二度寝の折、とてつもなく怖い夢を見た。
夢だからオチも何もないけれど、あまりに鮮明に覚えているのでここに残しておく。
侵略
私は実家に帰省していたようで、その日は寺の庭でゴロゴロしていた。
周りには幼なじみやら、知らない家の子どもらがいてかなり賑やかな感じだった。
建物の中では親たちや大勢のお客さんがわやわやしていて活気がある懐かしい風景だ。
ゆったりとした時間の中で異常なまでに皆穏やかであった。
ぽかぽか陽気の昼下がり皆が昼寝や雑談に興じている頃、
向かいの山の峰に沿って空が少しずつ赤く染まりはじめた。
その赤色が大分広がり誰かがその異変に気づくと、大声で家の中に非難するように呼びかけた。
誰もがその異様な空を見て、何か危機的状況が迫っていることを感じてとった。
外にいた者は大急ぎで建物の中に入り、大勢の人が寺の庫裏で身を潜めた。
誰がいて誰がいないのかも把握出来ないほど皆混乱していた。
しばらく大人たちは身動きもとらず状況を見守っていた。
すると向かいの赤い峰はそのままに空全体がどんどん暗くなっていった。
こんなときでも小さな子どもたちは楽しそうで、窓の外を眺めてはきゃっきゃしていた。
しかし空から無数の光線が地上に降りそそいだときはさすがに皆絶句した。
この事態が「宇宙からの侵略」であるということが判明したのだ。
その後も絶え間なく光線や炎に包まれた隕石が入り乱れるように地上を襲い、
皆もうダメだと子どもを抱き寄せ近くの者同士で身を寄せ合い祈るように目をつむった。
現実的な時間の経過はわからないけど、
しばらくすると(1時間かもしれないし、一日かもしれない)外で響いていた轟音が鳴り止んだ。
するとそこにいた子どもが「ひこうき」「ひこうき」と窓の外を指差した。
それに釣られて窓際に行き外を見てみると、
山の木が焼き尽され、その向こうの空が宇宙空間のように暗くずっしりと佇んでいた。
半壊した飛行機の群れが宙に放り出されて浮いており、飛散した地上の塵が舞っていた。
理解が追いつかなかった。
それでもそれまでなぜか寺の庫裏に被害はなく、
私の中にもしかしたら助かるのではという淡い期待が芽生えていた。
しかし危機とは唐突に訪れるもののようで、
金色に燃え上がった隕石が庫裏に向かって飛んできたときは力のある限り走るしかなかった。
近くにいた幼なじみのFちゃん(なぜか子どもの姿)の手を引き、
もう一人小さな子どもを抱えとにかく死にものぐるいで走った。
走っているときは「生きたい」とか「死にたくない」とか考える余地もなく頭の中は真っ白だった。
どちらかというとただただ「怖い・恐しい」というお腹にくる感情に支配されていたのだと思う。
それから寺の離れに着いた。
実際の庫裏からの距離は数十メートルだけど、夢の中では1キロくらいは走ったと思う。
まだそこに火は飛んでなかった。
辺りも静かで先ほどとは別世界だった。
そこにどこの子かもわからない一人の少年がいたけど、
その子がなんだったのかは最後までわからなかった。
息も絶え絶えにぽつぽつと難から逃れた人たちが離れに入ってきた。
つかの間の休息という感じだ。
もしこれが宇宙レベルの「災害」であったなら、助かる余地もあったはずだ。
でもこれは「侵略」、きっと全てが破壊し尽くされるまで終わらない。
真っ赤な向いの山の峰を緑色の輪郭が覆いやがて下の方に広がり近づいてくると、
身の毛がよだつ程の恐怖心に襲われた。
近づいてくる緑のそれは宇宙人の軍隊だった。
まさに「数十万の大群」という表現にふさわしい迫力だった。
無数の旗をはためかせ、屈強な鎧を身にまとい、隊列を崩さず山を下りてくる緑の軍隊。
「宇宙人」と言うにはあまりにも人間に寄り添った容姿で変な感じだった。
どちらかというと『ロード・オブ・ザ・リング』に出てくるオークのような見た目だ。
彼らは生き残っていたわずかな者たちすら見逃すつもりはないらしく、私たちの方に進軍してきた。
離れにいた人たちは逃げ惑った。
私もFちゃんともう一人の子どもの手を引いて、死にものぐるいで反対側の山へ走った。
