む小説・9(『雪女』って何者か?考察)

2021-01-23 | 本と雑誌

日本で「雪の降る・昔話

と いえば

『雪女(ゆきおんな)』

が、超メジャー

 本日はラフカディオ=ハーン

(小泉八雲)

によって のこされた、

東京青梅の「雪女伝説」を お話しして、

こうさつ(考察)も します

(クリンは都民なので、東京の雪女を ひいきします

 

<まず、あらすじ>

 「 昔むかし・・、

茂作と巳之吉(みのきち)

という、2人の木こりが いました。

ある日、

吹雪で帰れなくなった二人は、近くの小屋で一夜をあかすことに なりました。

(さむい、、)

と 

巳之吉が、目を 覚ますと・・

 隣でねている・茂作に

白ずくめの女が 乗っかって

白い息を 

吹きかけているではありませんか

まもなく、凍死してしまった

茂作をみて

巳之吉は がく然とします

 そんな・巳之吉に向かって

女は、、

お前は、あの老人とちがって若く美しいから助けるけど、もし、今夜のことを他人に話したら、殺すからね


と 言って、去りました。


 命拾いした・巳之吉は、

翌年、

道で出会った美女・「お雪」と 結ばれ

子どもを10人も作り、

ラブラブに くらします


 お雪は、はたらき者の

良い嫁で、

肌は雪のように真っ白

おまけに

いつまでも・老いる気配がない女でした。(←うらやましい


 ある夜・・ 巳之吉は、

幸せな 気のゆるみから

うっかり、

あの日のできごとを

お雪に しゃべってしまいます

すると、お雪は

 その雪女は、私よ

誰かに話したら殺す、と言ったのに・・

子ども達に免じて、命は助けてあげるけど

私は 出ていく

 

と 叫んで

出て行ってしまいました。

 

白い霧となって・・

 

(END)

 ・・・なんという、さびしい話でしょうか。。


「話したら殺す」とまで・釘をさされたのに、ペラペラしゃべる男

一方、

男をかんし(監視)する目的で近づいたくせに、約束を破られたとたん、子ども10人を捨てていなくなる女

 まるで、か(噛)み合わない男女の

ひな型です・・。

ただ、

「各地の雪女伝説を 見てみると・・


 さびしい男の嫁になってあげたのに、むりやり

お風呂に入れられて、とけてしまった

かわいそうな雪女

も いたりして、、(※青森、山形、新潟)

雪女も、みんながみんな、「理不尽女・タイプ」では なさそうです

フォローしかけたところで

 しん(親)友・チットが、口を はさんできました


・・全体で見れば、圧倒的に理不尽だよ。雪女は

 

人間の精気を奪う(宮城、岩手)、

子供の生き肝を抜き取る(新潟)、

人間を食い殺す(秋田)、

呼びかけを無視すると谷底へ突き落とす(茨城、福島、福井)、

水くれというから水を差し出すとダメで、お茶を出すと助かる(岐阜)、

雪ん子を抱かせて、人間を雪に埋もれさせる(各地)

 

だって

・・・・・

どんな妄執の塊なんだろう、と思うわ

何なんだろうね 

雪女って。

若い男は助けるけど、年寄りは とっとと殺す

舅に婚家でいじめられて、追い出された嫁の幽霊とか

 

さっき検索してみたらね

ネット上では 

だれかが言った、

『雪女は、寂しい境遇の人のところに現れているから、そういう人にとっての、束の間の幸福を象徴するマボロシ

っていう

うまい説に、みんながのっかっている感じだったけど・・

 

私が思うに・・

雪女って、

ちょっと背が高い・設定なことが多いじゃない

東北地方だったら、日本海沿岸に流れ着いたロシア系の美女の、流浪の果ての姿

とも考えられるし、

もと蝦夷の女性が、一族を朝廷軍に殺された後ひっそりと山間の集落で生きていて、暮らしに困って旅人を襲っていた

とも、考えられる。

いずれにせよ、

安達ケ原の鬼婆といっしょで、ただの妖怪であるわけがないわよね・・

 

