
大門坂を過ぎ、お寺前駐車場を横切るとふたたび467段の石段が待っている。那智大社参詣の最後の試練だ。汗を拭きながら上りきると、鮮やかな朱色の社が目に飛び込んできた。すぐ横には西国三十三所観音霊場の1番札所の青岸渡寺が建っているが、大社の華麗さに対し、古色然として威厳に満ちており、周囲の緑に調和していて私はこの方が好きだ。
青岸渡寺から那智の大滝へ向かう途中に朱色の三重塔がある。朱色の塔と滝を遠望出来るアングルは、記念写真の絶好のポイントといえよう。那智の滝は、日本三名瀑のひとつで落差133メートルもある。那智48滝の一の滝で、滝自体が飛瀧神社のご神体となっており、修験道の行場としても名高い。300円払えば、水沫をかぶる滝つぼの近くまで行くことが可能だ。マイナスイオンを全身に浴び、しばし暑さを忘れさせてくれた。
昨年、世界遺産に登録されてから以前にもまして脚光を浴びる熊野古道だが、林業従事者と行政側との抗争も取りざたされている。なぜ、登録申請前に利権調整できなかったのか残念な思いがするが、一日も早く解決し、日本が誇る遺産を大切に守って行って貰いたいと願っている。