とりビーな毎日

中年おやじの映画鑑賞メインの趣味の記録です

「相棒-劇場版Ⅳ- 首都クライシス 人質は50万人!特命係 最後の決断」 (ねたばれ注意)

2017-02-24 23:59:00 | 映画
これまた内角高めのストレートで胸元をえぐってきたなという作品。
テレビでは扱いづらいテーマを果敢に攻めてきている。
銀座のパレードシーンは北九州で撮影したらしい。

相棒シリーズの杉下右京は、組織のアウトローでありながら捜査能力は随一という、ある種のファンタジーだと思う。
実在し得ない架空の人物という前提で、理想を語らせている部分がある。

この作品を観て考えたのは、「愛国心」という場合の「国」が指し示すものが人によって違うということだ。
軍隊や警察組織を動かすためには、指揮命令権を持つ政治家や官僚が何を目指すかに大きく依存する。
また、一言で国民と言っても、その利害は必ずしも一致している訳ではない。

その中で、右京は、一人でも多くの一般市民を救う、弱者を切り捨てないという信念で行動している。
結局は、政治家も警察官も一般市民も、自分や家族の生命であったり生活が一番大切なのだが、
警察官の誇りとは何ぞやという延長線上で、この作品のスタッフ、キャストが
エンターテインメントとして観客に何を感じてもらえるかというところで勝負していることが、
この変化の激しい時代にあってシリーズを積み重ねている所以だろう。

点数は、9点(10点満点)。
タイトル:相棒-劇場版Ⅳ- 首都クライシス 人質は50万人!特命係 最後の決断
製作年:2017年
製作国:日本
配給:東映
監督:橋本一
主演:水谷豊
他出演者:反町隆史、鈴木杏樹、川原和久、山中崇史、山西惇、六角精児、仲間由紀恵、及川光博、石坂浩二、山口まゆ、北村一輝、鹿賀丈史
上映時間:120分


「愚行録」 (ねたばれ注意)

2017-02-23 23:59:00 | 映画
誰のどの行為が愚行なのだろうか。
原作の小説を読んでおらず、映画の情報だけでは、謎が残ったままだが、更に深い闇が隠されていそうで、後味が悪い。
見応えのある作品であったことは間違いない。

仕掛けとして手が込んでいると感じたのが、殺人事件の被害者の夫のエピソードが全て前振りだったことだ。
被害者の田向夫妻はともに裏の顔を持つ人物ではあるものの殺される必要があるところまではいかないように感じた。
夫婦それぞれの大学時代以降のエピソードは映像で表現され、殺人者と思われる兄妹(妻夫木聡、満島ひかり)については、
妹が精神科医へ告白する内容を主としており、必ずしも正直に話している訳ではなさそうである。
意図的に嘘をついているのか、錯乱しており、そういっているのかも定かでない。

明確に意図を持って行動しているのは妻夫木演じる週刊誌記者だが、彼がどこまでの真相を知って動いているかが謎だ。
彼こそが異常性の持ち主であることが示唆されているが、実態が明かされないところに気持ち悪さの根源がある。
この部分を想像することが醍醐味であるが、答えを知りたくて、小説を読んでしまいそうだ。

点数は、8点(10点満点)。

タイトル:愚行録
製作年:2017年
製作国:日本
配給:ワーナー・ブラザース映画、オフィス北野
監督:石川慶
主演:妻夫木聡
他出演者:満島ひかり、小出恵介、臼田あさ美、市川由衣、松本若菜、中村倫也、眞島秀和、濱田マリ、平田満
上映時間:120分


「サバイバルファミリー」 (ねたばれ注意)

2017-02-13 23:59:00 | 映画
矢口史靖監督作品ということで観ることに。
最近では、「WOOD JOB!(ウッジョブ) 神去なあなあ日常」(2014年公開)も面白かった。