と、

歴史的かん(観)点で

こうさつ(考察)していました。

 

(チットはそういうことを、自分で考えるのが、大好きなんです

 

 クリンは、そうじゃなくて・・

ふぶきで 凍死しかけた・男の人たちが

死ぬ前に、

(どうせ死ぬなら、美女に殺される・・っていう形で死にたい。。というか、死ぬ前に、ものすごい美人に会いたい~~~~~

と 

ねがったら

脳からドーパミンとかが 出てきて

美しい女のマボロシを 見た

んじゃないかな~

 

なんて、

思うのですが・・

 

みなさまは、雪女って、何者だと 思われますか

 

 

おすすめ度:自分の地元の雪女伝説をひもとくと、おもしろい

 

 

(次回「雪の日に読む小説」は、立原正秋の小説『残りの雪』です。こちらも、かなしい男と女のお話です。やっと小説にもどります~

 
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雪の日に読む小説・8(『マッチ売りの少女』アンデルセン)

2021-01-22 | 本と雑誌

前回とりあげた

『かさこじぞう(笠地蔵)』の おじいさん

と 同じで、

大晦日に、物売りに 行かなければならなかった

まずしい人の お話

に・・

『マッチ売りの少女』が あります。

(※アンデルセン童話です



 19世紀のデンマーク人・アンデルセンは、

今も、

世界の人々を ナミダさせる

不朽の名作プロダクター


しん(親友)・チットも

大ファンなので

ここは一つ、

代表作を とりあげなければ・なりません

『マッチ売りの少女』のあらすじを、「
主演:クリン」

で 語らせていただきます。

(※マッチはないので、ライターで演じます🔥)


 とある街角に、マッチを売る、

小さな女の子がいました。

 

年の瀬で 寒く、

 お母さんから借りた、ブカブカの

木靴は ぬげちゃって、裸足・・

 早く帰りたいけど、「マッチを売り切るまで戻ってくんなよ

お父さんに 言われているので、帰れません。。


「マッチ、いりませんか~


でも、、

道ゆく人は

少女には目もくれず、足早に 家路につくばかり、、


 夜が更けたころ、少女は 凍える体を あたためたくて、
マッチを

1本・すってみました🔥

すると、、

 炎の明かりの中に🔥、いきなり、ストーブが

あらわれたのです


(あたたかい


ところが

火が消えるとともに、

ストーブも 消えてしまいました。

 2本目のマッチを すると、

七面鳥の丸焼きが あらわれて、少女大喜び

 

3本目のマッチからは、

キラキラの クリスマスツリーが あらわれました


 どれも・・、少女が ほしくてたまらないものばかり
でした、、

そして、

次にすったマッチからは🔥

なんと

天国のおばあちゃんが あらわれました


少女が

大好きだった おばあちゃんです

「炎が消えたら、おばあちゃんも消えちゃう

あせった少女は

持っていたマッチ全部に 

火を付けました。

🔥🔥🔥🔥🔥

 その・・、大きく暖かい光の中で、おばあちゃんに

抱きしめられた少女は

そのまま、

空高く、天にのぼっていきました



(おしまい)



ちょっと、、待ってよ『おしまい』じゃ

ないでしょ~

その翌日の話が まだあるじゃない

『次の日の朝、うっすらとつもる雪の中で、少女はマッチの燃えかすを抱いて死んでいました。幸せなほほえみをうかべながら、、』


ここが、泣かせどころでしょ

どうせ やるなら、

そこまで演じてよ(※親友チット)



 「・・・は やだよ。外、さむいもん 

もう、おしまい

 

打ち切りましたが・・

 

おすすめ度:いっぱい

(アンデルセン童話には『雪の女王』もありますが、

日本には、雪女というすごい女がいますので、次回は『雪女』を 取り上げます

「雪女」って、何者なのかを、考察します

 

