(原題:HYPNOTIC)まず、この邦題はいただけない。確かに劇中でドミノ倒しのショットが一部入るのだが、原題とは懸け離れているし映画の中身とも大してリンクしていない。だいたい、トニー・スコット監督が2005年に手掛けた作品(あっちは原題通り)と被ってしまうではないか。こういう安易な提供の仕方が、映画の出来自体をも暗示しているようで釈然としない気分になる。
テキサス州オースティン市警の刑事ダニー・ロークは、公園で一瞬目を離した隙に幼い娘が行方不明になったことが切っ掛けでメンタルを病んでしまう。しばらく休職していたが、何とか正気を保つために職務復帰するロークだったが、銀行強盗を予告するタレコミを受けて現場に向かった彼が見たものは、周囲の人々を自由に操ることができる謎の男だった。この難敵には歯が立たないまま退却を強いられたロークは、藁をもすがる思いで占いや催眠術を熟知している占い師のダイアナに協力を求める。
序盤は黒沢清監督の快作「CURE/キュア」(97年)に通じるような、刑事と悪意のサイキッカーとの大々的バトルが展開されると思わせて退屈せずにスクリーンと対峙することができた。しかし、中盤からはこの設定そのものが覆されて混迷の度ばかりが増していくことになる。もちろん“今までのハナシは全部ウソで、実はこうでした”という方法論自体は悪くない。上手くやれば映画的興趣は高められる。しかし本作における“ハナシの真相”は、当初のポリス・アクション劇よりもショボいのだ。
さらにこのドンデン返し(?)が繰り返されるごとにヴォルテージはどんどん下がっていく。挙げ句の果ては、作劇を放り出したように見える思わせぶりなラストに行き着いてしまう。これはひょっとして続編狙いかなのかもしれないが、この調子でパート2以降まで引っ張っても成果は望めないだろう。
監督のロバート・ロドリゲスはデビュー作を含めた初期のシャシンでこそ存在感を発揮したが、昨今は精彩が無くこの映画も同様だ。キャスト面では主役のベン・アフレック以外は馴染みの無い顔ぶれで、しかも大したパフォーマンスをしておらず脱力するばかり。ただし、上映時間が94分とコンパクトであることは評価したい。無駄に長いハリウッド映画が目立つ中で、この割り切り方は賞賛に値する。
テキサス州オースティン市警の刑事ダニー・ロークは、公園で一瞬目を離した隙に幼い娘が行方不明になったことが切っ掛けでメンタルを病んでしまう。しばらく休職していたが、何とか正気を保つために職務復帰するロークだったが、銀行強盗を予告するタレコミを受けて現場に向かった彼が見たものは、周囲の人々を自由に操ることができる謎の男だった。この難敵には歯が立たないまま退却を強いられたロークは、藁をもすがる思いで占いや催眠術を熟知している占い師のダイアナに協力を求める。
序盤は黒沢清監督の快作「CURE/キュア」(97年)に通じるような、刑事と悪意のサイキッカーとの大々的バトルが展開されると思わせて退屈せずにスクリーンと対峙することができた。しかし、中盤からはこの設定そのものが覆されて混迷の度ばかりが増していくことになる。もちろん“今までのハナシは全部ウソで、実はこうでした”という方法論自体は悪くない。上手くやれば映画的興趣は高められる。しかし本作における“ハナシの真相”は、当初のポリス・アクション劇よりもショボいのだ。
さらにこのドンデン返し(?)が繰り返されるごとにヴォルテージはどんどん下がっていく。挙げ句の果ては、作劇を放り出したように見える思わせぶりなラストに行き着いてしまう。これはひょっとして続編狙いかなのかもしれないが、この調子でパート2以降まで引っ張っても成果は望めないだろう。
監督のロバート・ロドリゲスはデビュー作を含めた初期のシャシンでこそ存在感を発揮したが、昨今は精彩が無くこの映画も同様だ。キャスト面では主役のベン・アフレック以外は馴染みの無い顔ぶれで、しかも大したパフォーマンスをしておらず脱力するばかり。ただし、上映時間が94分とコンパクトであることは評価したい。無駄に長いハリウッド映画が目立つ中で、この割り切り方は賞賛に値する。