夫は怖いものがめっきりダメだ。
お風呂で髪を洗うときはいつも背後の恐怖と戦っているし、
私がいない夜に家に入るときは「だれかいるのか!」とか一人で言っているらしい。
にもかかわらず、テレビのホラー番組を見たがるのはなぜなのだろう。
怖いもの見たさ?
先日も「一人で見れないから一緒に見てくれ」と録画していたドラマを見せられた。
私はまぁまぁなホラー好きなので、ありがたい申し出だ。
テレビだからあまり贅沢は言わないけれど、怖ければ怖いほどいい!
で見たのが『憑きそい』という同名漫画原作のドラマ。
これが思いの外面白かった。
因果のない得体の知れないものに憑かれる感じが新鮮で私の好みだった。
特に4話目の『審査員』で布を被せたら実体化する何者かがお気に入り。
しかしどうしても気に入らない表現がある。
主人公たちはなぜ電気をつけないのか。
ずっと暗すぎる。
「恐怖」という感情と「電気をつけない」という行動がどうも噛み合わない。
恐怖している人間が電気をつけないなんてあり得るのだろうか。
「魔は暗闇に巣食うため、明かりがあるだけである程度は滅することができるだろう」
と考えているのもあってなんだかもどかしい。
(ということは光に巣食う魔がいたら面白いかもな。)
あまりの暗さに作り手の意志を感じてしまい、冷めるなぁ〜とか思って見ていた。
しかし、次の日夜トイレに入ってはたと気づいた。
私も電気をつけてない。
そういえば私というやつはあまり電気をつけない人間なのだ。
キッチンで皿洗いしているときもよく夫に「電気をつけなさい」と言われる。
強い意志があるわけでなく、ほとんど無意識なので実際にトイレに入るまで忘れていた。
以前弟がうちに来たときも電気をつけない様子に驚いていた。
あちゃー、冷めてる場合じゃなかったよ。
そういう問題でもないか。
よくよく考えれば”何か”から身を隠す為に電気をつけないパターンもあるよね。
と自分を納得させて前に進むわけだが、人知れず進めていないやつがいた。
夫だ。
内容が面白かったので原作漫画についていろいろ調べたらどうやら実話ということらしく、
夫に「あれ実話が元になってるらしいよ〜」と軽い気持ちで言ったら、
ずーんと暗い顔をして「それは聞きたくなかった、、、」とぐったりしている。
どうしたん?と聞くと「それを聞くだけで1年は引きずるんだよ。
昨日だって怖くて寝るとき頭まで布団かぶって寝たんだよ。忘れられないんだよ。」とのこと。
でも録画して一緒に見ようと言ったのは君なんだが、、、本当に何を考えているのかわからない。