そのあと、ふたたび、「雪の小説」にもどります~

 
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雪の日に読む小説・7(『笠地蔵』昔話)

2021-01-20 | 本と雑誌

東野圭吾の雪のサスペンス

には、

「笠原温子」という登場人物が 出てきました

その名前を、

じーっと 見ていたクリンは

あの、物語を 思い出しました


 かさこじぞう(かんじ:笠地蔵)です。

 

(ステキな民話ですよ 小説じゃないけど、いいですよね


では

あらすじ行かせていただきます


「・・昔あるところに、

貧乏な、

おじいさんとおばあさんが いました。

正月に食べる餅すら買えない・二人は、

 一生懸命菅笠(すげがさ)を あんで、

大晦日の町に

売りに 行きました

売れません

 トボトボ・・と 家路につく道すがら、

おじいさんは

村外れの六地蔵さんが、

雪に、埋もれているのを 発見します。

 

「なんと気の毒な、、」

と、

雪を払って

出来立ての菅笠を

お地蔵さんに かぶせた おじいさん

 菅笠は5つしかなかったので、

足りない一つは 自分のをぬいで、

かぶせました


 家に帰った・おじいさんは、そのてんまつを

おばあさんに 話し、

いつも通り、二人は仲良く

粟がゆを食べて、床につきました

 

すると、、、


 夜も 更けたころ・・

遠くから、

にぎやかな歌い声が 聞こえてきました

その声は、家の前で ピタリと止まると


「良いとし、むかえろよう

呼びかけてきたのです

 おどろいて 戸を 開けてみると、、

そこには

お餅や米俵、銭が たくさんおかれていて

少し遠くに

六地蔵さんたちが 

帰っていくのが 見えました



とさ


 クリンたち、昔から

このお話が 大好きで

幼ごころにも、

冷たいはずの雪に ほっこりとした・あたたかさ

を 

かんじていました

それは やはり・・


 この、おじぞう(地蔵)さんが

たたえる、

笑顔の あたたかみ


 「おじぞうさま、、

さむかろう。

クリンの笠を、おかぶりなせえ

 

(ファサッ)

 

 お返し・きたい(期待)

 

そこに、

しん(親)友・チット

が 

キョロキョロしながら、あらわれました


・・ねえ 私のUSB、見なかった

さっきから 探しているんだけど、

見当たらなくて・・

 

「みてないと思うけど。どんなの?」

 

 お地蔵さんのストラップが、ついてるやつ


 「あ、あれねこの下。」なんで、こんなところに隠しているのよ

 

 

おすすめ度:いっぱい

 



(次回は、『マッチ売りの少女』です これも「小説」ではないけど・・いいですよね大好きなんです「雪の日に読む小説」は、まだまだこの後、ちゃんとしたやつが10冊以上は、ご紹介できますので~

 
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雪の日に読む小説・6(『ある閉ざされた雪の山荘で』東野圭吾)

2021-01-19 | 本と雑誌

「雪の日に読む小説特集・第6弾

は、

もうひとつ

ふく(複)数人が、一ヶ所に とじこめられる

ミステリーを ご紹介します。


それは・・

ある閉ざされた雪の山荘で』。(東野圭吾)



 アガサ=クリスティばりに

あるあるな設定で 描かれる

殺人事件は、

「娯楽なサスペンスとして楽しめるはず。」


そう、期待しました

 さて・・、タイトルは

「雪の山荘で」と なっていますが、

じっさいのところ

雪はふっていません


 近くには バス停もあり、電話もつながる

いつでも・SOSできる

閉ざされていない空間(ペンション)

この「山荘」です。


 そこには、8人の男女が 集められるのですが
・・

 

この人たちは

今度いっしょに お芝居に出る仲間

で、

「演出家の先生」の 指示に従い、

けいこ(稽古)合宿に 来ています


 8人は、「山荘で雪の日に殺人事件が起きるという芝居の、

登場人物になったつもりで行動しろ。」

と 

命じられ

 「演出家の先生」のきたい(期待)に

こたえようと

自分なりの役作りに はげみます

 

