チエちゃんの昭和めもりーず

 昭和40年代 少女だったあの頃の物語
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ほうとう

2014年11月20日 | チエの玉手箱
11月も半ばを過ぎ、ここ福島では朝の最低気温が一ケタ台となり、ずいぶんと寒くなってきました。
寒い夜には暖かいものということで、息子のリクエストもあり「ほうとう」を作りました。
生めんを別ゆでにすることなく肉や野菜と煮込むだけなので簡単料理。
ほうとうめんはシコシコ腰が強く、汁にとろみが出て体が温まりますね。

ほうとうは山梨県の郷土料理ですが、福島にもこれと似た料理があります。
「だんご汁」です。
めんではなく、小麦粉に水を入れて練ったものを小さくちぎり、それを鍋に落として季節の野菜や肉と煮込む料理で、いわゆる「すいとん」のことをこの辺りではだんご汁と呼びます。
大根や人参、ごぼう、きのこ、白菜、ねぎといった野菜を入れるのですが、この他このだんご汁に欠かせない野菜が「かぼちゃ」です。
かぼちゃが入っていないだんご汁は、クリープのないコーヒーみたいなもの。
かぼちゃの甘みが汁をおいしくしています。

私が子どもだった頃、チエちゃん家では冬になるとよくこのだんご汁を作りました。
そして、食べながら母と祖母は必ずこう言うのです。
「今のだんご汁は、お肉も野菜もたくさん入っているからおいしいよ。戦争中は、こんなの食べられなかったからね。」
と言われても、戦争を知らないチエちゃんには当時ピンとこなかったわけですが、昭和40年代初期はやっと戦後20年。
高度成長の好景気に浮かれていても、人々の心にはまだ戦争の傷跡が深く刻まれていたのだなあと、この年齢になって初めてその言葉が理解できたような気がしています。