後ろでは何かが爆発したり、他の人が襲われたりしていたのだと思うけど、
振り返る余裕などなく実際に何が起きているのかは分からなかった。
とにかく無我夢中で走った。
気づいた時にはFちゃんも、もう一人の子もいなかった。
私は山の麓にたどり着き、近くあった大きな木造の納屋(実際はない)に逃げ込み、
必死の思いで天井裏に隠れた。
人が横になって丁度人一人入れる程度の狭いスペースだ。
動機が激しく呼吸も乱れていたが、一生懸命息を潜めた。
なぜか外が見えていたのだけど、今思えば夢独特の俯瞰した視点だったのかな。
宇宙人の軍隊は目の先まで迫ってきていた。
納屋の前の広場で隊列を組み直し、陣を敷いているようだった。
しばらくして軍の真ん中に道が開き騎馬の小隊が入ってきた。
他の者たちに比べ派手な鎧を装着している。
どうやらお偉方のようだ。
そしてその中に白衣を着た一人の日本人男性がいた。
眼鏡をかけ耳にかかるくらいの長さの黒髪で歳は多分40前後。
もう一人秘書みたいな髪の長い女の人もいたけどそれはよく覚えていない。
群衆が生み出す地鳴りのようなざわめきの中から、博士らしき日本人と宇宙人の会話が聞こえた。
「どうやら電気で溶けると融合するらしいです。」
ロード・オブ・ザ・リング
ここで目が覚めた。
布団の中で15分くらいか、鼓動が激しく脈打ったままだった。
意味の分からない言葉が頭の中でやまびこみたいに呼応していた。
「デンキ…トケル…ウチュウジン」
こんな夢を見たのは、トイレに長い間星新一の『ようこそ地球さん』が置いてあるせいかもしれない。
あるいは漫画『ガンツ』や『キングダム』の影響か。
はたまた最近NASAが発表した恒星「トラピスト1」の話によるかもしれない。
なんにしろ宇宙人だが、想像しうる以上のヴィジュアルは夢では見れないらしい。
夢でも現実でもここまで恐怖したのは何年ぶりだろう。
とにかく恐い夢はもうたくさん。
よくわからんけど、無性に『ロード・オブ・ザ・リング』を観たくなった。
夢だからオチも何もないけれど、あまりに鮮明に覚えているのでここに残しておく。
侵略
私は実家に帰省していたようで、その日は寺の庭でゴロゴロしていた。
周りには幼なじみやら、知らない家の子どもらがいてかなり賑やかな感じだった。
建物の中では親たちや大勢のお客さんがわやわやしていて活気がある懐かしい風景だ。
ゆったりとした時間の中で異常なまでに皆穏やかであった。
ぽかぽか陽気の昼下がり皆が昼寝や雑談に興じている頃、
向かいの山の峰に沿って空が少しずつ赤く染まりはじめた。
その赤色が大分広がり誰かがその異変に気づくと、大声で家の中に非難するように呼びかけた。
誰もがその異様な空を見て、何か危機的状況が迫っていることを感じてとった。
外にいた者は大急ぎで建物の中に入り、大勢の人が寺の庫裏で身を潜めた。
誰がいて誰がいないのかも把握出来ないほど皆混乱していた。
しばらく大人たちは身動きもとらず状況を見守っていた。
すると向かいの赤い峰はそのままに空全体がどんどん暗くなっていった。
こんなときでも小さな子どもたちは楽しそうで、窓の外を眺めてはきゃっきゃしていた。
しかし空から無数の光線が地上に降りそそいだときはさすがに皆絶句した。
この事態が「宇宙からの侵略」であるということが判明したのだ。
その後も絶え間なく光線や炎に包まれた隕石が入り乱れるように地上を襲い、
皆もうダメだと子どもを抱き寄せ近くの者同士で身を寄せ合い祈るように目をつむった。
現実的な時間の経過はわからないけど、
しばらくすると(1時間かもしれないし、一日かもしれない)外で響いていた轟音が鳴り止んだ。
するとそこにいた子どもが「ひこうき」「ひこうき」と窓の外を指差した。
それに釣られて窓際に行き外を見てみると、
山の木が焼き尽され、その向こうの空が宇宙空間のように暗くずっしりと佇んでいた。
半壊した飛行機の群れが宙に放り出されて浮いており、飛散した地上の塵が舞っていた。
理解が追いつかなかった。
