地味そうな作品と思えたのか、渋る息子に、「あんたも介護職なんだから、見ときなさい!」と母親の強権発動。
が、結果オーライでした!笑
公開直後とはいえ、全国でたったの5か所しか上映していないという、超レアもの。
「京都芸術大学の学生たちが中心になって制作し、京都の町を舞台にしている.!」
というのに、桂川イオンモールでしかやってないの?
あら、制作されてからしばらく上映の機会もなかったの?
公開まで6年もの日がかかっていたらしい。
バイクの事故で首から下の自由を失い、自宅で老父の介護を受けている男、俊作。ヘルパーさんはなかなか定着しない。口は悪いし、セクハラはやらかす。
そんな男のもとに、老父が語るラジオの求人を聞いて、全盲の若い女性、華絵が「無資格ですが」とやってくる。白杖を頼りに、一人でバスに乗って。
老父は実は余命わずかの身。ようやく息子の介護を頼める人ができたと、華絵を全面的に信頼し、すべてを託そうとする。このお父さんが本当に温かい。
息子の俊作には何も告げずにそっと旅立ってしまう。
また、俊作の自称「ご学友」も、華絵に明るく優しく接し、俊作が元は新進気鋭の日本画家で、どんなに素晴らしい作品を残していたかを語ってくれる。華絵の目には見えないけれど、その作品の前に立った華絵の写真は輝いている。途中失明の華絵にも言葉で語られる絵画のイメージは十分に視野にやきついていただろう。本当に素晴らしい絵だった。
華絵もまた、辛い秘密を抱えていた。視覚障害ゆえ、幼い息子と離れなければならない。その息子に会いたい!引き取って一緒に暮らしたい!
ずっと引きこもりだった俊作が介護タクシーを使って、華絵に付き添う事にする。
目の見えない華絵の代わりに、住所を読みとり、いつしか「夫として」
華絵の元の夫が悪い人でないし、新しい母親も得て、息子は愛されていることを知り、華絵は息子を引き取ることを諦める。
「何もかも奪われてしまうのか!」
俊作は全身けいれんの発作を起こし、華絵はなすすべもない。
俊作は施設に入ることを拒否し、親戚からは「これ以上迷惑かけるな」と突き放される。
華絵の「迷惑かけんと、うちらにどうやって生きろと言うんや」の言葉は痛い。
「何もできないというだけで、全部あきらめなあかんのかな」と俊作の言葉も胸を突き刺す。
全てを奪われて絶望の淵にいた俊作は、華絵を守ろうとして、外に目を向け始め、生きることに前向きになる。
介護は「してもらう」ものでも、「してあげる」ものでもない。双方の力を持ち寄り、お互いが人として生きる力を高めあう事だと、感じた。
白杖もないまま、町を彷徨った華絵は、どうやってなのだか、そこはお話しなのだが、ちゃんと俊作のもとにたどり着いた。静かに、あたたかく寄り添う二人のラストシーンがとても美しかった。
この映画のあとで、休憩なしに「MOTHER」を見た。
人間の質の対極にあるものを見た思いがする。
帰りの高速道路を運転しながら、「言いたくないけど、やっぱり人としての質の違いはあるんやね!」と息子に語りかけた。「マザーの世界のような人が、哀しいけど本当にいるんやろうね。今まで出会わずにこれたのは、それは幸いなことなのよ。映画は自分の知らない世界を垣間見ることが出来るから、やっぱり面白いね。ところで、あんたが息子で良かったわ」
「うん」と一言返してくれる息子。
母はちょっと期待もしてたのです。「お母さんで良かった」と言ってくれるかなと。
あかん、無理強いするまい!
(アロママ)
監督 :藤本啓太
撮影:高木風太
原作、脚本:松下隆一
出演:永瀬正敏、土居志央梨
が、結果オーライでした!笑
公開直後とはいえ、全国でたったの5か所しか上映していないという、超レアもの。
「京都芸術大学の学生たちが中心になって制作し、京都の町を舞台にしている.!」
というのに、桂川イオンモールでしかやってないの?
あら、制作されてからしばらく上映の機会もなかったの?
公開まで6年もの日がかかっていたらしい。
バイクの事故で首から下の自由を失い、自宅で老父の介護を受けている男、俊作。ヘルパーさんはなかなか定着しない。口は悪いし、セクハラはやらかす。
そんな男のもとに、老父が語るラジオの求人を聞いて、全盲の若い女性、華絵が「無資格ですが」とやってくる。白杖を頼りに、一人でバスに乗って。
老父は実は余命わずかの身。ようやく息子の介護を頼める人ができたと、華絵を全面的に信頼し、すべてを託そうとする。このお父さんが本当に温かい。
息子の俊作には何も告げずにそっと旅立ってしまう。
また、俊作の自称「ご学友」も、華絵に明るく優しく接し、俊作が元は新進気鋭の日本画家で、どんなに素晴らしい作品を残していたかを語ってくれる。華絵の目には見えないけれど、その作品の前に立った華絵の写真は輝いている。途中失明の華絵にも言葉で語られる絵画のイメージは十分に視野にやきついていただろう。本当に素晴らしい絵だった。
華絵もまた、辛い秘密を抱えていた。視覚障害ゆえ、幼い息子と離れなければならない。その息子に会いたい!引き取って一緒に暮らしたい!
ずっと引きこもりだった俊作が介護タクシーを使って、華絵に付き添う事にする。
目の見えない華絵の代わりに、住所を読みとり、いつしか「夫として」
華絵の元の夫が悪い人でないし、新しい母親も得て、息子は愛されていることを知り、華絵は息子を引き取ることを諦める。
「何もかも奪われてしまうのか!」
俊作は全身けいれんの発作を起こし、華絵はなすすべもない。
俊作は施設に入ることを拒否し、親戚からは「これ以上迷惑かけるな」と突き放される。
華絵の「迷惑かけんと、うちらにどうやって生きろと言うんや」の言葉は痛い。
「何もできないというだけで、全部あきらめなあかんのかな」と俊作の言葉も胸を突き刺す。
全てを奪われて絶望の淵にいた俊作は、華絵を守ろうとして、外に目を向け始め、生きることに前向きになる。
介護は「してもらう」ものでも、「してあげる」ものでもない。双方の力を持ち寄り、お互いが人として生きる力を高めあう事だと、感じた。
白杖もないまま、町を彷徨った華絵は、どうやってなのだか、そこはお話しなのだが、ちゃんと俊作のもとにたどり着いた。静かに、あたたかく寄り添う二人のラストシーンがとても美しかった。
この映画のあとで、休憩なしに「MOTHER」を見た。
人間の質の対極にあるものを見た思いがする。
帰りの高速道路を運転しながら、「言いたくないけど、やっぱり人としての質の違いはあるんやね!」と息子に語りかけた。「マザーの世界のような人が、哀しいけど本当にいるんやろうね。今まで出会わずにこれたのは、それは幸いなことなのよ。映画は自分の知らない世界を垣間見ることが出来るから、やっぱり面白いね。ところで、あんたが息子で良かったわ」
「うん」と一言返してくれる息子。
母はちょっと期待もしてたのです。「お母さんで良かった」と言ってくれるかなと。
あかん、無理強いするまい!
(アロママ)
監督 :藤本啓太
撮影:高木風太
原作、脚本:松下隆一
出演:永瀬正敏、土居志央梨