チエちゃんの昭和めもりーず

 昭和40年代 少女だったあの頃の物語
+昭和50年代~現在のお話も・・・

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大地震 その4

2011年03月18日 | 大地震
福島県福島市在住@チエちゃんです

2011年3月11日(金)
自宅にたどり着いたのは、16時過ぎだったろうか?
自分の家がそのままの形で、あってくれたことにほっとする。
道すがらの家屋は、表面上は何事もなかったかのように見えた。
道路も空いていた。

玄関を開けると、いつもと同じ風景に思えた。(いつもちらかしてあるのだ)
あわてて茶の間に入る。そこには、ヒロシが立っていた。
「大丈夫だった?」
「ああ。いや~、すごい地震だったな。おっ、また揺れた。
 サイドボードとラックを押さえてたんだ。」
サイドボードを見ると、上に置いていた物がすべて落下している。
中の物も落ちかかっていたが、ガラス扉がかろうじて食い止めていた。

「それより、ボブとキャシーがいないんだ。」
一昨年秋に、ヒロシが飼い始めた猫だ。
「ボブ! キャシー! ボブ! キャシー!」
台所へ。食器棚は倒れていなかった。中の食器は、サイドボードと同様だ。
2階へ。私たちの寝室。タンスは倒れていなかったが、除湿器が倒れ、捨て忘れていた水が畳に沁み込んでいた。
「ボブ! キャシー! ボブ! キャシー!」
長男の部屋。本棚が倒れ、コミックが散乱していた。
何処にもいない。動物は本能的に、安全な場所に身を潜めているのだろう。
しかたなく階下へ戻ると、何処からともなく、キャシーが現れた。
よかった。

「ボブ! ボブ!」
奥の八畳は、惨たんたる有様だった。大型衣装ラックが倒れ、デスクトップパソコンとプリンターが落下、机の本棚の本が床に散らばり、足の踏み場もない状態だ。
居間に戻ろうとした時、キラッと光るモノが目に入る。
襖と机の狭い隙間に、ボブの目があった。

その7へ つづく





大地震 その3

2011年03月18日 | 大地震
福島県福島市在住@チエちゃんです
お話の日時は前後しますので、ご判読お願いします。

昨日3月17日は、家族全員で買い出しに出かけた。
8時30分自宅出発。
最初は、前日嫂からの情報の八百屋さんに行ってみることにする。
向かう車の中で、メガネとマスクを忘れたことに気付く。やはり、あわてているのだ。
目的の八百屋さんを探しあて、中に入ってみると、商品は少ないが確かに青物が入荷している。
「売ってもらえますか?」
「ああ・・・、売るけど、10時からね。」
車に戻り、ヒロシと相談。
昨日から、大型スーパー営業の情報が入っているから、そっちに並ぼう。
それに、野菜だけでなく、肉や缶詰、日用品も買える。
太い仕入れ先のパイプをもっている店の方が良いと判断。

そのスーパーは、福島県民御用達 セブン&アイグループ「ヨークベニマル」だ。
ヨークベニマルは、震災直後は一部の店舗を除き、営業を停止していた。
私が通うその店舗も停止していた。
9時到着。
すでに、30m程の行列ができていた。
まだ、早い方だ。情報は、本当だった。

私の弟は、ヨークベニマルの社員で、県外の店舗に単身赴任している。
先月、店長に昇任したのだと実家から聞いていた。
また、あいつも大変な時に店長になったもんだ。がんばれよ。
そう思いながら、列に並んだ。

隣り合わせた人たちから、情報を聞く。
昨日も並んだけど、商品はたくさんあった。無くなると、また、並べるんだ。
一安心だ。

こんなにたくさんの人たちが並んでいる。笑顔さえみせて。
放射能におびえて、自宅に閉じこもっていた自分がバカだった。
もう、放射能なんかどうでもいいや。今を元気に生きることが先決だ。

10時開店。
一人ずつ、ゆっくり入店。
わあ、野菜がある。パンも売っている。お肉も、魚も、果物も、調味料も、お惣菜まである。
正直、こんなに品物が届いているとは思わなかった。
大手スーパーは、震災直後は営業を停止していたが、大量放出への準備を確実に整えていたのだ。
私は、慎重に商品を選んだ。

スーパーの店員さんに感謝した。
自分だって、食べ物やガソリンが無くて大変だろうに、こんなにがんばってくれている。


その5へ つづく