それでもそれまでなぜか寺の庫裏に被害はなく、
私の中にもしかしたら助かるのではという淡い期待が芽生えていた。
しかし危機とは唐突に訪れるもののようで、
金色に燃え上がった隕石が庫裏に向かって飛んできたときは力のある限り走るしかなかった。
近くにいた幼なじみのFちゃん(なぜか子どもの姿)の手を引き、
もう一人小さな子どもを抱えとにかく死にものぐるいで走った。
走っているときは「生きたい」とか「死にたくない」とか考える余地もなく頭の中は真っ白だった。
どちらかというとただただ「怖い・恐しい」というお腹にくる感情に支配されていたのだと思う。
それから寺の離れに着いた。
実際の庫裏からの距離は数十メートルだけど、夢の中では1キロくらいは走ったと思う。
まだそこに火は飛んでなかった。
辺りも静かで先ほどとは別世界だった。
そこにどこの子かもわからない一人の少年がいたけど、
その子がなんだったのかは最後までわからなかった。
息も絶え絶えにぽつぽつと難から逃れた人たちが離れに入ってきた。
つかの間の休息という感じだ。
もしこれが宇宙レベルの「災害」であったなら、助かる余地もあったはずだ。
でもこれは「侵略」、きっと全てが破壊し尽くされるまで終わらない。
真っ赤な向いの山の峰を緑色の輪郭が覆いやがて下の方に広がり近づいてくると、
身の毛がよだつ程の恐怖心に襲われた。
近づいてくる緑のそれは宇宙人の軍隊だった。
まさに「数十万の大群」という表現にふさわしい迫力だった。
無数の旗をはためかせ、屈強な鎧を身にまとい、隊列を崩さず山を下りてくる緑の軍隊。
「宇宙人」と言うにはあまりにも人間に寄り添った容姿で変な感じだった。
どちらかというと『ロード・オブ・ザ・リング』に出てくるオークのような見た目だ。
彼らは生き残っていたわずかな者たちすら見逃すつもりはないらしく、私たちの方に進軍してきた。
離れにいた人たちは逃げ惑った。
私もFちゃんともう一人の子どもの手を引いて、死にものぐるいで反対側の山へ走った。
後ろでは何かが爆発したり、他の人が襲われたりしていたのだと思うけど、
振り返る余裕などなく実際に何が起きているのかは分からなかった。
とにかく無我夢中で走った。
気づいた時にはFちゃんも、もう一人の子もいなかった。
私は山の麓にたどり着き、近くあった大きな木造の納屋(実際はない)に逃げ込み、
必死の思いで天井裏に隠れた。
人が横になって丁度人一人入れる程度の狭いスペースだ。
動機が激しく呼吸も乱れていたが、一生懸命息を潜めた。
なぜか外が見えていたのだけど、今思えば夢独特の俯瞰した視点だったのかな。
宇宙人の軍隊は目の先まで迫ってきていた。
納屋の前の広場で隊列を組み直し、陣を敷いているようだった。
しばらくして軍の真ん中に道が開き騎馬の小隊が入ってきた。
他の者たちに比べ派手な鎧を装着している。
どうやらお偉方のようだ。
そしてその中に白衣を着た一人の日本人男性がいた。
眼鏡をかけ耳にかかるくらいの長さの黒髪で歳は多分40前後。
もう一人秘書みたいな髪の長い女の人もいたけどそれはよく覚えていない。
群衆が生み出す地鳴りのようなざわめきの中から、博士らしき日本人と宇宙人の会話が聞こえた。
「どうやら電気で溶けると融合するらしいです。」
ロード・オブ・ザ・リング
ここで目が覚めた。
布団の中で15分くらいか、鼓動が激しく脈打ったままだった。
意味の分からない言葉が頭の中でやまびこみたいに呼応していた。
「デンキ…トケル…ウチュウジン」
こんな夢を見たのは、トイレに長い間星新一の『ようこそ地球さん』が置いてあるせいかもしれない。
あるいは漫画『ガンツ』や『キングダム』の影響か。
はたまた最近NASAが発表した恒星「トラピスト1」の話によるかもしれない。
なんにしろ宇宙人だが、想像しうる以上のヴィジュアルは夢では見れないらしい。
夢でも現実でもここまで恐怖したのは何年ぶりだろう。
とにかく恐い夢はもうたくさん。
よくわからんけど、無性に『ロード・オブ・ザ・リング』を観たくなった。