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「嘘を愛する女」(2018年 日本映画)

2018年01月31日 | 映画の感想・批評
 数年、同居した恋人が、意識不明の重体になったことから、自分が知る恋人の名前も住所も偽りだったことに気付かされ、自分が愛した人物は何者なのか調べていくと、思いも寄らなかった過去が明らかになっていく・・・、サスペンス仕立ての恋愛映画である。
 観終わった後、分かったのだが、本作品は、新たな才能の発掘を目指した「TSUTAYA CREATORS’ PROGRAM FILM 2015」にて、応募総数474本の中から、初代グランプリに輝いた企画だそうである。全編を通して、CM出身で初演出の監督が脚本も担当されたからだろうか、細かい不整合は多々ありながらも、熱き想いを勢いに乗せて、2時間を突っ走るという印象であった。登場人物の気持ちの浮き沈みが激しく、それ故に、「うれしい」シーンや「悲しい」シーンがはっきりとしており、やや唐突感が否めなくて、感動的なシーンでも、こちらが気恥ずかしく感じられる場面があった。特に、長澤まさみ演じる主人公由加利は、恋人を「信じたい」という願望と、信じ切っていた人物に裏切られた気持ちとが混ざり合う、複雑な感情を持つ人物を演じ続けなくてはいけないことから、かなりのストレスがあったかと想像出来る。そのストレスが画面を通じて、出ていたように感じる。それは監督の意図していたことなのか、そうでは無いのかは分からないが・・・。
 ちなみに、監督の熱い想いとは、嘘(=「人間のダメな部分」とします)をも、包み込んでしまう大きな気持ちが「愛」であるというものであろうと思う。果たして、主人公由加利は、それを感じられることが出来るのであろうか。はたまた、それを与えることは出来るのだろうか。感動的なラストにその答えが待っている。
(kenya)

監督:中江和仁
脚本:中江和仁、近藤希実
撮影:池内義浩
出演:長澤まさみ、高橋一生、DAIGO、川栄李奈、野波麻帆、初音映莉子、嶋田久作、奥貫薫、津嘉山正種、黒木瞳、吉田鋼太郎他