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「トイ・ストーリー4」 (2019年 アメリカ映画)

2019年08月21日 | 映画の感想、批評


 世界初のフルCG長編アニメーション映画「トイ・ストーリー」がアメリカで公開されたのは1995年。おもちゃの世界を描いたこのユニークな作品を初めて目にした子どもたちも、もう24年たって立派な大人に成長。中には自分の子どもたちと一緒にこの4作目を見ておられる方もたくさんいらっしゃることだろう。
 カウボーイ人形のウッディや、当時は最新のアクション・フィギュアだったバズ・ライトイヤーなど、1作目から登場しているキャラクターたちはおもちゃとしてもう一世代前の代物。大人たちにとっては、何とも古めかしく懐かしい。最初の持ち主だったアンディが大学生になったときに、近所のボニーという女の子にウッディたちをプレゼントしたのが前作3のラストだったのだが、その後の仲間たちの新たな旅立ちと冒険が描かれるこの新作、大人になったファンたちの“リクエストにお応えして”感が満載で、子どもたちよりも大人が見て楽しめる内容となっている。
 新しいキャラクターたちもなかなか魅力的で、中でも2度目の持ち主となったボニーが幼稚園で作った手作り人形フォーキーがユニーク。使い捨ての先割れスプーンと工作の材料で作られた「世界に一つだけのおもちゃ」なのだが、元々捨てられる運命にあったためか、すぐにゴミ箱に入りたくなるのが何とも可笑しい。いつでも自信たっぷりなデューク・カブーンは、カナダの偉大なスタントマンをモデルにした1970年代のおもちゃ。カブーンの声は何と同じカナダ出身のキアヌ・リーヴスが演じているというから、字幕版でもその活躍ぶりを是非確かめてみたくなった。他にもいつか一人の子どもに愛されたいと願う1950年代の人形ギャビー・ギャビーの言動には切なく泣かされるし、アンディの妹が手放した磁器の人形ボー・ピープとの再会がその後のウッディの生き方を変えてしまうところも新鮮だ。ジョシュ・クーリー監督が目指したトランジッション(変わり目)という主題が生きた構成になっているが、さあその後は??近い将来、きっとまたこの愛すべきおもちゃたちと再会できるのは明らかだろう。(今回も大ヒットしたしね!)
 長いエンドロールを眺めていると、アニメーション作品は本当にたくさんの人々の手によって作られていることがよくわかる。先日の京都アニメーションの火災で犠牲になった方々も、きっと最後に自分の名前を確認して、次作への英気を養われていたのだろうなと感慨深く思っていると、最後のお楽しみが・・・。どうぞお見逃しなく!!
 (HIRO)

原題:TOY STORY 4
監督:ジョシュ・クーリー
脚本:ステファニー・フォルソム&アンドリュー・スタントン
撮影:パトリック・リン、ジャン=クロード・カラーチェ
声の出演:トム・ハンクス、ティム・アレン、キアヌ・リーヴス、トニー・ヘイル、アニー・ポッツ、クリスティナ・ヘンドリックス
〈日本語版〉唐沢寿明、所・ジョージ、竜星涼、戸田恵子、新木優子、森川智之、松尾駿・長田庄平(チョコレートプラネット)