ここ最近またちょくちょく映画を見始めている。
大学では映画研究部に入っていたし夫との出会いだって映画だし、20代半ばくらいまでは貪るように映画を観ていた。
以前は映画好きを自称していたけど、ここのところ映画に対する特別な熱を失っていた。
明確な原因は不明だけどちょうど動画ストリーミングザービスが普及したころと被る。
海外ドラマやアニメを気軽に観れるようになり、惰性で映像作品を観ることが増えた。
そこにきて映画は濃すぎるのだ。観るのに気合がいる。
言い方を変えれば海外ドラマに出会った数年であったとも言える。
私の好きな知識人たちは飽きもせず映画の話をし続けている。
映画ファンというのは根強い。
彼らのお勧めする映画を身始めて少しずつリハビリテーション。
そんなこんなでまた映画の面白さに再会したというわけだ。
今日は最近見て面白かった2作の話。
以下ネタバレあり。
『1917 命をかけた伝令』
監督:サム・メンデス
脚本:サム・メンデス、クリスティ・ウィルソン=ケアンズ
製作:サム・メンデス、ピッパ・ハリス、カラム・マクドゥガル、ブライアン・オリヴァー
製作総指揮:ジェブ・ブロディ他
出演者:ジョージ・マッケイ、ディーン=チャールズ・チャップマン、マーク・ストロング、アンドリュー・スコット
リチャード・マッデン、クレア・デュバーク、コリン・ファース、ベネディクト・カンバーバッチ
音楽:トーマス・ニューマン
撮影:ロジャー・ディーキンス
公開年:2020(日本)
出た、サム・メンデーーース。
勝手に相性がいいと思っている監督の一人。
しかししばらく映画熱が冷めていたので当時こんな映画が話題になっていたことも知らなかった。
この映画本当に超好き。
観てから1ヶ月以上経つけど、今でもほとんどの場面が目に焼き付いている。
無数の人の命がたった二人の男に託される。
相棒を失って一人になり、どれだけ困難に見舞われようとも折れることを許されない。
責任の重大さと主人公の孤独を思うと今でも泣けてくる。
主役の俳優はぴったりだった。
言葉少なく淡々と前に進む誠実な男がよく似合う。
主役の二人が無名俳優で脇にスター俳優を置く演出がにくい。
孤独や苦痛に満ちた映像の中にパッと花が開くようだった。
特に最後に出てくるカンバーバッチね。
この映画を語る上で外せないのがワンカット演出だろう。
でもこれらは語り尽くされてるだろからあまり触れないでおく。
もれなくメイキング映像が観たくなる映画であることは間違いない。
撮影規模のあまりの大きさに日本とは映画の概念が違うなと改めて確認し感服。
映画の力を見せつけられました。
何度も観たくなる映画です。
『ベルファスト』
監督・脚本:ケネス・ブラナー
製作:ケネス・ブラナー、ローラ・バーウィック、ベッカ・コヴァチック、テイマー・トーマス
出演者:ジュード・ヒル(英語版)、カトリーナ・バルフ、ジェイミー・ドーナン、ジュディ・デンチ
音楽:ヴァン・モリソン
撮影:ハリス・ザンバーラウコス
公開年:2022
これ、夫が見たいというので映画館へ観に行ったのだけど、映画館でボロ泣きしました。
私が泣くかどうかは作品の良し悪しに関係ないけれど、映画館でこんなに涙が止まらなかったのははじめて。
反対に夫は「面白いのだろうことはわかるけどピンとこなかった」とのこと。
舞台は60年代のアイルランドの都市ベルファスト、主人公はそこに暮らす少年だ。
監督の自叙伝的映画だとラジオかなんかで聞いた。
宗教闘争による分断と翻弄される町、そして一つの家族の物語だ。
夫と話していたのは切実な宗教観を日本人が理解するのは本当に難しいということ。
欧米の映画では驚くほど多くの作品に宗教が密接に関わっているし、