が、

そのうち・・

一人、二人、、と

仲間のだれかが、ペンションから 姿を 消していき。。


(・・あれ これ、もしかして、本当に殺されてるんじゃないの

おびえはじめる

そんなお話。

 

<感想>

 

ネタばらしで

「三重構造の犯罪」を うたっているわりには

ありきたりな 筋立てで、

 (えまさか、これで終わる気

と、

ひがしの(東野圭吾)さんにしては

うすっぺらいのに びっくりしますが・・

しらべてみると、

この作品が

世に出された時期、

(まだ大ブレーク前ですが)やはり東野さんは

いくつかの作品を 同時並行で 手がけていて、、

 

(忙しくても、このレベルの小説を

どしどし「量産」できるからこそ

流行作家の地位を きずけるんだよな

なんて、

かんしんしました

 

だって・・

作品は、とてもかろやかに 書かれていて、

東野さんがしんぎん(呻吟)したようすが 

見られないんです

 

 王道の古典的ミステリーを書くのに、いちいち疲れてなんかいられない。」

という、

作家の小手先すら・かんじる

読んでいても

つかれない・雪のサスペンスでした。


 

(エッセイで、ご本人、

"高校生のころまで、江戸川乱歩を知らなかった”

と、

おっしゃっているそうですが、

そういう人が、こういう作品を 書くようになるなんて、おもしろいですね

 

 

おすすめ度:(ほかの東野作品にくらべると・・)すこし・・

 

 

次回は『かさこじぞう(笠地蔵)』です。「雪の日に読む小説」ではなくて、昔話ですが・・ 大好きなので、入れちゃいますね

 
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雪の日に読む小説・5(『冷たい校舎の時は止まる』辻村深月)

2021-01-17 | 本と雑誌

「しょくざい(贖罪)=罪の償い

テーマにした・小説を

もう一つ

 つじむらみづき(かんじ:辻村深月)

『冷たい校舎の時は止まる』

ご紹介させていただきます

 

(そんなに重くないです「学園ミステリー」ですので



 <裏書きより~>


「雪降るある日、いつも通りに登校したはずの学校に閉じ込められた8人の高校生。開かない扉、無人の教室、5時53分で止まった時計。凍りつく校舎の中、2ヵ月前の学園祭の最中に死んだ同級生のことを思い出す。でもその顔と名前がわからない。どうして忘れてしまったんだろう――第31回メフィスト賞受賞作」



 8人に 何がおきるんだろう

自殺した同級生との 関連は

大雪の日に、無人の学校に 閉じ込められる

こわい

 

と、

ゾクゾクしつつ、

でも ちょっと、

『金田一少年の事件簿』みたいな

エンタメ性に ワクワクしてしまう(そして期待を裏切られない

 ひまな読者の「こたつみかん🍊」のために

あつらえられたような

「狙った感・満載」の、SF心理サスペンス

です。

 ネタバレしては 何もならないお話なので、、

ちょっとしか

内容は 教えませんが・・


8人の生徒が

校内で、一人一人追いつめられていく、、


そして、

 上下二巻におよぶ・長へん(編)の中に、

8人・それぞれが抱える

じじょう(事情)が 

仕込まれる、、


読み手は

登場人物に くわしくなっていくので、

「感情移入の増大」とともに

ますます 怖くなる、、

 

 一体、さいごに待ちうけているものは、何!?

