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「ハン・ソロ/スター・ウォーズ・ストーリー」(2018年 アメリカ映画)

2018年08月01日 | 映画の感想・批評


 「スター・ウォーズ」ファンのお楽しみ、「ローグ・ワン」に続くスピンオフ作品第2弾は、宇宙の運び屋にして反乱軍の英雄となったハン・ソロの若き日々を描いた物語だ。ハン・ソロといえば、かつて日本で行われたアンケートにおいて、主役のルークやレイア姫、ダースベイダーなどを押さえて人気NO1を獲得したキャラクターだったとの記憶があるが、そんなハン・ソロの生い立ちや、相棒チューバッカとの出会い、愛機ミレニアム・ファルコン号を手に入れた方法など、多くのファンが知りたかった謎が今作でついに明らかになる。
 この作品、最初「LEGOムービー」のフィル・ロードとクリス・ミラー両監督によって撮影が進められていたのだが、なんと撮影終盤において監督交代という激震が襲う。ルーカスフィルムが目指した演出やカスダン親子の脚本からあまりにもかけ離れた“コメディ”になりすぎていたというのがその理由らしいが、新しい監督に起用されたのが今や巨匠の域に入ったロン・ハワード監督である。ロン・ハワードといえば、往年の映画ファンには懐かしい青春映画「アメリカン・グラフィティ」で主役を演じていたことが思い出されるが、なんとその作品の監督は「スター・ウォーズ」製作前のジョージ・ルーカスだったというのも、何か運命のようなものを感じてしまう。ロン・ハワードはあの時の真面目な高校生がそのまま監督になったような感があり、斬新な映像や新しいキャラクター、機器等を加えながらも、「スター・ウォーズ」シリーズが持っている品格や「宇宙西部劇」といったテイストを大切にしていて、決してファンを裏切らない作りとなっている。
 若きハン・ソロを演じるのは、若手のホープ、オールデン・エアエンライク。ハン・ソロといえば、ハリソン・フォードの名前がすぐに思い出されるが、失礼ながら今のハリソンに若かりし頃を演じていただくのはちょっと無理というもの。そこで抜擢されたのがオールデンなのだが、少しスケールは小さくなったように感じるものの、お調子者で自信過剰なスピード狂、ちょっぴり女ったらしなところまで、しっかり同じDNAを感じさせながらソロを演じきった。所々で見せるハリソンに似せた仕草や笑顔が何とも微笑ましい。
 残念なのは興行の方で、アメリカ本国でも期待通りとはなっていないようだ。前作の「エピソード8」から半年しかたっておらず、ファンの枯渇感が少なかったからか、大スターの起用がなかったからか、原因はいろいろ考えられるが、続編が期待されているのも確か。2019年の公開が決まっている「SW最終章・エピソード9」の後でもいいから是非実現を望みたいものだ。「ブレードランナー」の時のようにハリソン・フォードが出てくれれば最高なのだが、いかに。
 (HIRO)

原題:SOLO:A STAR WARS STORY 
監督:ロン・ハワード
脚本:ジョナサン・カスダン&ローレンス・カスダン
撮影:ブラッドフォード・ヤング
出演:オールデン・エアエンライク、ウディ・ハレルソン、エミリア・クラーク、ドナルド・グローヴァー、タンディ・ニュートン、ヨーナス・スオタモ、ポール・ベタニー