チエちゃんの小学校では、毎週木曜の6時間目にクラブ活動がありました。
4年生から6年生まで、学年のワクを超えて、好きなクラブを選んで活動することが出来るのです。
スポーツクラブ、工作クラブ、理科クラブ、将棋クラブ、読書クラブ、習字クラブ、手芸クラブ、・・・こんな感じ。
中でも、一番人気はスポーツクラブです。
季節に応じて、夏はプール、冬ならサッカー、その他はドッジボールやソフトボール、ハンドベースボールなどをやっていたので、とにかく、身体を動かしたい子はほとんどここに入っていました。
マサキ君と
みつお君も、このクラブでした。
チエちゃんが選んだクラブは、読書クラブも魅力的でしたが、やったことがないものということで、手芸クラブです。もちろん、
ナオちゃんと一緒です。
顧問の先生は、樹木希林さん似の大槻先生と市毛良枝さん似の佐藤先生のお二人です。
先生方も、他の授業と違って、クラブ活動の時間が楽しそうでした。
チエちゃんが初めて教わった手芸は、レース編みです。
直径20cmの丸いドイリー(花瓶敷き)を作ります。
くさり編みを8コ作ったら、輪にして、細編みを8コ、一段上がって、細編み16コ、次の段は長編み??? チンプン、カンプン!
先生が編み方のお手本を見せてくださいました。きれいに編み目がそろっています。
チエちゃんも見よう見まねで編んでみました。ところが、チエちゃんのくさり編みといったら、不揃いでお手本の3倍もの大きさなのでした。
それでも、一生懸命編んで十段ほど編んだところで、改めて見返してみれば、どうみても目の粗い網に見えるだけなのでした。それに、平らになるはずの作品は波打っていたのです。
このままでは、どうしても納得のいかないチエちゃんは、解いては編み直し、解いては編み直しを繰り返し、夏休みを使ってようやく作品を仕上げたのでした。
出来上がったドイリーは形的には満足だったのですが、真っ白なレース糸のはずが手垢で汚れ、グレーになってしまっていたのでした。
チエちゃんは3年間手芸クラブを続け、ぬいぐるみやクロス刺繍、マフラーを作りました。大人になって、棒針編みで自分のニットスーツ、彼のセーターをも編める腕前になったのです。
チエちゃんの手芸道は、全てここから始まったのでした。