 

(と、いうような。)

 


 クリンたち・・、もう大人なので

あまり、

10代の学園ドラマに、

関心は ありません。。


けれど

あきもせず、

うんざりも しなかったのは、

作者の辻村さんの ペンさばきが

卓抜だからです


 とくに 一人ひとりの心理描写には、すさまじく

入り込んでいて、、

(辻村さんご自身が、ツラい経験でもしてきたんじゃないだろうか

と、

作者の せんさい(繊細)さを

気の毒に 

思ってしまうほど、、


(※ちなみに、彼女が描く登場人物は、みんな眉目秀麗です

でもって

担任の先生は片耳ピアスの、茶髪&ホストスーツ男だったりします。・・・進学校なのに

ラノベが苦手な方は、そういうの、鼻につくと思いますので、

読まないほうが よろしいかと、、)



 それと、「女子の世界」は胃がキリキリするような

いんしつ(陰湿)な「教室風景」

かれますので、

学校で ツライ・けいけん(経験)を された方も、

読めば、不快になるだけでしょう

 

 

そういうマイナスを さっぴいて、、

おすすめ度:けっこう


 ねえ、ちょっと、、

さっきから、何で

私の手のアップ、撮っているのよ(親友・チット)

 

「あ~、これはね

 小説の中に、リストカットする女子高生が、何人か

出てくるから、その「参考画像」に しようと思って

 

大そうじの時、

チット、引っかきキズ 作ってたから、

 ちょうどいいか、と思って

 

 ひどい 利用しないで(チット)

 

 

 

(次回、「雪の日に読む小説」は、東野圭吾『ある晴れた雪の山荘で』を 取り上げます

 

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雪の日に読む小説・4(『雪の鉄樹』遠田潤子) 

2021-01-16 | 本と雑誌

冷たい雪の重みに、じっと耐えているのは

女ばかりではない

男も、耐えている

いや

男の耐えかたのほうが、キツイ

 

突きつけてくる小説が あります

『雪の鉄樹』(遠田潤子)です


「鉄樹(てつじゅ)」というのは

ソテツのことで、

主人公は

ズドーンと そびえ立つ・ソテツのように

動かしがたい、

ガンコイッテツ(頑固一徹)な にわし(庭師)


 とある事件の「加害者の関係者」

なのですが、

「被害者の遺族」に

つくして
つくして
つくして

むげにされる

あわれな 男です・・

 この庭師 自らがつみを

犯したわけでは ないのです

「被害者遺族」の 生活の面どう(倒)まで 見ています

 

(・・・それって、なんで

と、

りかい(理解)できない・読者を

タネ明かしに向かって、ひた走らせる

そんな 小説です。



 テーマが「贖罪」のため、

内容は

だいぶ・重いのですが

作家さんが 引っぱり上手なので

ラク~に 読んでしまえる



 作者(の遠田さん)は、

実に

「米粒に、般若心経を書くくらいの

細かさで 

心の動きを したためています


 だからこそ 読者も、つい

根気よく、

主人公が そうぐう(遭遇)する理不尽な事件

や、

自ら招いている・くつじょく(屈辱)

いっしょになって 耐えてしまうのです。。



 みなさま、、主人公が「庭師」と

きいて、

おじいちゃんを イメージしていませんか


どうしてどうして、、

まだ、30そこそこの

青年です


 
そんな人が、ハタチ(二十歳)からの 

十数年間

青春全部を

つみ(罪)のつぐないに ささげ

息苦しい・毎日を

生きてきたのには、

どういう「原罪」が あるのか


 追及していくと、、そこに「彼の家族の物語

が 立ち上がります

(あらすじは、ここまで)


 みなさまも・・ 学校や会社などで これまでに

一人くらいは、

周囲と交わらない人

みんなから はみ出してる人

出会って来ていると 思いますが・・

 

そんな、

周囲から ごかい(誤解)され

後ろ指を さされがちな人が


実は 実生活において、

とてつもなく苦しいものに がんじがらめにされている


・・・

そういう 可能性に、

気づかせてくれる、本でした。


 ※かんよう(寛容)な方は もちろん

生きるのに失敗している人に

対して、

「不寛容」な方に、

ぜひ、オススメしたい本です🐻


 この主人公、本当にがんこ(頑固)で、、

Aの道を行くべきところを

Bに行くタイプだから、

かなり・イライラさせられるんですけども、、


そういうのに ガマンして

つきあってあげる

のも、

いいと思うんですよね、たまには!

