
2005年5月13日午後1時25分。予定通り、名古屋からの南紀3号がホームに滑り込んできた。前泊した私達夫婦が駅頭で4人を迎え、久しぶりの再会を喜び合う時間もそこそこに、最初の目的地「神倉神社」へ向かった。
市街地の西方、千穂ケ峰の南端に鎮座するゴトビキ岩をご神体としている。遠方から6時間以上、列車に揺られてきたメンバーにはいきなりリュックをかついでの登りはきつかっただろうが、誰一人、弱音を上げなかった。さすがに、交通機関よりも徒歩主体を楽しみたいと言うだけあって、全員、事前の備えは万全だったのだろうと感心した。神倉神社からは、新宮市内と熊野灘の大パノラマが眼下に広がり、疲れも一気に吹き飛んだが、その後の行程は予想以上に難行苦行だった。


駅前の観光案内所で「歩きたいなら」と、助言されたルートは千穂ケ峰の自然遊歩道経由で、速玉大社へ抜ける道だったが、道標も少なく山中で迷うこと度々。遊歩道とは名ばかりで、けもの道と雨が降れば滑落しそうな岩場の連続で、鮮やかな朱色の大社が前方に見えた時、不安と緊張でこわばっていた肩の張りがようやく抜けた。

大社近くの権現前からバスで約1時間。熊野川支流の大塔川沿いの国民保養温泉地に指定されている川湯温泉へ。。「小じゃりかきわけ川湯をたたえ石を枕に月を見る、、、」と歌われるとおり、河原に設けられた露天風呂に浸かると、旅情は一気にたかまった。