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ストーリー的には
突然笑いだしてしまう持病に苦しみながら、一緒に住む愛する母の介護に励む貧しい主人公。懸命にピエロとして働くが報われず、夢であるコメディアンの才能もない。さらに同僚にお守りとして渡された銃が見つかり、その職も失ってどん底に陥る。しかしその銃で人を殺した時、彼は解放された様な感情になる。
そんな様を描いた作品です。
この映画が持つテーマは深くて重いです。
アメコミというジャンルとは思えない、貧富の格差、底辺の世界の中でも更に低い地位の人に対しての暴力。信頼していた人、愛していた母親からの絶望。愛していた人からの拒絶。保身にもらった銃が手元にあったことで、暴力を受けた相手を射殺。相手はエリート会社員。天地がひっくり返ってしまった。どんなエリートでも、殺す事で一気に優位に立ててしまった。と錯覚を起こしてしまう。ただ墜ちているのか?むしろ、昇っているのか。何が悪で何が正義か?とにかく凄いのが執念すら感じるホアキン・フェニックスの演技。泣きながら大笑いする演技。病気とはいえ、どこか不気味に世間からズレた感覚をもつ演技、人を殺したあとの安らかな表示の演技。どれをとっても一級品でリアルでした。本当にジョーカーがいてもおかしくないと思わされました。最初は気味悪く感じていたのがラストにはかっこよく見えてしまう。デニーロとの対峙は映画ファンには堪らないです。そして音楽がセンス良いです!ゲーリー・グリッターの名曲「ロックンロール」の使われ方が最高です。
様々なJOKERがいる中で、JOKERの生い立ちに注目して、丁寧に作り上げた作品です。
脚本も素晴らしいです。
「バットマン」の悪役として広く知られるジョーカーの誕生秘話を、上手くスパイスを加えて、脚色も絶妙で、最近見た作品の中では良い作品です。
ただ一般大衆する作品では無い事だけは確かです。それを証拠に座席の後ろで観ていたカップルの女性が放った一言「最初から最後まで一秒も楽しめなかった」です。
あと思うのは日本は銃社会ではないから模倣犯はないと思うが、他国でこれを流すのは不安に感じてしまう部分があります。
この作品を通して思うのは誰でもジョーカーになり得る事だと思う。
感情の爆発。魂の叫び。後半のそれには共感する所はとてもあります。ある意味世の中の縮図と言っても過言では無いと思います。
トッド・フィリップス監督の次回作にも超期待します。(CHIDU)
原題:Joker
監督ːトッド・フィリップス
脚本ːトッド・フィリップス、スコット・シルバー
撮影ːローレンス・シャー
出演ːホアキン・フェニックス、ロバート・デ・ニーロ、ザジー・ビーツ、フランセス・コンロイ、ビル・キャンプ他