 

 

オススメ度:なかなか

 

 

(次回、「雪の日に読む小説」は、辻村深月の『冷たい校舎の時は止まる』です こわい本ですよ

 

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雪の日に読む小説・3(『蔵』宮尾登美子)

2021-01-14 | 本と雑誌

「雪の日に読む小説特集」

3冊目は、

 にいがた(新潟)県から・もう1つ

みやおとみこ(宮尾登美子)の『蔵』を、取り上げます



 明治・大正・昭和を生きた、はかなくも 力強い

女たち

その生きざまを 記しつづけた

宮尾作品は、

 多くの女性ファンに、支持され

クリンたちのような、

「宮尾作品主人公の、和菓子見立て」を

する・ファンさえ

生み出しました


 そんな、カリスマ女流作家

作品で、

トップ3に入る人気をほこるであろう

小説『蔵』。

 

それは、

 にいがた(新潟)県の くらもと(蔵元=酒造業者)の家に

くらす女たちの

生きざま

を、

雪げしき(景色)に散らした 名作です。


 主人公は、くらもと(蔵元)の

あととり(跡取り)娘、烈(れつ)

 

目をわずらい、

やがて失明しますが

小説は、

彼女の単なる苦労話では おわりません


 娘を心配しすぎるがあまり、

仕事で大きなミスをおかしてしまう、父・章造(しょうぞう)

に はじまり、

 その章造に 嫁いで来て、

子どもを8人も(早流・死産・夭折で)亡くした、美人妻かほ(賀穂)

を 描き、

そのかほをかわいがり、孫・烈のため、巡礼に出て、たおれた姑・むら

を 描き、

「かほの死後は後妻に」と周りから認められていたのに、章造に再婚してもらえなかった、かほの妹・さほ(佐穂)

を 描き、

章造の後妻に入り、針のむしろのじごく(地獄)を味わう、もと芸妓・せき

を 描いた、


 つまりは、生のかなしみを 描いた、長編です



 1つの家族ながら、さまざまな立場の女

を 描き分けているため、


 読者は・・、自分にいちばん近い女に よりそい(寄り添い)、

彼女たちに

かぶさってくる、

雪のような・運命の重み

ともに かんじながら、読んでいきます。。

 うちのチットは、この中で、烈の叔母・さほが

いちばん好きだ、と言います。



 「器量十人並み」だけど、

けんしん(献身)的に

姪の烈を 支え

でも、心寄せる・章造の後妻に なれず

17歳のもと芸妓に 後妻の座をうばわれる

その

さびしさ・・


 しかし その後・・

「蔵」が ダメになりかけ

章造が 病気になるや

かけつけて、世話をする

その やさしさ

 

そこに

女性としての 本しつ(質)を、かんじる

と 

いうのです

 

(※すっごい蛇足なのですが、うちのチットは「さほ(佐穂)タイプ」ではありません←そんなこと言わなくてもいいことなんですけど、「これじゃ、私が佐穂と一緒で器量十人並だと思われるじゃない何とかしてよ」と、うるさいので・・

 

そんなチットですが・・

 雪国の女って、けなげだよね 
美しさの中に、

生命力を感じる。

それに、、

 この本を 読んでいると、

とっても 日本酒が飲みたくなるの

蔵人によるお酒づくりのシーン

たくさん出てくるからだね

 

と、

よろこんでいました

 

 久しぶりに味わった・日本酒は、作品のおかげで

とても美味しかった みたいです

 

 


おすすめ度:そうとう(相当)

 

 

(次回、「雪の日に読む小説」は、遠田潤子の『雪の鉄樹』を ご紹介します

 

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雪の日に読む小説・2(『北越雪譜』鈴木牧之)

2021-01-13 | 本と雑誌

かわばたやすなり(川端康成)の

小説『雪国』には、

にいがた(越後湯沢)の温泉地

が 

描かれていましたが・・

 

