クリンの広場

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内田樹『街場の芸術論』感想

2021-12-22 | 本と雑誌

今年のレビュー、今年のうちに

ってことで・・

 今年さいごに、内田たつる(樹)さんの本を ご紹介します。

『街場の芸術論』です。

 内田さんは、、何て言うのかな?

「肩書き」としては一応、

フランス文学者で、哲学の先生です。

(メディアに引っ張りだこな・売れっ子ですが、

いわゆる「傍系の学者」さん(?)なのかもしれません。

 新聞コラムなどでよく名前をお見かけしていて、

クリンたちも、社会学者だと思い込んでました💦)

 うちのチットは、この方の「街場(まちば)シリーズ」が好きで

街場の天皇論
街場の戦争論
街場の文体論・平成論・アメリカ論・教育論・憂国論・親子論・日韓論

など、

読破しています

 

「何が良いか」というと、

 文章がわかりやすくじしょう(事象)を的確に分析し、

ズバリ言い表してくれる、

快さ

 

近年、現代文のテスト問題にも

使われているらしいのですが

みんながうすうすかんじていて、さりとて言葉にはしないし・できない想いを、

むずかしい言葉を使わずに さらっと述べて、

ふに落ちさせてくれる

 

そんなかんじ。

 

(※タイトルに「街場」ってつけてるだけあって、、敷居が高くないんですよね

 

 今年・2021年出版された、こちらの「街場の芸術論」は、

そんな・気さくな内田さん

が、

自分の好きな芸術家について、サクッと深く語った本でした。

 テーマは、三島由紀夫、小津安二郎、宮崎駿、村上春樹

その他音楽家たちで、

名前だけ見ると、(・・何を書いてあるか分かりそうなラインナップだな。)

と、

失礼ながら・期待うすに かんじるのですが、、

読んだらやはり、面白い

 目の前で、パンパンって、手を打たれたような気が

ずい(随)所でするそうですから、

 つまり、内田たつるは、、

読者(チット)の「啓蒙」に、成功している

と 言えるのでしょう。

 内田さんの「各人論」を、ようやく(要約)すると・・

三島由紀夫は、

「自分は余人によって代替し得ない使命が負託されている」と感じた政治の季節の単独者であり実践者であった。

とし、

小津安二郎は、

登場人物たちに直截にメッセージを発信させることなく、心のコンテンツを発露させえた、旧き日本の贈り主であった。

とし、

宮崎駿は、

小津安二郎やジョン・ウォーターズやデヴィッド・リンチと同じく、観た後にとりあえず何か言っておかないと自分が何を観たのかわからないまま宙吊りにされて気持ちが落ち着かなくなる映画の作り手であった。

とし、

村上春樹については、「一読者として、もっぱら村上作品からいかに多くの快楽を引き出すかが僕の関心事だから、」

っておっしゃって、そんなに分析していません。

 すいません🙏もっと良い表現で、うまいことを書いているのですが、

なにせ、、

クリンたちの「要約能力」では

上記が 限界なんです・・

 なので以下に、内田本の一節を引いて、

さんこう(参考)にしてもらえればいいかな

って 考えます

 

~『問うことの暴力』より~

 

小津映画では、観客が知り得ない重要な事実を俳優が台詞で「順序立てて説明する」ということはほとんど起こらない。
それは「説明」という行為に含まれる本質的な暴力性を小津が嫌って(というより怖れて)いたからではないかと私は思う。

 

・・人にはそれぞれ他人には言えない事情がある。触れられただけで皮膚が破れ血がにじむほどの深い傷を抱えている。
あえてそれを問うのは「真実の探求」に似ていて、非なるものである。・・

 

「問わない」という気づかいが時には必要なのはほんとうである。「問わない」人にしか自分を託せないほどに疲れ切ることが時にはあるからだ。


小津安二郎はそのような人間の疲れ方をほんとうによく知っていたのだと思う。


 ・・・こういう、やさしさがステキな、学者さんです

 

 

【おすすめ度:

 

 


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10 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
Unknown (chorus-kazeアッコ)
2021-12-22 17:39:07
こんばんは。
寒くなりましたね。
私はあまり書物を読まなくて、、💦
三島由紀夫氏は、あの切腹事件の時
テレビ中継していたのをリアルタイムで見ていて
この現代で「切腹した」という衝撃は忘れられません。
この小説家について詳しくは知りませんが
「自分は余人によって代替し得ない使命が
負託されている」という括りは
何か言い得ている気がします。
単純には言えませんが、国を憂えていたんですね。
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Unknown (nerotch9055)
2021-12-22 18:40:53
こんばんは、クリンさん!
最後の小津監督を考察した一文が、唸らされました。
「問わない気づかい」、これをいかに実践できるか。
逆に問われたい人もいたりするので、その見極めはかなり難しいものです。
そういう気づかいをできる人間に、私もなりたい・・。
(。・_・。)
返信する
Unknown (知青)
2021-12-22 21:38:42
>「説明」という行為に含まれる本質的な暴力性
~なるほどです。
俳句(五七五)も説明を嫌う文学なので、
七七は読者任せ。

また、
>「問わない」という気づかいが時には必要なのはほんとうである。
~このことは、自戒せねばと思いました。
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Unknown (cforever1)
2021-12-23 07:00:32
chorus - kaze アッコさまへ💖💖