ある日突然、電気が使えなくなり、家族でどう生き延びるかという話。
小日向文世が演じる父親の駄目っぷりがコミカルで笑える。

父親のふがいなさに息子と娘が不満を漏らしたときの母親の台詞、
「お父さんは、こういう人なの!」というのが、この映画の全てだ。
母親を演じる深津絵里の愛情、諦め、怒りのこもった叫びで場がおさまってしまう。
理想を追い求めるのではなく、目の前の現実を受け止めて、できることをやることに家族みんなが気付いた瞬間だったのか。

その後、父親が名誉挽回するのが救いだ。

点数は、7点(10点満点)。

タイトル:サバイバルファミリー
製作年:2017年
製作国:日本
配給:東宝
監督:矢口史靖
主演:小日向文世
他出演者:深津絵里、泉澤祐希、葵わかな、時任三郎、藤原紀香、宅間伸、柄本明、大地康雄
上映時間:117分


「沈黙-サイレンス-」 (ねたばれ注意)

2017-02-03 23:59:00 | 映画
マーティン・スコセッシ監督が遠藤周作の原作と出会って28年、ようやく映画化を実現した作品。
考える要素が沢山、詰まった素晴らしい作品だった。

「生きる」とはどういうことかという意味で、自分が信じていたものが揺らぐことはあるだろう。
そのときに様々な苦しさがあっても、キチジローのように「生きる」ことを最優先する強さが欲しいと思った。

また、江戸時代の長崎の人にとってのキリスト教が本来のキリスト教とは違ったものになっていたとしても、
生きるために必要な形に変化していったということだろう。
それが宗教であったとしても、情報は受け取る人が解釈するものであり、発信者の意図はきっかけに過ぎないことを意識すべきだ。
宗教の教えに普遍性はあっても、教えの解釈には地域や時代によって、違いが生じるということだ。
更に言うと、個人によっても、その瞬間瞬間で解釈が異なることさえあり得るだろう。

人間の弱さに向き合ったうえで、結局は「生きる」ための道具でないとどんな思想も、救いにならないのではないか。
「生きる」ということが、時として、自分を犠牲にしてでも、他人に「生きて欲しい」ということになることもあるかもしれない。

題材として、宗教を扱ってはいるものの、「自分が信じること」と置き換えると、非常に普遍性のある作品である。

点数は、10点(10点満点)。

タイトル:沈黙-サイレンス-
原題:SILENCE
製作年:2016年
製作国:アメリカ
配給:KADOKAWA
監督:Martin Scorsese
主演:Andrew Garfield
他出演者:Liam Neeson、Adam Driver、Ciaran Hinds、窪塚洋介、浅野忠信、イッセー尾形、塚本晋也、小松奈菜、加瀬亮
上映時間:165分


「ドクター・ストレンジ」 (ねたばれ注意)

2017-02-02 23:59:00 | 映画
予告編でビルがぐにゃぐにゃになる映像を見て興味をそそられた。
「ぐにゃぐにゃ」という表現は正確でないが、適した言葉が見つからない。見た方が早い。

ストーリーは、天才的な外科医が交通事故で、手先を自由に使えなくなり、わずかな復活の希望を込めてチベットへ行き、魔術を身に着ける。
魔術を悪用して世界を滅ぼそうと企む輩と戦うという新たな使命を見出す、といったところ。

魔術で空間に穴をあけて移動出来たり、ビルをドミノのように操ったりというのは面白いが、悪玉がしょぼかった。
せっかく手が動くようになったものの医者には興味がなくなったのかがよくわからなかった。

まあ、漫画だから、あまり細かいことは気にせず、映像を楽しめばいい作品。

点数は、6点(10点満点)。

タイトル:ドクター・ストレンジ
原題:DOCTOR STRANGE
製作年:2016年
製作国:アメリカ
配給:ディズニー
監督:Scott Derrickson
主演:Benedict Cumberbatch
他出演者:Tilda Swinton、Rachel McAdams、Chiwetel Ejiofor、Mads Mikkelsen
上映時間:115分