そのなかで、主人公が

えちごちぢみ(越後縮)の産地である村を 訪れるシーン

が あります。 

 


「 雪のなかで糸をつくり、雪のなかで織り、雪の水に洗い、
雪の上に晒す。

績み始めてから織り終るまで、すべては雪のなかであった

昔の人も本に書いている。 」

 

そう、『雪国』の中に

出てくるのですが・・

 

ここで記されている昔の本

というのが、

今日、ご紹介する、

『北越雪譜(ほくえつせっぷ)』です

 



書いたのは、

鈴木ぼくし(牧之)という、越後縮」の 仲買人(※織物商ですね

 

内容は

雪国のよろず百科事典で、

江戸時代後期、

数百万部をほこった、大ベストセラーでした



 べちゃ雪しか知らない・都会の人に、

「本場の雪は、結晶の形で落ちてくるんだよ

とか、

「雪国には、こんな行事があるんだよ

など、

 ご当地のくらしや、雪にまつわる・エトセトラ

イラスト付きで紹介した、分かりやすい本です


 これを手に取った・読者のほうは、あたかも

「異国のおとぎ話

でも きいているような

白いロマンをかんじ

うっとりしていた

らしいのですが・・

 

作者は 

というと・・

おめらの想像はるかに超えるほど大変なんだこっちの暮らしは

ずっぷり・わからせたかった

らしく、

 雪国ならではの事故や、災害についても、

かなり・細かく 記しています。


 今のように、「地方の事情に
関する共通認識

が 

なかった時代、

これは

たいへんに いみ(意味)のある

出版であり、

北国との取引のある商人には、さぞ役に立ったであろう

と 

さっせられます

鈴木牧之が

そのような本を 書いたのは、

・彼に学問があったからだ。

とか

・江戸の文化人とつながりがあったからだ。

とか、

・牧之の郷土振興を考える立場のためだ。

とか、

色々言われていますし、その全部であろうと 思います


 それに加え
絶対に

忘れてはいけないのは、書かれた時代の背景だよね

しん(親)友・チット

は、

言っています。

 

 

いわく

 この本が 刊行された

1837年は、

大きな・ききん(天保の飢饉)が 発生していた年

 

がし(餓死)者とかが

いっぱい出ていた、

この世のじごく(地獄)・まっただ中の時です・・

 

それ以前に おきた

「天明の飢饉」から、

やっとの思いで 立ち直った

東北信えつ(越)にとっては、

つまり

ものすご~~~~く・きびしい、「悪夢の再来」のじき(時期)だった

わけです。。


 だからこそ「越後財界の一角を担う商人

として、

牧之は、

こうそう(構想)から・30年

数々の困なん(難)を のりこえてでも

ついに 

江戸での出版に こぎつけたのでしょう

 

彼は、つまり・・

「雪国を 滅びさせねぇぞ~ もっと、俺ったに注目してくれ~~」

という、

切なるねがい(願い)を 込めたはずです


 ぼくし(牧之)は、学問や
江戸文化人との交流

には お金を使ったけど

それ以外は

つつましく・くらし

手がたく商売に はげんでいた人だった

と 

伝わっています

 

 

『北越雪譜』は、

「越後の偉人」が 郷土のために 世に出した

雪をもとかす

じょうねつ(情熱)の本だった!

と、

今一度、きょうちょう(強調)させて、いただきます

 

(みそ汁も いただきます

 

 

 

 

(※すいません 写真のお味噌(日本海)は富山のメーカーのなんですけど、新潟のイメージ映像が足りなかったので使いました~。隣りの県だからいいですよね

 

 

おすすめ度:歴史や古典に関心のある方に。

 

 


(次回の「雪の日に読む小説」は、宮尾登美子の『蔵』を 取り上げます

 

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雪の日に読む小説・1(『雪国』川端康成)

2021-01-11 | 本と雑誌

「雪の日に読む小説特集

と きいて

多くの人が

まず、まっ先に 思い浮かべるのは


  かわばたやすなり(川端康成)の

『雪国』では ないでしょうか?

