模型工房クラフトベース工房主の気まぐれ日記

仕事での模型製作や、趣味のプラモ・ガレージキットの製作過程、TVや映画の事など、気の向くままに書いています。

映画「永遠の0」感想

2014-02-09 11:38:31 | 感想
7週連続ランキング1位で大ヒット中の「永遠の0」。
ようやく観に行くことができました。

もう観た人は多いでしょうから、ストーリーの説明は抜きにして、感想のみ書きます。

全体としては、よくできていた方だと思います。
特に主人公:宮部久蔵を演じる岡田准一の演技のすばらしさは、それだけで観る価値ありです。
空母赤城の映像も見ごたえがあります。

ただ、原作を読んだ者にとっては、かなり物足りなさを感じるのではないでしょうか。
映画として作るうえで、仕方のないことかもしれませんが、やはり多くの部分がバッサリとカットされています。

原作で多くの部分を占める、ラバウルやガダルカナルでの戦いは、映画では燃料切れの話のみ。
実在した多くのエースパイロットがラバウルに集まり、様々な逸話や零戦の操縦テクニック、そして壮絶な戦闘が語られる場面が、映画ではほとんどありません。
レイテ海戦やソロモン海戦、マリアナ沖海戦などもすべてカット。
当然、宮部が空母翔鶴に配属された時期もカットです。

士官と下士官・兵との理不尽な格差や、海軍の構造とシステムの問題など、原作で何度も書かれている事柄が、映画では今一描かれていません。
新聞批判に関しては、原作での登場人物である新聞記者自体が映画では登場せず、一切なし。
それに関連して、特攻と自爆テロとの違いに関する論争は、合コンで言い合うという、あまりに軽い場面に変更されていました。
戦時中に英雄扱いされた、真珠湾攻撃のパイロットや特攻隊の隊員が、戦後は非国民扱いされ、墓も作れなかったことなどは、原作でとても印象に残る部分ですが、これも一切なし。
宮部とライバル的存在となる景浦が、宮部に何かと食ってかかりますが、そうなるまでの過程がカットされているので、やたら唐突に感じます。

原作付きを映画化する場合、原作のどの部分を削り、どの部分を採用するのかが最重要だと思いますが、どうも山崎監督って、その部分でまず難有りな気がします。
実写版「YAMATO」でもそうでしたし(YAMAYOは設定変更から問題でしたが)。

繰り返しになりますが、役者の方々は(三浦春馬を除いて?)大変な熱演です。
それだけに、やはりチョイスしたエピソードが足りなすぎるのが悔やまれます。
原作の方が面白いのは間違いありません。
コメント
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