よくわからんなと思ったら宗教のメタファーだったなんてことも多々ある。
ただこの物語を今作ったという意味では「分断」という主題が強いんじゃないかと思う。
相容れない対立。
冒頭から経済難や宗教闘争による閉塞感が充満している。
それでもこの作品が軽やかなのは子供の視点で描かれているからだろう。
この作品では家族が幾つかの選択に迫られる。
プロテスタントかカトリックか、町を出るか居続けるか、離婚するかしないか。
私は途中からこの家族は壊れるなと思っていた。
ここまで来て壊れないなんてセオリーから外れてる、と。
だからお葬式後のパーティーでお父さんがマイクをとりお母さんへ愛の告白したときはびっくりして涙が出た。
家族が一緒にいるという選択は必然的に町を出るという道につながる。
一見単純そうで困難な道を選ばせたことに監督の願いのようなものを感じた。
一番胸にきたのは最後だ。
町を出て行く家族を見送るおばあちゃんの顔と言葉に涙が溢れてエンドロールが滲んでいた。
町を出る者、居続ける者、どちらの困難も続いていくのだ。
淡々と描かれる前半から後半の意外性と突きつけられる現実に感情がブワッと溢れた。
このおばあちゃんがあまりにも作品に馴染んでいるものだから最後までジュディ・デンチだって気づかなかった。
おじいちゃんのかっこよさとなんといっても音楽ヴァン・モリソンが効いていた。
ヴァン・モリソンはベルファスト出身とのこと。
余談だけど『ベルファスト』を観た後に『テネット』を観たら重要な役でケネスブラナーが出ていてなんだか笑えた。
『テネット』はあまりピンとこなかったな。
キャラクターが魅力的でなかったのが一番の原因だと思う。
あと面白いアイディアもたくさんあったけど、わかりやすい伏線とその回収にドーパミンが消失した。
面倒くさい女になってしまったかな、いやもともと面倒くさい女か。
評価は高いようだから、私がずれているのかも。
大学では映画研究部に入っていたし夫との出会いだって映画だし、20代半ばくらいまでは貪るように映画を観ていた。
以前は映画好きを自称していたけど、ここのところ映画に対する特別な熱を失っていた。
明確な原因は不明だけどちょうど動画ストリーミングザービスが普及したころと被る。
海外ドラマやアニメを気軽に観れるようになり、惰性で映像作品を観ることが増えた。
そこにきて映画は濃すぎるのだ。観るのに気合がいる。
言い方を変えれば海外ドラマに出会った数年であったとも言える。
私の好きな知識人たちは飽きもせず映画の話をし続けている。
映画ファンというのは根強い。
彼らのお勧めする映画を身始めて少しずつリハビリテーション。
そんなこんなでまた映画の面白さに再会したというわけだ。
今日は最近見て面白かった2作の話。
以下ネタバレあり。
『1917 命をかけた伝令』
監督:サム・メンデス
脚本:サム・メンデス、クリスティ・ウィルソン=ケアンズ
製作:サム・メンデス、ピッパ・ハリス、カラム・マクドゥガル、ブライアン・オリヴァー
製作総指揮:ジェブ・ブロディ他
出演者:ジョージ・マッケイ、ディーン=チャールズ・チャップマン、マーク・ストロング、アンドリュー・スコット
リチャード・マッデン、クレア・デュバーク、コリン・ファース、ベネディクト・カンバーバッチ
音楽:トーマス・ニューマン
撮影:ロジャー・ディーキンス
公開年:2020(日本)
出た、サム・メンデーーース。
勝手に相性がいいと思っている監督の一人。
しかししばらく映画熱が冷めていたので当時こんな映画が話題になっていたことも知らなかった。
この映画本当に超好き。
観てから1ヶ月以上経つけど、今でもほとんどの場面が目に焼き付いている。
無数の人の命がたった二人の男に託される。