 

 「国境の長いトンネルを抜けると雪国であった。」

この

有名な出だしで はじまる

中へん(篇)は、

ノーベル文学賞作家による「近代文学の金字塔」

 

ですが

ちゃんと読んだことがあるか というと、

あったっけ

って かんじなので、

 

  このさい、しっかり

読んでみることにしました


『雪国』のぶたい(舞台)は、にいがた

(新潟県の、越後湯沢)

主人公は、

島村という 30代後半の男で、

親ゆずりの財産で シュミに生きる「高等遊民」

です。

 

東京に住んでいて

妻子もいますが、

たまに

ひとりで 旅に出て、リフレッシュしないと 

生きていけない、

むずかしいタイプ・・


 たまたま「越後湯沢」の

温泉で、

芸者「駒子」を 見初め

関係を もちます。



 しかしながら、、

「魂の洗濯」を しに来てるだけの 

島村は、

こまこ(駒子)の人生に

深入りする気は ありません。。

さりとて

はくじょう(薄情)者に 思われるのも 

イヤなので

自分の良心が いたまない・程度に

関わっていきます。


 一方、こまこ(駒子)

は、

こんな・山里に住むことが あわれなほど、

キレイで

冴えがあり

島村の、「上越ユートピア」の 体現者です

 

 

物語は、

二人が 出会ってから・別れるまでの

数年間を 描いています。

 

 読者は その間、こまこ

(駒子)の身の上を知り

「島村と駒子は、生きる世界が違いすぎるな・・」

と、

二人が そのうち

別れるのを、

予かん(感)したりします



って 書くと

いかにも「駒子」は 無学な温泉芸者で、

二人の間には

細やかな、心の引き合いとか

しょうとつ(衝突)とか

何もないのかな

って 

かるく見がちですが、そんなことは ありません



 「孤独な文豪・川端康成」の ペンは・・

 

ユートピアを もりたてなければならなかった・女のかなしみ

と、

せきにん(責任)をもって 女を愛しえ(得)ない・男のくうきょ(空虚)さ

わりと、リアルに 描くのでした。

 



 ほとんどの 読者は、この主人公・島村を

「川端康成」という、

ふくざつ(複雑)なインテリ

そのもののように かんじるでしょう

 

しかし

かわばた(川端)自身は あとがきで、

「島村は無論私ではない。私は意識して島村をなるべく自分と離して書いた。」

と、

なんか知らんけど、力説しています・・


、、、

(・・わざわざそう言うって、

かえって、自分が投えい(影)されてます、

白状しているように 思えますけど


 

そこが

ちょっと しゃくぜん(釈然)と しませんが・・

 

さすがに

文章のほうは

じょじょう(叙情)的で・・

 

どこを 切り取っても、

国語の美しさを、存分に 味わえるのでした。

 

 

「ほどよく疲れたところで、くるっと振り向きざま浴衣の尻からげして、一散に駆け下りてくると、

足もとから黄蝶が二羽飛び立った。

蝶はもつれ合いながら、やがて国境の山より高く、黄色が白くなってゆくにつれて、遥かだった。

・・・」




おすすめ度:かなり

 



(次回、「雪の日に読む小説特集」は、鈴木牧之の『北越雪譜』を ご紹介します

 

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ごあいさつと、お知らせ

2021-01-01 | ブログ

しん(新)年、あけましておめでとうございます

 

みなさまのごけんこう(健康)と、ご多幸を お祈りいたします

 

 

<お知らせ

 

家ぞくが「2回連続手術(の1回目)」を 受けることになりましたので、

10日ほど・お休みします。

11日から「雪の日に読む小説特集を はじめます

 

本年も、

どうぞ・よろしくおねがい申し上げます

 

クリンはい(拝)🐻

 

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