とりビーな毎日

中年おやじの映画鑑賞メインの趣味の記録です

石川九楊大全(上野の森美術館)

2024-07-06 23:59:00 | 美術館
上野の森美術館にて、石川九楊大全 後期【状況篇】言葉は雨のように降りそそいだを鑑賞。

「エロイエロイラマサバクタニ又は死篇」などは言葉に籠る感情を文字にした表現なのかなと解釈した。
河東碧梧桐の自由律俳句の文字には何かしらの法則性がありそうで暗号のようだ。
音の表現と書の表現の類似性もあるのかもしれないが、わからない。

石川九楊ご本人が会場におられ、温和な空気を漂わせておられた。
作品から感じる緊張感との対比にそういうものなのかもと感じた。


デ・キリコ展(東京都美術館)

2024-06-07 23:59:00 | 美術館
東京都美術館で開催の「デ・キリコ展」を鑑賞。

ジョルジョ・デ・キリコ(1888-1978)は、日常の奥に潜む非日常を表した「形而上絵画」と名付けた手法で多くの芸術家に影響を与えた。
また、古典絵画のテーマや技法にも取り組み、自らの世界を創り上げていった人であった。

見慣れたはずの景色が初めて見る景色であるかのようなインスピレーションを絵にするとは、どういうことか。
本来、家の中にあるはずの家具が屋外にあったときの違和感をどのように絵に表現するか。

先入観が邪魔をして見えていなかったものは何か。

単純に絵画を鑑賞することからの発想の広がりが、デ・キリコなのかもしれない。


大吉原展(東京藝術大学大学美術館)

2024-05-04 23:59:00 | 美術館
東京藝術大学大学美術館にて開催の大吉原展を鑑賞。

吉原の歴史とそこに暮らした人々の生活を振り返る展示。
表側のきらびやかな面に着目していることで物議を醸していたが、連休中ということもあってか、かなり混雑していた。

海外に散逸した絵画や、名だたる浮世絵師の作品もあり、なかなかの充実度。
吉原が江戸の文化の中心地であったというのも、大袈裟な話ではないのだろうと想像される。
栄枯盛衰というか、時代の変化を感じた。



妓楼の立体模型

シュルレアリスムと日本(板橋区立美術館)

2024-04-07 22:00:00 | 美術館
板橋区立美術館にて、『シュルレアリスム宣言』100年 シュルレアリスムと日本 を鑑賞。

1924年、アンドレ・ブルトンが「シュルレアリスム宣言」を発表して100年。
日本のシュルレアリスムの歩みを振り返る展示。

正直、これといった核になる作品はなかったのかなと思いつつ、日本にシュルレアリスムはなじまなかったように感じた。
ダリのように強烈な個性の芸術家が登場する前に、第二次世界大戦が始まり、危険思想視されたことで、停滞することになる。

ただ、非現実的なモチーフやナンセンスの思想は、漫画につながっていったのかなと思う。

欧米中心の世界の辺境にあって、激動する世界の動きを取り込もうとした気概は存分に感じた。


大名茶人 織田有楽斎(サントリー美術館)

2024-03-03 23:59:00 | 美術館
六本木のサントリー美術館にて、「大名茶人 織田有楽斎」を鑑賞。

織田有楽斎(1547-1622)は、織田信長の弟で、本能寺の変、関ヶ原の戦い、江戸幕府の開府から豊臣家滅亡までを生き抜いた武将である。
織田家の人間としての武将としての振る舞いや世渡りという意味では、信長、秀吉、家康に翻弄された人生だっただろう。
そんな中での有楽斎の武器は、茶道であった。
有楽斎は、合戦の調停や和平工作に多くの功績を残している。

展示の内容に手紙が多く、当時も、生き残るためには、コミュニケーションが最重要だったのだろう。
大名や有力商人は忙しく、時間を割いて面会する茶会でのやり取りが生死を分けることもあったかもしれない。
そんな茶会の場を仕切る人間の役割は大きかったに違いない。

実際に茶会でどんなことが話し合われたのか、多くは記録に残っていないのだろうが、興味は尽きない。