アッコさまぁ~✨✨🐻✨✨
うちのチットも本を読む回数はだいぶへりましたよ❗仕事でデジタルの光にさらされすぎているため、目がつかれるから活字を追う気がしないのだそうです。
(でも、ちょっとじじょうがあり、休みの日にあまり外へ行けないので、近年読書時間をけっこうもうけています📖)

三島由紀夫事件の当時の空気、どのようなかんじだったのかな⁉️って、、クリンたちは、そうぞうするしかありませんが、さぞやしょうげき(衝撃)だったのでしょうね💥
クリンたち、三島由紀夫という人については、多分ごかい(誤解)していることも多いのですが、一年ほど前に「三島由紀夫VS東大全共闘」っていう、半ドキュメンタリー映画をチットが見に行って、だいぶ三島由紀夫の印しょうが変わったんだそうです♻️
その時、今回の本を書いた内田たつるさんが映画の中でしゃべっていて、とても分かりやすくかったって、言っていました~
アッコさまからも「言い得ている」とのおすみつきをいただけたし、まちがいなさそうですね🍀


クリンより🐻🍀
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Unknown (cforever1)
2021-12-23 07:27:41
@nerotch9055 nerotch さまへ💎💎

すいません🐻💦さいごの引用文、長いからてきとうにちぎってしまいました❗
全文書いてあると、もっとずっと良いんですよ✨
クリンたちも、ほんのりかんじていた小津映画のみりょくは、こういうことだったのか~✨って、なっとくが行きました✌️✨

うちのチットも「聞かれたくない派」ですし、聞かれてもほとんどの場合答えないみたいですが、、結局、相手が投げかけたしつもんに答えられないにしても、聞いてくれたという相手の一歩ふみこんだ思いやりはずっと心にのこりつづけると言っていますし、そういう人とは関係を深めていけるとかんじられるって言ってます。
ようは、これからその人とどうしたいのか?ってことしだいなのかな~って、思いました~💡💡

クリンより🐻🍀
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Unknown (cforever1)
2021-12-23 07:42:14
知青さまへ🌸💮

知青さまぁ~🌸💮🐻🌼🌸
そうなんですよね‼️
クリンたちもプレバトを見ているので、夏井いつき先生がよく「説明になっている⚠️ダメです。」っておっしゃるのをきいていて、全部説明しちゃったら俳句にならないんだ❗ということを、今はもう心えています👍✨
読み手のそうぞう力を信じるのが大事なんですよね~✨

かといって、人々の人生のじじょうには、そうぞう力だけではりかいが追いつかない部分がありますから、どうしても聞かなきゃいけないこともあり、、
そこのところがむずかしいんですよね~🐻🌀

クリンより💖
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小津安二郎 (tadaox)
2021-12-23 10:40:21
(クリン)さん、おはようございます。
小津安二郎監督の良さって、わかったようでわからないところが多いのですが、この学者さんは巧く説明していますね。
といううか、感じとる部分に共感できます。
ありがとさん。
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Unknown (cforever1)
2021-12-23 11:10:16
tadaox さまへ🌼🌼

くぼにわさまあ~✨🐻🍀🍀🍀🍀
小津カントクの映画🌼クリンたち、大人になってからみたらハマリ💘、有名な作品は全部みました✨(いちばん好きなのは『秋刀魚の味』です🐟✨)
「原節子」さまのえんぎを拝見したのも、その時が初でしたね🎵🎶✨←大好きになりました❗

内田たつる先生も小津映画を一目見てホレた💖というタイプらしく、この本の中では他のだれについてよりも力を入れて語っていましたよ💡
とはいえ、クリンたち、内田さんとはちょっと見かい(解)がことなり⚠️、小津映画のみりょくをかたちづくっている70%は「笠智衆」さんだと考えています❗

クリンより🐻
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Unknown (machi903)
2021-12-24 10:10:19
クリンちゃん。
また、素適な方の紹介ありがとう☺️
言葉にしなくても感性で鋭く感じる人。
そんな人がワタシは好きで、内田さん。イイですね。
すべてお見通し感があって。。。

文章を、書かれる方、また、それを読まれる方って何かしら引き寄せあってる。映像デモ、そうですよね。
そんな感じもしています。
また素敵な方、紹介してくださいね☺️
ありがとうございます🤓♥️
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Unknown (cforever1)
2021-12-24 11:09:21
@machi903 machi さまへ💖💖

machiさまぁ~✨✨🐻✨✨
メリークリんスマス🎄🎅🎁✨💖💖💖
今日はこれから、ちょっとテーブルまわりを片付けて、駅前の成城石井にチーズとデザートを買いに行きます🎵🍰(チットのお酒も買わねば)
夜はゆづの応えんがありますからね‼️気合いが入っています⤴️⤴️⤴️夜は長い❗

内田たつるさんは、しゃべらせても良い方で、立て板に水のごとく、とうとうと語ります✨✨✨
とってもあたまが良いんだなって思います⤴️
でもメディア向け学者だと見なされているから、「自分が以前○○を発表したらダメ出しすごかった」などと弱音を吐いたりしていて、そういうかわいい🎀ところも良かったりする、って、うちのチットが言ってましたよ💡
クリンはむずかしいことはよくわからないのですが、内田さんが子どものころに「(川原の)土手で草滑りをして遊んだ」って書いていたのを見て、好きになりました🍀🍀🐻

クリンたちも、小さいころ、よく近所の江戸川のていぼうで、段ボールをソリにしてすべるやつ大好きだったから💖💖💖

クリンより🛷🐻👧🍀🍀🍀🍀🍀
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