相棒を失って一人になり、どれだけ困難に見舞われようとも折れることを許されない。
責任の重大さと主人公の孤独を思うと今でも泣けてくる。
主役の俳優はぴったりだった。
言葉少なく淡々と前に進む誠実な男がよく似合う。
主役の二人が無名俳優で脇にスター俳優を置く演出がにくい。
孤独や苦痛に満ちた映像の中にパッと花が開くようだった。
特に最後に出てくるカンバーバッチね。
この映画を語る上で外せないのがワンカット演出だろう。
でもこれらは語り尽くされてるだろからあまり触れないでおく。
もれなくメイキング映像が観たくなる映画であることは間違いない。
撮影規模のあまりの大きさに日本とは映画の概念が違うなと改めて確認し感服。
映画の力を見せつけられました。
何度も観たくなる映画です。
『ベルファスト』
監督・脚本:ケネス・ブラナー
製作:ケネス・ブラナー、ローラ・バーウィック、ベッカ・コヴァチック、テイマー・トーマス
出演者:ジュード・ヒル(英語版)、カトリーナ・バルフ、ジェイミー・ドーナン、ジュディ・デンチ
音楽:ヴァン・モリソン
撮影:ハリス・ザンバーラウコス
公開年:2022
これ、夫が見たいというので映画館へ観に行ったのだけど、映画館でボロ泣きしました。
私が泣くかどうかは作品の良し悪しに関係ないけれど、映画館でこんなに涙が止まらなかったのははじめて。
反対に夫は「面白いのだろうことはわかるけどピンとこなかった」とのこと。
舞台は60年代のアイルランドの都市ベルファスト、主人公はそこに暮らす少年だ。
監督の自叙伝的映画だとラジオかなんかで聞いた。
宗教闘争による分断と翻弄される町、そして一つの家族の物語だ。
夫と話していたのは切実な宗教観を日本人が理解するのは本当に難しいということ。
欧米の映画では驚くほど多くの作品に宗教が密接に関わっているし、
よくわからんなと思ったら宗教のメタファーだったなんてことも多々ある。
ただこの物語を今作ったという意味では「分断」という主題が強いんじゃないかと思う。
相容れない対立。
冒頭から経済難や宗教闘争による閉塞感が充満している。
それでもこの作品が軽やかなのは子供の視点で描かれているからだろう。
この作品では家族が幾つかの選択に迫られる。
プロテスタントかカトリックか、町を出るか居続けるか、離婚するかしないか。
私は途中からこの家族は壊れるなと思っていた。
ここまで来て壊れないなんてセオリーから外れてる、と。
だからお葬式後のパーティーでお父さんがマイクをとりお母さんへ愛の告白したときはびっくりして涙が出た。
家族が一緒にいるという選択は必然的に町を出るという道につながる。
一見単純そうで困難な道を選ばせたことに監督の願いのようなものを感じた。
一番胸にきたのは最後だ。
町を出て行く家族を見送るおばあちゃんの顔と言葉に涙が溢れてエンドロールが滲んでいた。
町を出る者、居続ける者、どちらの困難も続いていくのだ。
淡々と描かれる前半から後半の意外性と突きつけられる現実に感情がブワッと溢れた。
このおばあちゃんがあまりにも作品に馴染んでいるものだから最後までジュディ・デンチだって気づかなかった。
おじいちゃんのかっこよさとなんといっても音楽ヴァン・モリソンが効いていた。
ヴァン・モリソンはベルファスト出身とのこと。
余談だけど『ベルファスト』を観た後に『テネット』を観たら重要な役でケネスブラナーが出ていてなんだか笑えた。
『テネット』はあまりピンとこなかったな。
キャラクターが魅力的でなかったのが一番の原因だと思う。
あと面白いアイディアもたくさんあったけど、わかりやすい伏線とその回収にドーパミンが消失した。
面倒くさい女になってしまったかな、いやもともと面倒くさい女か。
評価は高いようだから、私がずれているのかも。